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青と黒の空  作者: Benedetto
13/13

彩夏の日記


 淳はベッドに腰を下ろして大学ノートを観察した。

 ノートの表紙には、「mon journal」、右下に「a.o.」。 開いてみると、日付と一緒に短い文章がすべて仏語で書かれていた。



八月三日


――今日から日記を仏語でつけてみよう! ちょっとずつでいいから! 頑張れ、わたし!


八月五日


――ついに来週のパリ行きの航空券を予約した! これでリエコたちとのんびりヨーロッパを満喫できるぜー!

 

八月七日


――レオとはもう会いたくない……正直、もう我慢の限界! でももう航空券予約しちゃったしな……。 


八月十日


――リエコから、少し遅れて合流するとメールがあった。


八月十一日


――いざパリへ! とても楽しみ! レオとは最悪な感じだけど、もうどうでもいいや! フランスを楽しむぞー!


八月十二日


――パリ、観光客多過ぎ! 疲れた……。リエコたちと一緒なら、もっと楽しかったはずなのに……。


八月十五日


――葡萄園の仕事、結構疲れるし、めっちゃ暑い……ところで、レオって女の子の前だと、態度変わりすぎじゃねー(怒)


八月十八日


――ルーマニアのドラキュラ城って一度でいいから行ってみたいな~♪ ルーマニアってなんか魅力的な感じがする!


八月二十三日


――葡萄園の仕事、正直あんまり稼げないなぁ……なんか簡単に稼げる方法ってないかな……あるわけないか。


八月二十七日


――ルーマニアって野犬が多いらしい。狂犬病って怖いな。今はもう大丈夫って言ってたけど……。


九月三日


――今日は、新しい日本人の男の子が葡萄園にやってきた! 嬉しい! 彼をどこかで見たことあるような気がする。でも思い出せない。


九月五日


――淳くんのことを思い出した! あれからもう十年以上経ってるんだ。懐かしい! そして嬉しい!  


九月十日


――今日は淳くんにレオのことを相談した。彼氏だったということは伏せて……ごめん、上手言えなかった……なんでかな?


九月十一日


――最後にケジメはつけないと。でも、私はもう何回も別れるって言っているんだけどね……。



 淳はパラパラとページを捲っていく。幸運なことに、彩夏の仏語は淳でも理解できるレベルだった。

 彼の頭の中で、湧いてくる疑問を客観的に整理してみた。


・なぜここにきて突然、ルーマニアの話が出てきたのか? 

・彩夏はルーマニアへ行ったのか?

・彩夏は、淳を知っている?

・彩夏の彼氏のレオとは、葡萄園のレオのことだったのか?


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