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遊園地 脱出!

「ソラ、ここも手分けして調べよう。アイツが戻ってくるかもしれないから手早く」

「そうですね・・・・・・ 考えたんですけど、脱出艇のカードキーならエンジニアの方が持っていそうじゃないです?」

「・・・・・・確かに、そうかも」


 倒れている人達の服装は様々で、宇宙という設定なのに屋内で帽子を被った人、十字のついたカバンを持った人や工具を持った人など、特徴がある。


(リーダーっぽい帽子の人は後に回そう)


 いかにもっぽい人はたぶん違う。


「ソラは工具を持った人を頼むよ」


 工具を持った人は2人で男女だ。

 俺は十字マークのカバンの男性を調べる。

 カバンには簡易の治療キットが入っており、カードキーのようなものは見当たらない。


(服の中も探ってみるか)


 ポケットなども探ってみたが、それらしきものは見つからなかった。


「あ、ありました!」


 ソラがこちらに向けて、カードを持った手を振りながら言う。

 俺は探るのをやめてドアに向かう。


「どこにあったの?」

「女の人の身分証の後ろでした」


 ソラの勘が当たっていて早く先へ進めた。

 カードキーを機械に滑らせて、次の部屋へ進む。

 さらに次のドアへの短い通路には非常口があり、次の部屋へ行けば脱出となるようだ。


(残りは50分くらいか)


 おそらく最後のドアが開いた。

 中は広い管制室のような場所。

 いくつものモニターに、椅子が並んでいる。


(こんなところから脱出するのか?)


 そう思ったが、緊急時の脱出場所が広い場所にあっても不思議ではない。

 普通の海に浮かぶ船ならともかく、どこからでも外に出られるわけではないのだから、人が多い場所に置くのは自然だろう。


(ここには死体はないようだな)


 一番奥の場所に『脱出艇』と書かれたドアがある。


(あそこまでたどり着けばクリアみたいだな)


 俺たちは手をつないで、脱出艇へ向かう。

 距離は、真ん中の椅子やらを迂回して100mくらいだろう。

 しかし、


『・・・・・・ガサガサ・・・・・・ガゴン』


 化け物が右手側の通気口から出てくる。

 俺たちは急いで椅子を盾にして身を隠す。


『シュルシュル・・・・・・シュルシュル・・・・・・』


 どうやら最後の区間らしく、どこかへ行ってくれるわけではなさそうだ。


(音に反応する・・・・・・ならば何かを投げて誘導すればいいか?)


 周りを見渡し、投げられそうなものを探す。

 クルーの飲んでいたものだろうか、椅子についている簡易テーブルに紙製のコーヒーカップが置いてある。


(心もとないけど、これを投げて誘導するしかない!)


 俺はソラに目配せして、これを投げることをジェスチャーして伝える。

 これに気を取られている間に、何とか脱出艇へ乗り込む算段だ。


(行くぞ!)


 俺は山なりにカップを投げる。

 こちらからできるだけ遠くに向かって。

『パコン・・・・・・』 


 その落下音と共に俺たちは走り出す。

 化け物はカップへ向かって走って、尻尾でその付近を薙ぎ払った。

 が、手ごたえが無いことにすぐ気づいて、俺たちの方へと走ってくる。

 

(開け!)


 ドアの横のボタンを叩いて開ける。

 艇の広さは人10人が入れるくらい広い。

 脱出艇の中に入ると、


『カードキーをタッチして、オートパイロットを起動してください』


 ソラが操縦席と思われるパネルにカードキーをかざす。

 

『キーを認証、脱出する場合は・・・・・・』


 アナウンスが終わる前に間髪入れずにドアを閉めるボタンを押し、出発ボタンを叩く。

 化け物をドアの前ギリギリで締め出すことに成功し、脱出艇が発進される。


『GAME CLEAR』


 どうやら脱出艇は車輪か何かで移動していてどこかへ向かっているようだ。

 モニターにその文字が表示され、俺たちは両手でハイタッチを交わす。


「あぶねー」

「まだドキドキしてます」


 スマホを見ると、残り時間は15分程度。

 2人での挑戦記録が数百件表示されているが、俺たちの記録はなんと歴代2位だった。

 とても良いペースでクリアできたみたいだ。

 脱出艇がどこかへたどり着き、ドアが開く。


『今回のハイライトを持ち帰ることができます。5枚まで無料、以降は1枚100円となります。リプレイの動画は1年間保存されます』


 たどり着いた部屋には、俺たちの脱出までの行動を写真で撮ったものが大きなモニターに50枚ほど映し出されている。

 どこから撮影されていたのかはまるで分らない角度で鮮明に撮影されていた。


「とりあえず記念に5枚持って帰るか」

「そうしましょう」


 俺たちは5枚の写真をピックアップし、印刷する。

 俺のお気に入りは、ソラが化け物から庇ってくれたところを前から撮ったものだ。

 お互いを思って動いている気がしてとても良い。

 

「おし、昼ご飯でも食べに行こうか!」

「はい! 行きましょう」


 俺たちはモニター室の出口から外へ出る。

 昼食を済ませて、午後もアトラクションを楽しもう。

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