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ライブに行ってきました

 新年明けましておめでとうございます

 本年も幸多き年になりますようお祈り申し上げます

 

 さて私の年末年始はといえば、クリスマス後早々に婚家へと帰省いたしまして。はい、もうずったりと、仕事始め&始業式ギリギリの先日まで郷里におりました。

 お互いの実家が同じ市内にあるので帰省が一箇所で済むのはいいのですが、基本婚家に滞在するので、自分の実家には顔を出す程度。2日以上泊まったのは結婚してから数える程です。まあ、秋田出身の友人は大阪の人と結婚し東京に暮らしているのですが、毎度の帰省は大阪で、それこそ里帰り出産と葬儀以外で実家に帰ったことがないと言いますし。実妹は農家の嫁で四世代同居ですし。


 何かと窮屈なはずの嫁暮らしですが、義母が大変出来た人で、本人が嫁姑でしんどい思いをされた経験から非常に嫁の立場に寛容です。離れて暮らしていることもあるでしょうが、嫌味の一つも言われたことがありません。とてもよくしてもらってもったいないくらいです。

 そんな義母が子どもたちの世話を引き受けてくれたおかげで、年始早々、夫婦連れ立って夜のお出かけに行ってまいりました。核家族で暮らし、近くに親戚もいない私たちが二人で夜に出かけるのは何年振りでしょう、やたらと新鮮に感じました。


 繁華街というには少々寂れた本通りから一本入った雑居ビルの上、長年営業をしているそこは落ち着いた雰囲気のジャズバーです。郷里には案外とこういうお店が多く、他にもグランドピアノのある紅茶喫茶店とかがこっそりあります。

 今日はギターとピアノ、ベース(コントラバス)のトリオライブ。普段は別に活動している3人で、実はメインのギタリストは主人の同級生で卒論仲間。ソロCDも4枚出しており、全国でのライブ活動のほか教本執筆や講師などで忙しく過ごされています。


 ここ数年恒例となった年始ライブは常連さんでいっぱい。ご本人に挨拶に行ったり、ゆったりとしたソファーでお隣さんらとお喋りを楽しみながら周りを見渡すと、お客さんのほとんどが私たちより明らかに年長。二組いた親子連れの子どもの方はかろうじて少し年下のようです。大人の社交場、という雰囲気ですが普段着で方言が行き交う空間はもっとアットホーム。

 農協の婦人部にいそうなおばちゃんや、ワークマンでツナギを選んでそうなおじちゃんも、みんなワクワクしながらのんびり演奏を待っている様子はなんとも言いがたく居心地のいいものでした。


 ジャズ一辺倒だったギタリストはボサノヴァにも幅を広げ、スティービーワンダーまでも楽しませてくれました。もちろんジャズアレンジでしたけど。アンコールのボサはお客さんも一緒に歌ったりしてました。

 中でも楽しかったのは飛び入り演奏。ピアノ奏者のお友達でお客さんとして来ていたはずのおじさまと、お店の初老のオーナーがそれぞれ引っ張り上げられて一緒に演奏しました。慌ててサックスを組み立てたと思ったら、打ち合わせもなしに始まった演奏に軽々合わせたり。

 バリトンサックスって単独で初めて聴きましたけど、重甘い枯れた感じがとても魅力的ですね。


 ライブの曲目はある程度は決めているようですが、その場のノリなことも多いそう。譜面を渡していない曲を演奏することもあり、それでも合わせられるあの人たちの頭の中はどうなっているのでしょうか。ジャズスタンダードだけで一体何曲あると思っているのか。しかも暗譜だし、当然アレンジもその場でするし、ソロパートもあるし。

 なんで揃って同じタイミングで転調もこなせるのか、それがプロってことなのか。絶対、あのアイコンタクトにはテレパシーが含まれているに違いありません。


 広くないフロアで、ひな壇もありませんから演奏者と観客はとても近いです。スピーカーもありますが、それ以上に生の音が近くから聞こえます。その中には、メロディ以外の音もあります。例えば、ギターの弦を弾く音、ピックのこすれる音、ベースの揺れる音、ピアノの鍵盤が下がる音。私はそんな周辺の音が好きです。

 サックスなど管楽器の音になる前の呼気の色っぽさ。ピアノのペダルを踏むリズム感に高揚し、ギターの弦に爪が触れる音に引き込まれます。音楽好きの人の中にはこれらを「雑音」と言って嫌う方もいますが、それら無くしてどうやって演奏が、音楽が成り立つと言うのでしょう。もちろん無駄に大げさな音を立てるのは褒められたことでないでしょうが、演奏に付随するものなのですから、なんなら奏者の呼吸音まで楽しめばいいのになと思います。


 ギター1本でも立派な音楽。でもそこにピアノが、ベースがと楽器の種類がひとつ増えるごとに演奏には厚みと深みが加わります。3人だったはずの演奏が5人になって、盛り上がって最後の曲を終えました。


 ピアノのお姉さまが去年出されたというリーダーCDにサインをもらって、ご満悦で家に戻ったのは22時少し前。義母にお礼を言って寝室に使わせてもらっている部屋へそっと入れば、子どもたちは案の定布団の中でまだ起きていました。寂しかったよ〜、なんて言ってるけれど、夕飯お代わりして食べて、みんなでお風呂に入って大はしゃぎしてたって知ってるから。

 まあ、でも、いい子でお留守番ありがとうでした。いいもの聴けたし母さんこれで一年頑張れます。そんな年始でした。




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