ある科学者
一人の歴史的な科学者がいた。彼に親から付けられた名前は無い。
ある曇りの日の午後、彼は孤児院の院長に発見された。林の中で一人、泣いていたそうだ。幸運にも、孤児院は彼を養う余裕があった。彼は引き取られた。
彼はすくすくと育ち、小学校中学年の時、科学と出会った。それは本当に簡単で、しかし意外な結果の実験だった。自分に予想のできない現象に心惹かれたのか、予想できなかったことが悔しかったのか、彼は科学に没頭し始める。科学系の高校、大学へ進み、その才能を開花させた。試験はほとんど完璧、課題の質は講師も舌を巻くほど、まさに天才だと言われるようになった。
彼は19歳という若さで科学者となった。かの有名な天才物理学者をも上回る勢いで、その道の学者を圧倒させる発見、研究、学説を発表した。27歳で既に、最も偉大な現代人とも言われるようになった。
しかし、32歳の夏、彼は事故にあった。
意識不明の重体。一命は取り留めたものの、彼は一年を過ぎても起きなかった。
34歳の春、彼は目覚めた。身体のリハビリを何ヶ月かして、すぐに退院した。リハビリ中も彼は科学に夢中だった。退院した後、立てた仮説を確かめんとばかりに彼はすぐに科学の世界へ復帰した。
その後も彼は人類の科学の発展に大きく貢献し、76歳でその科学だけの人生を終えた。
これが彼の過ごした一つの人生。
しかし、彼にはもう一つの人生があった。
それは彼が唯一解けなかった、一つの現象から始まる物語。
初投稿です。暖かい目で見守ってください。
次話以降は書き溜めしてからになります。(読んでいる方はほとんどいらっしゃらないと思いますが…)どうぞご了承下さい