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ある日、近所の少年と異世界に飛ばされて保護者になりました。  作者: トロ猫


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 ディエゴに案内された会議室に入ると、騎士たち数人とロワーズがいた。ロワーズは、腕を組んで硬い表情で座っていた。何かよくないことがあったのは明白だ。

 私に気付いたロワーズが騎士たちに向かって言う。


「少し外してくれ」

「はっ」


 会議室を退室する騎士たちを鑑定すると、それなりに実力のある者ばかりだった。


「エマ、こちらに座ってくれ」

「はい。あの、何かありましたか?」


 ロワーズの前に座りながら尋ねる。


「ああ。ヨハンとハインツからの連絡が途絶えている。ただの違法商売だと思っていたが……状況が変わった」

「え? そうなのですか?」


 ヨハンとハインツは小麦粉に石を混入させて販売していた商会の証拠を掴むため、リーヌという町へと向かったと聞いていた。

 リーヌはここから、南東に向かった位置にあるらしい。ここ二日、全く連絡ができていない状態だという。ヨハンは正直そこまでだけど、ハインツが心配だ。

連絡は、どうやって取り合っていたのだろうか? 魔法で? それとも鳥で?

そんなことを考えていると、魔力が少し抜けた気がした。


「なんだ、その気持ち悪い生物は……」


 ロワーズがなんともいえない顔をしている視線の先を見ると、そこには顔が猫、身体が鳥のナニカがいた。気持ち悪い、消えろ!

 急いでナニカを消し、苦笑いでロワーズに謝る。


「すみません……」

「そなたの子供達との遊びに関する報告は受けている。ディエゴとアリアナ以外の前で、先ほどのような魔法はできるだけ控えてくれ」

「努力します……」


 努力はもちろんするけど、これは不可抗力なんですよ!


「それで、先程のリーヌの件だが――」


 ロワーズの言葉の途中で会議室の扉がノックされる。


「誰だ!」

「団長、レズリーです。緊急だと聞いて急いできました」

「入れ。丁度いい。今、エマにも話すところだったが、ヨハンからの最後の連絡には、マールと言う人物が奴隷商人しかも子供の奴隷を集めている恐れがあるという話だった。詳細が分かり次第また連絡すると言ってから二日応答なしだ」


 この国で借金と犯罪奴隷以外は違法だと以前聞いた。子供奴隷なんてもってのほかだ。小麦粉に石混入を調べに行くはずのリーヌで一体何が起こっているの?

 レズリーが難しい顔をしながら尋ねる。


「ヨハン殿の団長へ連絡しないのはありえない。連絡できない状態ということか」


 どうやら、ヨハンは時間きっちりにロワーズに連絡するので有名らしい。どこまでもブラコンだ、あの人。

 手を上げて尋ねる。


「あの、それで私はなぜ呼ばれたのですか?」

「ああ、鑑定が得意なエマにはリーヌに向かってほしい」

「団長! エマちゃんに危ない事をさせるのは反対です」


 レズリーが声を上げる。

 私も反対! 子供たちがいるのに無理です! 


「分かっている。なので、わたしも一緒に向かう。エマには遠くから鑑定。遠くから鷹の目スキルで鑑定できるだろ?」

「障害物がなければできますが……」


 問題はそこじゃない。子供たちを連れて行くことも置いて行くこともできない。


「違法奴隷が関わっているなら、野営地を襲った隣国の仕業の可能性があり協力を願いたい」

「子供達を連れても置いても行けません」

「子供たちはエマと後方だ。リリアとメイドも共に向かう」


 苦い顔をする。ロワーズは嫌な仕事は断ってもいいと言った。子供たちが優先だけど、お世話になったハインツは気がかりではある。ヨハンはどうでもいいけど……。


「子供たちと相談します」

「出立は朝一だ。それまでに答えを頼む」

「団長。俺は反対だ。エマちゃん、危険な事は断っていいからね」


 レズリーが心配そうな顔で私を気遣う。ロワーズを見れば、同じように悩んでいるのが伺えるが、ヨハンやハインツはロワーズの身内だ。


「とにかく、子供たちと相談する時間を下さい。行くとは言っていませんからね」

「ああ、いい返事を期待している」

いつもご愛読いただきありがとうございます。

今年の投稿は、このエピソードで最後となります。

2025年もよろしくお願いいたします。



トロ猫

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