初めての夜
「ソラちゃんは何か食べたい物ある?」
「えっと、焼き鳥とか?」
「じゃあ近くの焼き鳥屋へ行こうか」
そういうことで、俺たちはスマホで検索して、一番近くの焼き鳥のあるチェーン店の居酒屋へ向かうことにした。
「いらっしゃいませ」
「2人で」
「テーブルへどうぞ、先にドリンクを1杯注文お願いします」
「お酒にする?」
「いえ、ウーロン茶でお願いします」
「じゃあウーロン茶2つで」
そこそこ広い店内のテーブル席へ案内される。
注文はテーブルに置いてあるタブレット端末でする方式だ。
「何にする?」
「ボクは脂身がちょっと・・・・・・あ、適当に好きなのを10本くらい頼んでください。食べられるものをいただきます」
「わかった」
(脂っぽい、ぼんじりとかを避けてあげればいいのかな?)
テーブルの真ん中にタブレットを置いて2人でメニューを見ながら、
ねぎま、もも、レバー、せせり、ハツ、カシラ、そのあたりを2本ずつ注文する。
「野菜も食べる?」
「はい。トマトとエリンギお願いします」
追加でその2つとウズラの卵を注文する。
先にウーロン茶とねぎまが届く。
炭火焼の良い匂いだ。
「じゃあ乾杯しようか、これからの生活、一緒に頑張ろう。乾杯」
2人でジョッキを掲げて乾杯する。
こうして引っ越して初めての夕食を過ごした。
帰りにはコンビニで、明日の朝食などを買ってから帰る。
帰宅後、
「お風呂、沸かしますね」
ソラは風呂場へ行って風呂を沸かしてくれる。
と言っても、スイッチ一つで沸かせるから誰でもできるけども。
「そういえば、洗濯とか俺がするんだと思うけど、下着とかどうすればいいの?」
「えっと、ネットに入れて洗っていただければ。昼間に外へ干さないようにやっていただきたいです」
「じゃあ分けて洗ったりしないよ」
「はい。お願いします」
一応、聞いておくのが無難だろう。
(もしかしたら、見るな、と言われるかと思ったが)
俺の方が気を使いすぎかもしれない。
思ったより楽にいけばいいのかも。
「お風呂、先にどうぞ」
「じゃあ先に入るね」
譲ってもらったので先に入ることにする。
荷物から着替えとタオルを出して風呂に入る。
「上がったよ、次どうぞ」
「わかりました」
ソラの返事を聞きながら、俺は、さっきコンビニで買ってきた飲み物を飲む。
(今日はもう寝るだけか)
リビングでテレビを眺めながらスマホをいじって過ごす。
「上がりました」
ソラは水色のTシャツにハーフパンツが寝巻のようだ。
(普通で助かった・・・・・・)
目の前でランジェリーな姿でいられたら、いきなり今日の決意が崩壊しかねなかった。
「? どうかしました?」
「いや、なんでもないよ」
「ところで明日はどうします?」
「近くのホームセンターでベッドを頼んだり、スーパーで買い物でもしようかなと」
「わかりました。じゃあお休みなさい」
「うん。お休み」
そういう感じで引っ越し初日は終わったのだった。