【天然危険物】ダブスタを絶対に許さないというダブスタ
黒崎 「ども。しばらく金髪碧眼メカ幼女に首ったけだった本格ワナビ、黒崎かずやです」
チロン 「そんな二次元限定ペド野郎の本格イマジナリー相棒、チロンちゃんなのです」
黒 「したら今回は〝ダブスタ〟について思うことを思ったままに語りやがる覚悟」
チ 「おや? この毒エッセイはいつも創作界隈からネタを拾ってるのに、なんでまたダブスタをテーマに?」
黒 「生成AIに否定的な人に対して〝じゃあキミはXもGoogleも使えませんねぇ〟みたいにネッチョリとドヤるAIブロスがいるだろ?」
チ 「うん」
黒 「その手の人らは〝生成AIを批判しながら生成AIが組みこまれたサービスを利用するのはダブスタだ〟と言いたいわけだが──」
チ 「まー、それなりに理屈は通ってるような気もしますけど」
黒 「そうかな。僕様は違和感ありありなんだけど。で、その違和感の正体を探るべく、思考の整理がてら語ろうかと思ってさ」
チ 「むー。思考を整理してから語れやドアホ、と言いたい衝動を抑えきれないのです」
黒 「もとより抑える気なんか無いんだろ?」
チ 「いかにも。むっふー」
黒 「胸を張るのやめれ。乳もぐぞ」
チ 「ひー」
【ダブスタとは】
黒 「じゃ、まずダブスタを定義しておこう」
チ 「そこが曖昧だと話にならないですもんね」
〈ダブスタ(二重標準)とは、同じ条件下で恣意的に異なる判断をすること〉
黒 「ま、こんなところかと。異論ある?」
チ 「特にナッシングなのです」
黒 「言うまでもなく〝同じ条件下で〟って部分が核心だ。でも厄介なことに、この前提条件の設定が人によってバラバラなんだよね。だから不毛な議論になる」
チ 「??? 解かるようで解らないから解りやすく説明しろしでございます」
【ミクロの視点とマクロの視点】
黒 「たとえば──人を拉致監禁して自由を奪うのは犯罪だろ?」
チ 「当然、犯罪なのです」
黒 「じゃあ犯罪者を刑務所にブチ込むのも犯罪か?」
チ 「それは犯罪ではないのです」
黒 「なんで?」
チ 「罪を犯した人が罰せられるのは当たり前だからなのです」
黒 「そうだな。拉致監禁は犯罪であり明らかな人権侵害だけど、犯罪者への刑罰としてなら法的にも社会的にも許されてる。つまり前提条件が違えばダブスタとはみなされないわけだ。
ちなみに拘禁刑を人権侵害だと批判する人もいるが、世間からは全くと言っていいほど支持されちゃいない。個人的主観にもとづくシロかクロかのラジカルな正義じゃ、複雑な人間社会を制御できないからね。
同じように生成AIがらみのダブスタ絶対否定勢さんは、論拠としている前提条件が当人の──つまり個人の主観でしかない。それじゃ社会の事象は見えないさな」
チ 「ふむふむ。木を見て森を見ず、なのですね」
【清濁併せ呑む人間社会】
黒 「では、ダブスタ絶対否定勢の青臭さをもう少し身近な観点から見てみよう。
ひと頃よりかなり減ったとはいえ、交通事故で亡くなる人は少なくない。親を亡くしたり、重い後遺症を負ったりして、人生を狂わされる人もいる。
なのに一般人の自家用車の保有を禁止しろとか、私用で車を運転するのを禁止しろとか言う人はまずいない。何故だと思う?」
チ 「車が便利な道具だから?」
黒 「そう。交通事故というデメリットと自動車の利便性というメリットを天秤にかけ、後者を重くみてるから。
清濁併せ呑む、という現実的な選択をしたんだ。
それだって前提条件を〝人命〟に置くなら完全なダブスタだが、だからといってモータリゼーション自体を否定する人がいたら、浮世離れした意識高い系さんとして嗤われるのがオチだろう」
チ 「でしょうね」
黒 「で、何が言いたいかというと──生成AIサービスを提供しているXやグーグルを使いながら生成AIを批判するのは、自動車を利用しながら交通事故や危険運転の撲滅を訴え、そのためにより安全な自動車の開発を求めてるようなものなんだよ。
AIブロスが反AIと呼ぶ人の大部分は生成AIというテクノロジーではなく、その〝使われ方〟に苦言を呈しているんだ。
それってダブスタだろうか。よしんばダブスタだとしても、許されない〝悪〟だろうか」
チ 「んー……難しい問題なのです」
黒 「そんなときは、目に見える事実だけで単純に考えるといいんじゃないかな」
【生成AIのメリットとデメリット】
黒 「というわけで、まずは創作という行為とコンテンツ産業全体において、生成AIにどれほどの価値があるかを考えてみよう。どう思う?」
チ 「誰もが比較的簡単に創作行為を楽しめる、作業が楽チンになる、スキルを水増ししてくれる、手作業よりは簡単かつスピーディーに大量生産できる──とりま、こんな感じなのです」
黒 「で、それらはどれほど社会に貢献してくれる? つまり、AIブロス以外には何のメリットがある?」
チ 「むー。そう言われると……あ、そうだ。コンテンツの供給量が増えれば消費者の選択肢が増えるのです。これってば良いことなのでは?」
黒 「そのメリットに、デメリットを容認するだけの価値はある?」
チ 「はにゃ──?」
黒 「無断機械学習という他人の才能の食い逃げ、ディープフェイクによる違法ポルノや詐欺の氾濫、デマの流布、ハルシネーションによる混乱と損害、デジタルセキュリティに対する脅威、コンテンツの粗製濫造、水と電力の大量消費、ヒトの知性の劣化──などなどのデメリットを相殺してあまりあるほどの意義があるか?」
チ 「……無い……ですね。たぶん」
黒 「そうなんだよ。創作というものにおける生成AIのメリットは、AIブロスばかりに偏ってるんだ。なら、社会全体にとって清濁併せ呑む価値は無いわな。
だから現状の生成AIに否定的な人は、その〝濁〟の部分を可能なかぎり無くしてくれと言ってるわけ」
チ 「はたして、そんなことができるのです?」
黒 「技術的には不可能じゃないよ。
・データセットの開示と照合サービスの義務化
・著作物、肖像、音声等のオプトアウト権の確立
・AI生成物を利用していることの明示の義務化
・ユーザーの本人確認の義務化
・データセンターに電力の自給を求める
これらを実行すれば、生成AIのデメリットをかなり軽減できるに違いない。
なのに当のAIブロス界隈からは、そうした声がほとんど出てこないんだよなぁ」
チ 「なんでなのです?」
黒 「迂闊そこに触れると大好きな生成AIが社会的に抹殺されかねないから、だろうね」
チ 「てことは解ってるんですよね? 今の生成AIにはヤバげな問題ありありだってこと」
黒 「ああ。しかし、そこから目を背けて盲目的に〝生成AIは合法だし〟とか〝シンギュラリティが人類を救うんだ〟とか言ってるだけじゃ、彼らが望む未来──AIブロスがクリエイターとして敬愛されるような時代は絶対に来ないんだけどな」
チ 「それって、自分たちの希望を自分たちで踏み潰してることになりません?」
黒 「なるね。そして、そいつは一種のダブスタに他ならない」
【ダブスタを絶対許さないというダブスタ】
黒 「さっきの自動車の話もしかり、清濁併せ呑むという現実主義は、人間社会には実にありふれたジレンマだ。
多くの命を救える薬なら、ごくまれに副作用で亡くなる人がいる現実には目をつむる。
家畜を殺して喰う一方で、愛玩動物は家族の一員とまで言って大切にする。
他にも例を挙げればキリがないほど、人間社会にはダブスタが溢れてる。もし、それらを全部否定したら、どうなる?」
チ 「んー……社会どころか文明すら成り立たなくなるような」
黒 「だとすれば、そんな人間社会にいながらダブスタを絶対に許さないってのは、それこそダブスタだわね。
実際、〝生成AIに文句言うならグーグルを使うな〟は〝交通事故や危険運転に文句言うなら自動車を使うな〟に置き換えることができる。そう考えれば、どれだけおかしなことを言ってるか解かるだろう」
【まとめ……かな?】
黒 「ダラダラと語ってはみたが、一言で言うなら〝多数の実利のためのダブスタは必要悪だべ〟ってことさ」
チ 「だから〝生成AIを否定する人はXもGoogleも使えませんねぇプークスクス〟みたいな冷笑は世間知らず丸出しで滑稽ざますわよプークスクス、と」
黒 「そうなるね。言い方には悪意しか感じないが」
チ 「すこぶる性悪な御主人のイマジナリー相棒ですからね、ボク様は。否が応にも奥歯にモノは挟まないのです」
黒 「じゃ、最後にもう一言。
生成AIって、本来なら多少のデメリットには目をつむってもいいぐらいの利器になりうる革命的なテクノロジーなのよ。
なのに企業は金儲けを優先しすぎてデメリットを減らす努力がまったく足りず、強い反感を買ってる。
そのせいで商用利用が広がらず、事業の継続性に疑問符がつきまくってるのだから、笑えない喜劇さね。
AIブロスなればこそ、そこから目をそむけちゃいけないと思う。
気に食わない相手を反AIと呼んで茶化すヒマがあるなら、生成AIのデメリットを少しでも減らすべく積極的に活動したほうがいいんじゃないかな。
AI使いとしての矜持というものがあるのなら、ね」
チ 「おー。最後の最後に粘り気たっぷりの嫌味を吐き散らすとは、それでこそワナビ界屈指のナイス害の鑑たらんとするビチグソ御主人なのです」
黒 「いや、そんなの目指してませんけど」
──終劇──
お読みいただき、ありがとうございます。
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でもって、ついでに他の拙作もサクッと読んでみてほしいのであります。
く(・̀w・́)
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ごめんね。
では、また。
いつか、どこかで──




