ゲームの準備
というわけで、カーナビに従って運転して、サバゲーフィールドに着いた。
俺の同期は既に全員到着済みだ。
荷物を持ってセーフティーゾーンに行く。
もちろんソラ以外は全員男だった。
同期の伊藤に手招きされる。
「おい、女子が来るなんて聞いてないんだが?」
小声でそう言われる。
あ、初心者を1人追加で、としか伝えてなかったわ。
「別に着替えくらいしか問題ないっしょ?」
「いや、安易に下ネタとかできないじゃん」
「サバゲーは紳士のスポーツだろうが」
「あれだよ。亜人マッチングの子」
「お前いいなぁ。俺もなりてぇ」
「集金すんぞー、1人3000円なー。昼飯は800円だってー」
メンバーの一人、竹内がみんなに向かって叫ぶ。
「2人分、昼飯ありで」
俺は竹内に1万円を支払ってお釣りを受け取る。
俺たちはセーフティのテーブルに荷物を置いて、装備の調整を始める。
ソラにちょいちょいと服を引かれて、
「着替える場所とかないんですか?」
「ごめん。あんまり女性がやる趣味じゃないからなぁ。車で着替えてくる?」
「いえ、ここで平気ですよ」
そう言うなり、ソラは何枚か服を着て、いらない服を下から脱いで着替えていく。
一応、他の男どもは露骨に目を逸らしてくれていた。
「はい、できました。運動部女子の必須技能です」
着替え完了したならそれでいいけど。
ソラの服装は、上は長袖シャツに迷彩ジャケット、下はジーンズ。
穴あき野球帽に、口元を覆うスカーフも用意してある。
俺も黒を基調とした特殊部隊風に着替える。
当然、野外なので小型のファン付き虫よけを使いながらだ。
「それで、ボクはどれを使えばいいんですか?」
「ホルスターはそれ、エアガンはこれとこれ」
俺はマガジンとホルスターの着いたベルトを渡す。
初心者は両手が空いたほうが安心なので、超軽装備にしていた。
俺もソラと同じような装備に、追加でベストを着ているだけだ。
「へー、すっごい軽いですね」
ソラのエアガンはというと、電動のMP7にマイクロサイト、サイドアームとしてガスガンのグロック19を渡した。
MP7はスリング付きで背負えるようにしてある。
軽くて女性でも扱いやすい装備にしたつもりだ。
「撃つときまで、指はトリガーに掛けないでね。万が一、玉が出たら危ないから」
完全に知らないであろう前提で説明していく。
俺はというと、短いタイプの電動のSCARにACOGを乗せて、サイドアームにはガスガンのコンパクトUSPにしていた。
主に中距離以遠を想定したメインに取り回しの良いサブといった感じだ。
BB弾をマガジンに詰めたり、ガスを入れたりしていく。
みんながある程度準備ができたのを見て、竹内が、
「チーム分けと弾速測定、ゼロインやるよー」
「ほい、俺はソラと一緒のチームにしてくれ」
「わかってるよ」
俺は赤の腕章を2セット受け取る。
俺はそのままソラの両腕に巻いてやる。
「俺にも巻いてくれない?」
「はい・・・・・・できました」
「ありがとう。じゃあエアガンとマガジン持ってシューティングレンジに行こうか」
エアガン一式とゴーグルを持ってレンジへ行く。
2人でゴーグルをして、銃の先端を計測器に当てて、弾を撃つ。
暑さで弾速は少し早くなっているが規定内で問題ない。
「問題なしっと、ソラも同じようにやってみて」
セーフティの外し方を教えて、単発と連射の撃ち方を教える。
「はい。こんな感じですかね?」
「うん、大丈夫」
身内戦では、ハンドガンはどうせ初速オーバーなんてしないから計測していなかった。
俺は横にずれて、サイトのゼロインをする。
弾が照準の通りに飛んでいるかみるのだ。
つけっぱなしだったからズレてないと思うけど。
電池は換えてあるし。
ソラのサイトの電源を入れてやる。
「覗いてみて、点が見えるよね。それを的に合わせて撃ってみて」
「はい」
カシャシャシャという音と共にBB弾が的に向かって連射される。
10m先の的にすべて命中した。
調整は問題なさそうだ。
俺もSCARのサイトを覗いて、30m先の的に単発撃ちをする。
概ね命中している。
「ハンドガンもやってみようか」
両手で構えてパスパス撃つ。
「これ凄い。面白いかも」
ソラはガスハンドガンが気に入ったようだ。
スライドが動いて、リコイルあるのマジで面白いもんな。
あっという間に1マガジン撃ち切っている。
「ずっとこれで的当てしてたい」
「じゃあ今度、近場のシューティングレンジに行こうか。今日は普通に遊ぼう」
「オッケーです」
撃ち終わったら、マガジンを抜いて、空撃ちするのも教える。
とりあえず最低限は教えたと思う。