電話とメール、あれこれ
十数年愛用しているフロアスタンドのガラスシェードを割ってしまいました。経年の金具の緩みに気付かなかったのです、大ショック。
廃盤ではないですが古い型の上、購入した店では現在取り扱いが無くなっており、代理店に問い合わせたところ直接パーツ購入できることになりました。最近は連絡方法がメールなので、営業時間中に電話しなきゃ! とか、今は先方さんの都合大丈夫かな、とか気を回さなくていいので非常に気楽でしたね。
そういえば、今の人たちは普段の生活で自宅の固定電話って使うのでしょうか。
しばらく前に『ダイヤル式電話が使えない子どもたち』みたいな記事を目にしたことがあります。あのダイヤルを回せず押してしまうとか。でも、そんなものですよね。だって見かけませんもの。数が随分少なくなった公衆電話だってプッシュボタンですし、使われなくなった道具が廃れるのは自然なことです。
ちなみに婚家には、そのダイヤル式黒電話があります。義父が電電公社(NTTの前身ですよ、念のため)時代からの技術者でしたので、使わなくなっても記念にとっておいたそうです。コード繋げば使えますよ。久しぶりに持った受話器のずっしりと重いこと。でも、あのカーブが耳と口元に自然と合わさって、話しやすい形でした。
逸れました。ダイヤル式黒電話のような技術的なことではなくて、実際に固定電話そのものを使うかどうかの方です。
学校の連絡網も一斉メールやラインへと変わってきていますし、中・高校生ともなれば大抵個人の携帯を持っていますよね。友だちと遊ぶ約束をするのに自宅へ電話をかけたりとか、親の視線を気にしながらも止まらないお喋りに長電話の花を咲かせたり。怖いお父さんがいるお宅にかける時は、悪いことをしているわけじゃないのに妙にドキドキしたり。そんなことはもうしていないのでしょう。
その家の誰が出るかわからない固定電話では、気遣いが必要です。「朝早くにすみません」「夜分恐れ入ります」そんな一言を小学生の頃から自然と口にするようになりました。目当ての人が不在だった時には、伝言か折り返しか、またこちらから掛けるのかも考えておかなくてはなりません。
耳の遠いおばあちゃんが出た時は、ゆっくり、大きめの声で。小さな弟妹たちが面白がって出た時は先に名乗って安心させたり。
普段の生活にあまりにも普通に入り込んでいたそんなことが、就職してからも役に立っていたと思います。今は新卒の入社研修にわざわざ電話応対のトレーニングがあるって聞いたのですが、会社によるのでしょうか。難しいものではないですが、敬称のこともありますし何事にも慣れは必要でしょうね。
携帯やメールは楽ですね。コンタクトを取りたい本人に直接繋がります。取次の手間もかかりません。先方が都合のいい時に開くメールだったら深夜早朝、お構いなしに送れます。海外とのやりとりも安価で時差も関係なし。業務で使う場合は「言った」「言わない」「聞いていない」を防げますし、個数の伝達なども確認がしやすい。非常に、便利です。
電話や手紙が廃れて……と嘆く話を時たま耳にしますが、メールにだって感情や心遣いはあります。大事なのは手段ではなく、そこに込める気持ちだと思うのですが。だって素人が丁寧に淹れたコーヒーの方が、バリスタが流れ作業で作った一杯よりも美味しかったりしますよね。
まあ、そう思ってしまうのは自分が悪筆で筆不精だからなのでしょう。おかしい、習字は段持ちなはずなのに、カケラも残っていないです。
で、件のガラスシェード。数回のメールとFAXで無事入手できましたので、受け取りましたとお世話かけましたのありがとうメールを送りました。普段は業者としか関わらないであろう代理店の人に、単価の安い個人売買の手間をかけさせてしまいましたから。お願いされていたわけでもない報告ですので返信不要とつけたのですが、ものっすごい速さでお礼返事メールが届いたのです。
文章的には特に変わったことは書かれていないのですが、なんというか画面越しにパアァッ…と好意が溢れてくるようなメールで……ほら、メールにだって色はありました。
後日、メーカー勤務(顧客サービス担当)の人にこの事を話したら
「届くメールの殆どがクレームの上、問題解決してもクロージングの連絡をよこす人はほぼゼロだから、嬉しかったんだと思う」
とのことで珍しい人認定されましたが。こんなことで少しでも気分が上がってくれたのなら、よかったと思います。
言われてみれば、スーパーの「お客様の声」なんかを見ても要望や苦情が多く、店員さんを褒めたりするようなものは少ないですね。確かに批判や修正を促す意見は役には立ちます。でも、そればっかりじゃあ嫌になるのが本音じゃないでしょうか。
もっと気軽に「ありがとう」とかの好意的な気持ちを伝えていいんじゃないかなぁと思ったところで、あ、これ小説の感想も同じじゃないかって。よくわからない作法とかを気にして萎縮するよりも、素直に「面白かったよ」そんな一言で伝わるものも多いと思います。
でも、気軽に読めるのが売りのweb小説は、電車内など外で読むことも多いはず。だとするとわざわざ文字入力するよりも “いいね! ボタン” みたいなのがあるといいのかもしれません。うん、家で読んでいるわたしはもっと感想書こう。
と、まあ、こんな風に、今日もあっちこっち思考を飛ばしながら過ごしています。




