遊園地 ゴーカート
『ここからは自由に園内を楽しんでください』
1つ目のアトラクションが終了し、スマホのアプリにそう表示され、自由時間になったらしい。
1つ目のアトラクション終了後の園内の移動は、電動キックボードでの移動になる。
定期的に園内小型のシャトルバスも運行しているようだ。
キックボードを使って、レストランへ向かい、昼食にする。
普段は2人で食べることも少ないので新鮮な気がする。
休日の昼間でもソラが出かけていることは多いから。
「今日は特別?」
「ボクも好きで食事制限している訳じゃないんです。もっとも目標のためだからできるだけやりますけど」
洋食は基本的に高カロリーなので家では避けているのだが、今日の昼食にソラは特大ハンバーガーを頬張っていた。
「怖さからか、変に力が入っちゃってお腹が空いたんです」
ソラはスプラッタなものを見ても、食欲は失せないタイプらしい。
もっとも俺も大して変わらないのだが。
食事をして少し休憩をはさみ、14時からゴーカートに乗ることにした。
理由は先ほどと違って、あまり体を動かさず楽しめるものだからというのが1つ。
もう1つは2人とも車の運転が好きだからという理由だ。
「思ったより広いコースですね」
確かに、子供でも乗れるというふれこみのものだからと思っていたが、現地を見て感想が変わった。
本格的な全長1㎞ほどのコースらしい。
電動のカートの速度は時速40㎞以上で走るそうだ。
利用契約などにサインをしたり、注意事項を聞いて早速乗車してみる。
2人乗りのものではなく、ソラとは別々の車両だ。
乗り込むと、乗用車よりも低い位置の視点で臨場感満点。
さらにヘルメットには無線インカムが付いており、コースからの連絡のほかにソラと会話できるように回線が開いてある。
「1時間乗れるみたいだから、はじめの2週くらいを練習にして、そのあとの3週を勝負しようか」
「いいですね。やりましょう!」
ということで、さっそくピットアウトしてコースを周回し始める。
基本の操作はオートマの普通車と大差ない。
バックできないのと、ウィンカーを出さないくらいだ。
直線を踏み込み、コーナーはアクセルを抜いて曲がる。
(後輪を滑らせるのはできない・・・・・・か?)
前輪駆動や4輪駆動の場合はいわゆるドリフトを行いにくい。
流石に遊園地のカートなので安全面に配慮してできないようになっているようだ。
(せっかくだからやってみたかったが、仕方ないか)
ならば普通にコース取りとブレーキングでソラとの差をつけることになりそうだ。
1週目を終える、ミラーを見るとソラも後ろをついてきていたようだ。
2週目に入る、先ほどと違ってコースの内容を少し覚えているのでインとアウトを意識して走らせる。
これで練習は終了だ。
スタート地点までゆっくりとカートをもってゆく。
「外側行きますね」
「じゃあちょっと遅らせるよ」
「わかりました」
初めのコーナーに対して、内側を取っているほうが有利になるので、スタートをソラにきらせることにする。




