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殺人街の漆黒と殺さずの誓い  作者: ふわり
一章 異世界の鍵と最強の殺し屋
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初めての異世界

「ここは?」

漆黒は辺りを見渡した。のどかな風景が目に入る。

「ここは異世界シュテインベルクホウト。剣術と魔法が盛んな、異能力の世界です。」

「思ったより随分落ち着いたところじゃねぇか。」

「あなたがどのような想像をしていたのかは知りませんが、異世界も現実世界と変わらず、平穏な地域と危険な地域と存在します。」

「そうなのか。とりあえず街に行かねぇと何とも実感が沸かないな。」

漆黒がそう言うと、ルインは被りを振った。

「丸腰で街に入れば死にますよ?」

「おまえが殺すなって言ったんだろ?」

「言いましたけど、まさか武器を捨ててしまうなんて。何度も言いますが。ここは異能力が支配する異世界なんです。襲ってくるものは人だけとは限りません。動物もそう。現実世界とは比べ物にならないほど強いのですよ?」

「そういうことは先に言っといてくれよ。」

漆黒は頭を掻きながらそう言った。

「説明を聞く前に、あなたが勝手に武器を捨てたのです。私のせいにされては困ります。」

「分かったよ。とりあえず何か武器になるものを探そう。って言っても俺こっちのこと何も分かんねぇからなぁ。」

漆黒が悩んでいると、ルインは思い出したように聞いた。

「あなた名前は何と言うのですか?」

「あぁ。そう言えば名乗ってなかったか。俺はレーガン=アレウドル。コードネーム漆黒だ。」

ルインは驚いた表情を浮かべた。

「あなたがあの有名な殺人街の漆黒なのですね。」

「そういうことだ。」

「超有名な殺人鬼じゃないですか。」

「おいおい。人を狂気の塊みたいに言うんじゃねぇよ。仕事でやってんだ。」

漆黒がそう言うと、ルインは真っ直ぐと目を見た。

「おいおい。なんだよ。」

「約束は守ってくださいね。人は殺さないって。破ればその時点で私は死を選びますので。」

「分かってるよ。」

最初の印象はか弱い娘といった感じだったが、今の印象は随分と強気な女に変わっている。

「それで。武器でしたよね?街には入れませんので、どこかのダンジョンで調達するしかないのですが。私は簡単な回復魔法しか使えないので、漆黒さんの腕次第になってしまいます。よろしいですか?」

「あぁ。かまわねぇよ。」

「ではなるべく簡単なところを探しましょう。」

ルインはそう言って歩き出した。漆黒も後ろをついて行く。


かなりの距離を歩いたと思う。

「なぁ。おまえ。」

「ルインです。」

「分かったよ。ルイン。何処まで歩くんだ?流石に腹も減ってきたぞ。」

「漆黒さん。この世界の住人は、みんな自分で狩りをして自分で調理をしています。お腹が空いたのであれば自分で調達するしかないのですよ。」

「って言ってもよ。獣一匹もいやしねぇ。」

漆黒は辺りを見渡しながらそう言った。

「ダンジョンが近いからでしょうね。基本的にダンジョン近くには生物は寄りつかないので。」

「そうなのか。」

落胆する漆黒をよそ目にルインは洞窟を指差した。

「あそこに入りましょう。レベルはかなり低いダンジョンです。でも漆黒さんは素手なのでくれぐれも油断しないようにしてください。」

「分かった。」

二人は洞窟へと入っていった。薄暗い道が続いている。

「何が出てくるか分かりませんので。」

ルインがそう言うと、漆黒は壁に耳を当てて感覚を研ぎ澄ます。

「何をやっているのですか?」

「狼か?狼っぽいのが二匹いるな。」

「分かるのですか?」

「分かるよ。ルインの部屋に侵入した時も、こうやって中に何がいるか確かめたからな。猫がいたこともバッチリ知ってるぜ。」

「もはや異能力ですね。」

「ルイン。下がってな。向こうもこちらに気づいたようだ。」

漆黒はルインを後ろに下げて、拳を構える。漆黒の読み通り、二匹の赤い狼が走ってきた。

「レッドウルフですね。怒らせると速くなるので気をつけてください。」

「もうだいぶ怒ってそうだけどな。」

漆黒は噛みついてくる二匹を華麗に避ける。

「まずは一匹。」

そう言いながら一匹の首を握力で握りつぶした。

「すごい。」

ルインは思わず感嘆の声を上げる。

「もう一匹。」

漆黒は素早い動きでもう一匹の前に躍り出て、右足で蹴り飛ばした。狼は壁にめり込んで絶命した。

「食おうぜ。」

笑顔で誘う漆黒にルインは呆れ顔で言った。

「本当に。もはや異能力ですね。」


ルインは狼の死体を焼いて、漆黒に振る舞った。

「上手いな。」

「それは良かったです。」

「それでこの先に大きな熊がいるけど、そいつ倒せば武器もらえるのか?」

「そうだと思います。」

「じゃあちゃちゃっと終わらせようぜ。」

二人は食事を終えて、奥へと進んだ。そこには扉があり、いかにもボスがいる気配が漂っている。

「漆黒さんの強さはよく分かりましたが、あくまでもここにいるのはボスですので。一筋縄ではいかないと心得ていてくださいね。」

「分かったよ。でも一瞬で終わると思うぜ。」

漆黒は勢いよく扉を開いた。そこには大きな熊が立っている。漆黒の二倍はあるだろうか。

「じゃあちゃちゃっと殺ってくるわ。」

「待ってください。作戦を。」

ルインが止めたものの、漆黒はもうそこにはいなかった。それどころか巨熊はすでに倒れていた。

「何が起きたの?」

ルインには見えなかった。漆黒は猛ダッシュで距離を詰めて巨熊の心臓部分を二発殴り、心肺停止状態にしたのだ。

「ほら?一瞬だったろ?」

「やっぱり異能力です。」

「違ぇよ。自力だ。」

「化け物ですね。」

ルインは明らかに引いていた。

「それより武器手に入れたぜ。」

漆黒はそう言うと、銅の短剣を見せた。

「初期装備のやつですね。壊れやすいので注意してくださいね。」

漆黒は苦笑いを浮かべた。

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