夕食を作る
「ベッドにマットレストッパー、ソラちゃんも買う?」
「そうですね・・・・・・じゃあ同じものでお願いします」
「じゃあ2つずつを配送で・・・・・・」
翌日、朝食を済ませた俺たちは、俺の軽自動車で買い物へ出ていた。
まあまあの出費だが、毎日の睡眠は大切だと思うので、寝具にはお金をかける。
組み立て式のベッドなどを注文しておき、スーパーへ向かう。
「ソラちゃん、3食のご飯はどうするの?」
「朝食と昼食は会社で食べるので、夕食を用意して欲しいです。できれば夜の19時までに」
「わかった。メニューはどんな感じ?」
「全部で総カロリーを700キロカロリー程度にしていただきたいです。あとは脂質を控えめで」
「その辺は調べれば出るかな?」
「はい、よろしくお願いします」
調べると、700キロカロリーというのは、概ねカップ麺とおにぎり1つに飲み物くらいのようだ。
買い物かごに、鍋やフライパンなどの調理用器具と、盛り付け用の皿なども買っていく。
「思ったより食べられるんだね」
「ダイエットとは違って、動ける体づくりをしなければいけないので」
「他に気を付けることはある?」
「できれば、で、いいんですけど、昼食時に夜食べたいものを連絡したいと思ってます」
「それを見て、作り始めればいいんだね」
それなら、午前中は家で掃除、洗濯して、午後にソラの食べたいものを買い出しに行く感じになるだろう。
(車だとガソリン代もかかるし自転車でも買おうかな?)
「ボクの苦手な食べ物は・・・・・・匂いのキツイ納豆とかが苦手です」
「うん、わかった。覚えておくよ」
スーパーでの食料の買い出しを終えて、帰宅。
買ってきた弁当で昼食を済ませる。
そして早速、俺は今日の夕食を考えるのだった。
(ご飯が200キロカロリー、煮魚が170キロカロリー、豚汁が120キロカロリー、舞茸のバターポン酢炒めで30キロカロリー)
今日買ってきた食材を、バランスよく組み合わせて、700キロカロリーくらいにしていく。
考えた献立をスマホにメモしていく。
「俊也さん、随分と手際がよくないですか?」
「昔、ちょっと体を鍛えてた時があって、自分で料理してたんだ」
単に仕事で重たい荷物が持てなかったのが悔しかっただけなのだが。
献立を決めてからは、昨日の荷ほどきの続きをした。
夕方17時頃から夕食の準備を始める。
(まずは米を炊いて)
面倒なので無洗米を買ってきていた。
釜に米と水を入れて炊飯器のスイッチオン。
(次は豚汁かな)
大根や人参などの野菜を切っておく。
豚肉を細かく切って鍋で軽く炒めて、そこに水を適量入れてダシの素を投入。
野菜も入れてしばらく煮込む。
最後に味噌を溶かして出来上がり。
(煮魚は)
今回はカラスカレイの煮つけだ。
鍋に水、酒、みりん、しょうゆを適量に切った生姜を入れて、切り身の魚を煮る。
落し蓋をしてしばらく煮れば完成だ。
骨も取りやすく、比較的食べやすい。
(最後に舞茸をバターポン酢で)
フライパンにバターを敷いて、ちぎった舞茸を炒めて、ポン酢で味付けする。
できたものを一口味見してみる。
(こんなものだろう)
ということで、ご飯と3品を19時前に作り終える。
皿に盛りつけて、テーブルに置いていく。
「ご飯ができてます!」
「腕をみてもらうのもいいかなと思って」
リビングへ来たソラは驚いている。
「いや、こんな本格的なのは想像してませんでしたよ」
「じゃあ座って食べよう」
2人で向かい合って食事する。
「全部、すごくおいしいです。これをこれから毎日食べられるなんて!」
「気に入って貰えたならよかったよ」
「これは食べすぎに気をつけないと」
よろこんでもらえて何よりだ。
これが普通のクオリティとして維持しなければ。
明日からは、これからの日常がスタートする。
とりあえず1年間、ソラをフォローする生活が始まった。