表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファミリー日記   作者: K次郎
3/4

【3話こころの一句】

「慎太郎っ!」                 


「なぁに?」  


寛治が居間に入ってくるなりソファの上で本を読んでいる慎太郎に言った。                


「最近な、かの子とお母ちゃんがなんかよそよそしいんだ。何か知らないか?」            

「えっ!ぼっ、僕何も知らない」          


「そっ、そうか。気のせいだといいんだけど。なんかお父ちゃん寂しいよ」

            

「きっ、きっ、気のせいだよ。うん」           


「そうか。あまり気にしないほうがいいかな?ふうっ」 

                   

寛治は寂しそうにため息をつくと、息子の頭の上に手を置いた。       

気にしないほうがいいとは思いつつ、最近自分が避けられているのが気のせいではないと分かっていた。             


次の日、家へ帰ると中は真っ暗だった。                  


「ただいま。誰もいないのか?」



ため息をつきながら電気を点けた。



「・・・?」



「おめでとっ!」               


「えっ?」                   


突然の事に寛治は唖然とした。                      


「えっ?お父ちゃん誕生日じゃないし、結婚記念日でもないよ?」


呆気にとられながら寛治が言うと、かの子が答えた。   

         


「えー、実はお父ちゃんがこないだ毎朝新聞に送った俳句が佳作をとりました」

           

「みんな拍手っ!」


パチパチパチパチっ            


「えっ?本当?」                


「お父ちゃんには悪いけど今日の祝賀会まで内緒にさせてもらいました。最近冷たくしてごめんね」  涙ぐむ父にティッシュを2、3枚渡しながらかの子が言った。         


「そっ、そうだったのか。ううっ、みんなありがとう」

                      

「泣かないでお父ちゃんっ!」          


「ううっ、それで慎太郎も最近冷たかったんだね?」            


「え?僕は知らなかったよ?」


「あっ、あぁそうなんだ」 


少しだけ反抗期を迎え成長した我が子にうれしいやらかなしいやら、複雑な父寛治だった。



佳作          

東京都 巨人愛さん

かぞくみな       

元気でいれば      

いとうれし                   


選評

 東京浅草文芸大学教授 中畑清次郎          

温かい作品ですね。   

とても素敵な家族とお幸せにお過ごしください。  

私は先月嫁と子供に逃げられ、残ってくれたのはポチだけです。       

ありがとう、ポチ。   

ほんまにありがとうやで。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ