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盲目の歌姫と守護の剣士  作者: 三崎 悠弥
序章
1/4

0.プロローグ

長編小説、はじめました

 守りたい人が居た。

 不幸な事故によって家族を奪われた女の子。

 とある事情でボクの妹になったその子は、誰の前でも笑うことがなかった。

 笑うことなく、毎日落ち込んだ表情でいる女の子を見て、いつしかボクはその子に笑ってもらいたいと思うようになっていた。

 まだ幼かったボクは、その子に笑って貰おうとあの手この手で笑わせようとした。

 今思うと、それは物凄く滑稽で、馬鹿なことばかりだったのを覚えている。

 何度も失敗してはその度に親に怒られ、女の子はうつむいたまま表情を変えようともしなかった。

 そんなある日、いつものように失敗して怒られているのを見ていた女の子は、声を出して笑った。

 「お兄ちゃん、おかしい」と。

 その様子を見た親は、ボクを怒っていたのも忘れてボクと一緒に喜んだ。

 その時から、ボクは女の子のお兄ちゃんになった。

 それと同時に、ボクは妹に恋をした。


 そして時は流れ、同じ高校へと進学したボクたちは、仲の良い兄妹として周りに認識されていた。

 高校生になった妹は、周りから注目を集めるほどの可愛い女の子になっていた。

 ボク自身も大分背が伸び、可も無く不可も無くといった背格好になった。

 当然、誰が見ても可愛い女の子に分類される妹は、入学してから結構な数の男子に告白されたりもしたが、その都度断っていた。

 ボクは、まあ……普通の高校生活を楽しんでいた。

 もちろん、子供の頃に抱いた妹への恋心は消えるどころか一層強くなっていたけど、ボク自身今の関係を壊したくないため、自分の恋心を告白することはなかった。

 妹もボクのことを好きだと良いな、という思いを抱きつつ過ごしていたある日、事件は起こった。

 いつも通りの帰り道を歩いていたとき、ボクたちは背後から誰かに襲撃さた。

 声を上げることも敵わずそのまま車に連れ込まれたボクたちは、両手両足を拘束され、目隠しと猿ぐつわで身体の自由を完全に奪われた。

 何処へ連れて行かれるのかも判らない恐怖で、妹が泣き出したのが聞こえるが、襲撃者達は無言のまま車を走らせた。

 やがて車はどこかに到着し、ボクたちは襲った人たちに担がれる形で引き離され、どこかの部屋へボクは乱暴に放り投げられた。

 それからしばらくボクは放置されていたが、襲撃者達は戻ってくると、いきなりボクの鳩尾に蹴りを入れてきた。

 突然の衝撃にボクは激しく咳き込み、あまりの痛みに涙が出てくる。

 痛みが治まらないうちに、拘束された僕の腕が、何かによって釣り上げられ、ボクは宙に浮く形になった。

 それからボクは、ひたすら殴る、蹴るの暴行を受け続けた。

 途中でどこかの骨が折れるような音もしたし、口の中も切れて血の味がした。

 妹が何をされているのかは判らなかった。

 けどボクは歯を食いしばって痛みに耐え、ただただ妹の無事を祈った。

 どのくらい暴行を受けていたかは判らない。

 ボクは次第に痛みを感じなくなり、ただ殴られているという感覚だけを感じるようになってきたころ、ぱたりと暴行が止まった。

 暴行が止まったことに安心する一方、急に止まったことに不安を感じずには居られなかった。

 嫌な予感がして、早く動きたかったが、ボクは手足を縛られたまま吊され動くことが出来ず、ただただ時間だけが過ぎていった。

 それからどれ位時間が経っただろうか。

 あまりの痛さで気を失っていたかもしれないしそうじゃないかもしれない。

 再び襲撃者がボクの前に現れ、ボクは地面に下ろされた。

 脚の拘束を解かれ痛む体で無理矢理歩かされたボクは、とある部屋で目隠しを外され……絶望した。

 目の前には、無理やり服をはぎ取られ、明らかに性的暴行を受けた形跡がありありと残る妹の姿があった。

 輝きを失った瞳から涙を流しながら、「お兄ちゃんを守らないと、お兄ちゃんを守らないと」とうわごとのように呟き続ける妹を見て、ボクはゆっくりと部屋の中を見回した。

 そこには何処かの部屋を映したテレビがあるのを見つけ、ボクは気付いてしまった。

 反抗的だった妹に、ボクが暴行を受ける様をこのテレビで見せることで妹の心を折り、自分から体を差し出すように仕向けたのだと。

 もう一度妹を見ると、ボクがここに居ることに全く気付いていないようで、まだボソボソと同じ台詞を呟いていた。

 妹にこんなことをした男達を見渡すと、その中に見知った顔があった。

 その男は以前、妹にしつこく言いより続けたガラの悪い男だった。

 確か高校の先輩で、度重なる校則違反によって退学になり、それ以来ボクたちは平穏な日々を送っていたのを思い出す。

 何処までも静かに暮らしたいボクたちを邪魔する男だ。

 怒りで頭が沸騰し、ボクは身体が痛むのも無視して、拘束されたままの手で妹にこんなことをした先輩に殴りかかった。

 先輩がニヤリ、と口の端を上げたのを見た次の瞬間、ボクは後頭部に衝撃を受け、そのまま前のめりに倒れた。

 殴られた衝撃で上手く立てないところを仰向けに転がされたボクは、ぼやける視界の中で銀色に光る何かが振り下ろされるのを見た。

 その様子がスローモーションのようにゆっくり感じられ、その銀色に光る何かがボクの胸元に深々と刺さるのを見て……。


 ―ボクの意識は途切れた。

まったりとスローペースではありますが、途中で投げ出さないように書いていきたいと思います。

どうか生暖かい目で見守ってやってください。

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