言葉を変えれば…
何だよ、その化粧? おまえ、まだ学生だろ?
カラコン?黒目が大きく見える?宇宙人みたいだぞ。
ツケマだって、一歩間違えりゃ、ゲジゲジだぞ?
チークだって、おてもやんみたいだ、おてもやん。
それに、その眉、全剃りなの? 化粧とったら平安時代の人です
か?
う~ん、その制服のアレンジもどうだろう?
ミニスカはいいとして、股下0センチってなんなんだよ! せめて
膝上何センチとかなんじゃないの。風俗じゃないんだから。それに
靴のかかとは踏むんじゃないよ。ダラシナク見えるぞ。ただでさえ
ルーズなんだから。
それに普通の通りで、大きな声でBLの話題はやめろよ。聞いて
るこっちが恥ずかしいわ。まぁ、偶然聞こえちゃってるんだけどな。
バイトもサクラのエロメールってなんなんだよ? いくら効率が
いいからって、ちょっと考えてみりゃ良いか悪いか判るだろうが。
なぁ?
それに帰宅時間! 門限が深夜の零時ってどーいうこと?おまえ
のご両親もよくないわ。オレが親だったら門限は九時にするけどな。
え? うるさい? 黙れ? 関係ないでしょだって?
アンタの説教なんて聴きたくないって?
何様のつもり? 何言ってんのかまったく理解出来ないって?
ええと…確かに今は関係ないけれども…まあなんだ、うん。そ
の…
さっきの俺の発言は…言葉を変えれば…おまえのことが心配で…
……更に言葉を変えれば、……I Love You …ってコトさ…
***
さて、これからがオチですが、まずはロマンチストの方用のオチ
です。
*
彼女はぽっと頬を染めると、彼のもとに走り寄って、彼を抱きし
めた。
「わかってる。もう何にも言わなくていいの。わかってるから。そ
う、言葉を変えれば…私も貴方の事が大好きなの!」
彼女は思った。私の行動はすべて彼の気を引く為だったけど、そ
れは彼には内緒ね!
***
さて、次は現実主義者の為用のオチです。
*
彼女は眉を吊り上げ、真っ赤な顔をすると、怒りにまかせて彼を
目がけてとび蹴りをした。そして地面に転がった彼を見下ろして言
った。
「てめえ、キモいんだよ! はぁ?言葉を変えればI Love
Youって、てめえは外人か! 英語圏の人ですか? 違うだろが!
英検四級も落ちたくせに!第一、てめえの説教や意見など、こちと
ら関係ないから! もう聞こえてないから! そう、言葉を変えれ
ば…死ねよ、この変態!」
彼は薄れゆく意識の中で、そんな彼女でもまだ好きだな、と思っ
た。そう、彼はやっぱりドMだったのだ。
***
さて最後は異世界、ファンタジー好き読者の為のオチです。
*
彼女は、彼の言葉が異世界への扉を開く呪文である事に気がつい
ていた。
「貴方様は、異世界の王となるべくこの世に生を受けたお方。今こ
そ闇の魔法使いであるこの私と共に異世界へと赴き、魔王の悪の手
から民衆たちを救うのです! そう、言葉を変えれば…チェンジ・
ザ・ワールド!」
彼女はそう叫ぶと、彼を抱きしめた。と、二人はまばゆい光に包
み込まれ、一瞬の突風と共に、その姿をその地から消したのである。
***
さて、これにてお終い。言葉を変えれば…おあとがよろしいよう
で!
言葉には 別な意味が含まれている場合もあるようですよ…