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ある日、近所の少年と異世界に飛ばされて保護者になりました。  作者: トロ猫


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ヤモリ忍者とかすうどん

 囲いの土壁の一部を壊し、外の安全確認をする。

 辺りは煙が立ち上がり、剣が弾ける金属音が四方からした。

 外の状況は決していいとはいえない。索敵を掛け、みんなの安否を確認する。

 味方はまだ、全員生きているようだけど……数人の索敵の光が薄くなっている。これって瀕死ってことなの?


「ディエゴ、今なら出ても大丈夫だと思う」


 土壁から出ると、マーカスの叫びが聞こえた。


「アリアナ、左だ!」


 漂っていた煙が流れると、アリアナがモリヤに斬られるのが見えた。


「アリアナ!」


 叫びながら風魔法を力の限りモリヤにぶつけると、後方へと逃げられた。逃げたモリヤをマーカスがすかさず追い、戦闘になる。


「アリアナを助けに行きます!」


 隣にいたディエゴに叫ぶように声を掛け走り出す。


「ちょっと、待――」


 何か言うディエゴを無視して、全速力で走り、倒れたアリアナの元へと向かう。

 アリアナを抱き上げ、声を掛ける。


「今、治すから」

「エマ様……申し訳ありま、ゴホッ」


 咳をしながらアリアナが謝罪をすると、意識が途絶えた。


「アリアナ!」


 アリアナの防具を取ると、胸の抉れた傷は深かった。大丈夫、絶対助ける。


「【ヒール】【ヒール】【ヒール!】」


 叫ぶように唱えると、アリアナの胸の傷口が光りながら超速再生される。

 意識はまだ戻らないけど、息はちゃんとしている。念のためにディエゴと同じように魔力を宿した水給をアリアナに飲ませる。


「これで大丈夫だよね?」


 追いついたディエゴが、詠唱しながら私に向かって風魔法を放つ。


「え?」

「狙われているぞ!」


 見れば、ディエゴの風魔法に跳ね返された矢が地面に落ちていた。

 あ、危ない……

 鷹の目で確認すれば、遠くの木の上から攻撃されていた。モリヤ以外は隷属された奴隷だ。直接攻撃はしたくないけど……私も殺されたくない。光魔法を溜め、矢を放つ奴隷のいる木に向けて光のビームを放つ。

 光のビームは、奴隷の登っていた木を含む周囲の木を豆腐のように切った。時間差で倒木していく木々を眺めながら呟く。


「やりすぎた……」


 ドドン

『光魔法のレベルが上がりました』


 マーカスとモリヤも倒れた木々を一瞬だが目を見開きながら凝視したのを捕らえる。

 急いで意識のないアリアナの辺りに風魔法のヴェールを張り、ディエゴに礼を言う。


「ありがとう」

「あ、ああ……。エマ様に何かあったら俺が団長に殺されてしまうが……その心配はいらないようだな……」


 ディエゴが奇妙な表情で口ごもる。

 アリアナの意識はまだ戻らないが、マーカスとモリヤは激戦を再開した。互角のように見えるが、汚い暗器を使うモリヤのほうが優勢に見える。応戦しようにも二人の距離が近い、間違ってマーカスに魔法をぶつけてしまいそうで、魔法が放てない。


(私がやれることをしよう)


 今、瀕死の状態で助けのいる騎士は二名。マーカスがモリヤと戦う間、私ができることはその二人の回復だ。


「エマ様、足元のそれは……」


 ディエゴに指摘され足元に視線を移すと、忍者の格好をした爬虫類のヤモリと一杯のかすうどんが妄想魔法で勝手に現れていた。


「え? これは何?」


 かすうどん? 私の妄想本気なの?

 大阪の新幹線の駅で、一度だけの立ち食いした事あっただけでしょ。なんで、今登場するの? まさか――マーカス……カス……カスうどん?


「消えろ!」


 かすうどんは消えたが、忍者の恰好をしたヤモリたちが消えない。地味に可愛いのが悔しい。

 でも、今は妄想魔法にかまっている暇はない。瀕死の騎士を助けないと。



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