光と闇
部屋に戻った淳は、早速ゲイブから受け取った紙袋の中身を作業台の上に広げた。レタスとトマトとハムのバゲットサンド、クロワッサン型のビスケット、ミニペットボトルのオレンジジュースが入っていた。
淳はまずバゲットサンドに手を伸ばした。手で小さく千切って口の中へ放り込む。適度に塩の効いたバゲットをゆっくりと咀嚼していくと、新鮮なトマトとハムの甘味が口の中で混ざり合って拡がった。あまりの美味しさに頬が緊張して痛くなる。
淳は急いでミニペットボトルのオレンジジュースでそれらを胃へ流し込む。五分も経たないうちにそれらを全て平らげられた。
彼はケトルを手に取ると水を入れ、再び珈琲を淹れた。ミルクのたっぷり含まれたクロワッサン型のビスケットをお供に。食べながら淳は少しずつ落ち着きを取り戻していった。そして、視線をベッドの裾へと持っていく。
窓の閉められた部屋には、無音だけが漂っていた。
淳は膝をついて座ると、片手でベッドの裾を捲り、もう一方の手でスマートフォンのライトを照らした。ベッドの下の暗闇は光を照らされて、真実の姿を現す。
照らされたベッドの下に本らしきものがぼんやり見えた。淳は手を伸ばした。それは一冊の大学ノートだった。