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アップルパイと窓掃除のススメ

 

 秋も深まってくると、郷里の母や義父や祖母から次々と林檎が送られてきます。

 ……大好きですよ、りんご。でも、こうタイミングよく重なると食べるのも大変です。冷蔵庫に入る量でも無いし、暖かい室内ではそう長く保管もできません。やたら日当たりの良いベランダに置くのもどうかと躊躇われます。

 ご近所さんにお裾分けもしますが、皆さん律儀な方が多いのでお返しを気にされる。事情を話してくれぐれもお返し不要と貰っていただくのですが、そう何度も押し付けるわけにもいきません。結果、毎日食卓に上がることに。


 さて今日もモリモリ食べましょう。まずは皮を剥いて生食。煮りんごはシンプルにそのままのものから、サツマイモやレーズンを入れてみたり。小振りなものは丸ごと使って焼きりんご。その他はジャム、そしてやっぱりアップルパイ。


 そんなわけで、アップルパイを焼きました。最近は折りパイ(クロワッサンみたいな層になったパイ生地。市販の菓子だと『パ○の実』なんかがそうですね)ではなく、薄いタルト生地のショートクラストペストリーで作るのがお気に入りです。

 薄力粉とその半量のバター、塩少々に氷水少し、で作った生地は伸びが悪く扱いにコツがいります。ちぎれないように慎重に、でもバターが溶けないように手早く型に敷きます。中身のりんごは薄切りにして生のまま。その上から砂糖とシナモン、クローブを振りかけ、バターをちぎって乗せます。残りの生地で蓋をして、小さい空気穴を真ん中にひとつ開けたらオーブンへ。

 パイ生地も中身のりんごも生なので、やや高温で四十分くらいかけてじっくりしっかり焼きます(途中、上が焦げそうになったらアルミホイルを被せます)。


 その間、オーブンに張り付いているのも芸がありません。鍋を見つめているとお湯は湧かない、と言いますし、今日は天気もいいので窓を拭きましょうか。

 窓掃除、年末の大掃除にしかしない、という方も多いと思います。私は逆に年末はあまりやらないですね、寒いですし、気忙しいですから。その代わり、窓を開ける機会の多い時期には割とこまめに拭きます。網戸が汚れていると、室内に入る風も少し気になります。家が幹線道路沿いなのにとかはこの際置いておいてください、窓開けるの好きなんです。家族が花粉症なので春は自粛しています。


 面倒に思われがちな窓掃除、実は簡単ですよ。網戸だって掃除機やブラシなんか使いません。

 用意するのは大きめのメラミンスポンジ、雑巾二枚、バケツ、以上。メラミンスポンジはお風呂掃除のスポンジや黒板消しくらいのサイズがいいでしょう。あの、茶渋なんかがよく取れる白い発泡体です。雑巾はもちろん古タオルで構いません。きっとご存知の方も多い方法でしょうが、私の簡単窓掃除をご紹介します。


 バケツに半分くらいの水を張り、雑巾一枚を固く絞っておきます。もう一枚は乾いたまま。家の外に立ち窓を閉めます。メラミンスポンジをしっかり水につけ、ダラダラするくらいの濡れ具合のまま網戸を上からざあっと拭きます。おお、あっという間にスポンジは真っ黒。バケツの水でゆすぎながら全面拭いたら、固く絞った雑巾で水気を取ります。わあ、キレイ!

 網戸が終わったら窓ですね。スポンジは網戸の時ほどびしょ濡れでなくて大丈夫。軽く絞って、同じようにスポンジ→固く絞った雑巾→乾いた雑巾でから拭き、で、うわあ、ピカピカ!

 洗剤いりません。よく、豆知識なんかで古新聞を使うとかありますけれど、あれよりずっと手軽できれいになります。


 コツは、網戸を破らないように力を入れすぎないのと、窓は乾拭きで水分を残さず拭きあげることくらい。あ、あと、水が垂れてくるので腕まくり必須と、ロングスカートは避けた方が無難。


 窓の家内側はそこまで汚れていないので、使い終わって軽く湿ったくらいの仕上げ拭き用の雑巾で最後に拭きます。小さい子の手の跡とかで汚れているときは、外をする前にメラミンスポンジが綺麗なうちに同じようにやっておくといいでしょうね。窓の桟なんかは、使い終わったスポンジを適当にちぎってこするとこれまたつるりときれいになります。


 ピカピカの窓ガラスはまるで何も嵌っていないよう。大した労力でもないのに、部屋中の掃除機がけよりも「やった感」が満ち溢れます。部屋も明るく見え、心なしか入ってくる風も清涼に感じるのは私が単純だからでしょうか。


 澄んだ空気の中にはアップルパイが焼ける甘い匂い。生のりんごで作っているので、パイにナイフを入れると肉汁ならぬ果汁と溶けたバターがどう、と流れ出します。四苦八苦しながら皿に盛って、さくりホロっと崩れる生地と一緒に湯気のたつ熱々のリンゴをぱくり。


 どこかに出かけなくても、いい休日を過ごせました。


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