表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴーストマインド  作者: T.D.レインコート
生還
1/5

第一話「死亡」

マーシャは死んだ。

切り株だらけの森を歩いていたとき、突然死んだ。

唯一幹が残っていた木のそばに腰かけると、突然尻が熱くなって…

そこからは覚えていない。

気がつけば死んでいた。




マーシャは目を覚ました。

重い体を起こし、辺りを見渡す。

周囲には木々が生い茂っていた。

生前最後に見た木にも似てるが、場所は明らかに違う。


立ち上がって、もう一度辺りを見渡す。

やはり一面木だ。

自分が立っているここだけは、例外的に何も生えていない。

上を見ると青空が広がっている。


マーシャ「ここは…」


森に入ってみる。

さっきの開けた場所とは違い、入ると一気に暗くなった。

奥を見つめると、深い深い闇が限りなく続くばかりだ。

流石に進むのが億劫になった。


するとふと、足元に生えている一輪の花が目に止まった。


マーシャ「この花…」


図鑑で見たことがある花だ。

でも、実際に見たことはない。

とするとこの花は…


そこまで考え至ったところでこの花の名前を思い出した。


マーシャ「ニチゲツタンヨウジサン…」

???「ご名答」


マーシャが花の名を呟くと、どこからか声が聞こえてきたので、少し驚いた。

声の主を探してキョロキョロと四方八方に首を回し、さっき自分が通った、森の入り口に一人の人間が立っているのを見つけた。


少年だ。自分と年は同じくらいに見える。

逆光のはずなのに、何故かよく顔が見えた。


そしてもっと驚いたのは、少年が地に足をつけていないこと。


???「よく知ってたね。ニチゲツタンヨウジサンは、一昔前に中国っていう国で絶滅した植物だよ」


そう言いながら少年がこっちへ向かってくる。

地に足をつけずに。

マーシャは少し怖くて、まるで同じ極を近付けられた磁石のように後退りした。


???「怖がらなくてもいい。別に取って食ったりはしないから」


これは、俗に言うあれ、ユーレイというやつだろうか。

地に足をつけずに自力で進む人間なんてユーレイしかいない。

取って食ったりはしないから、と言われた側からあれだが、マーシャの恐怖心は割増しした。

おかげで足がすくんで、動けなくなってしまった。

ついに少年が自分の目の前に来た。


???「えーっと…御愁傷様だったね。運が悪かったよ。地雷を踏むなんて」

マーシャ「地雷…?」

???「もしかして、気付いてない?君は地雷を踏んで死んだんだよ」


気が付いた。

あの場に腰を下ろしたから、地雷が爆発して自分を粉々にしたのだ。


はっと気付いた。

この少年はユーレイ。

ユーレイになるのは死んだから。

私も死んだ。

じゃあ、私も…


急いで自分の下半身を見た。

だが、思い過ごしだったようだ。マーシャにはきちんと足があり、地を踏みしめていた。

安堵の息を漏らす。


???「まだ何も知らなくて困ってるだろうから、説明してあげるよ。この世界のことを」

マーシャ「この…世界…」


思考が追い付かない。

自分が死んだという事実でさえいまいち頭に入ってこないのに、

目を覚ませば知らない森。

絶滅したはずの、それも遠い国の花。

浮遊している知らない少年。

そして、知らない世界…


後にマーシャは、この世界を第二の故郷とするのだが、それはまだ、遠い日の話。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ