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ある日、近所の少年と異世界に飛ばされて保護者になりました。  作者: トロ猫


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メイド姿でお仕事2

 部屋の残りの者を全て鑑定、静かに退室しようとすれば、キンケイドに謝罪をされる。


「不快な思いをさせ、申し訳なかった。明日からはヤーヒムの紅茶は全て従者が行うので安心してほしい」

「キンケイド様、ありがとうございます」


 メリーと共にキンケイドに頭を下げた。

 次の執務室へ向かう前に、メリーに声を掛ける。


「メリーさん大丈夫でしたか? 以前も同じことをされたのでは?」

「毎回ではないのですが……あの方は特にそうなので……」

「朝からお触りやお漏らしなんて大人なのに大変な人ですよね。キンケイド様が言われたように、明日からあんな人に紅茶を入れる必要はないですよ」

「そ、そうですよね」


 メリーが安心したように微笑む。


「次はどの部屋でしょうか?」

「次も上級文官のお部屋になります。こちらはジャイルズ様と部下の方々がお仕事をされています」


 ジャイルズという名前を口にすると、メリーの頬が赤くなった。思いを寄せている人なのだろうか?

 目的地の部屋の前に泊まると、メリーが扉をノックする。


「メリーです。お茶をお持ちしました」

「どうぞ。お入りなさい」


 聞こえてきた高いネットリした鼻声に、背中に悪寒が走った。


「失礼します」

「メリー君、おはよう」

「おはようございます。ジャイルズ様」


 メリーが、更に頬を赤くさせ先ほどの声の主のジャイルズをチラチラと見る。見かけは好青年だけど、先程の悪寒はなんだったのだろうか?

 私に気付いたジャイルズがメリーに問う。


「メリー君、そちらは?」

「本日、私の手伝いをしているメイドのディアナです」

「そうか。ディアナ君、君もよろしくね。私のことはジャイルズと呼んでほしい」


 そう、爽やかな笑顔を向けたジャイルズに再び悪寒がする。一体、なんだというの? とにかく、鑑定をしてみる。


ジャイルズ フォン マーフィー

年齢:25

種族:人族

職業:黒騎士団文官 文官

魔力4

体力4

スキル: 言語、長剣、戦闘、快速、殺気、防御、毒耐性、 房中術、算術、社交、作法、ダンス

魔法属性:火

魔法:生活魔法、火魔法

固有スキル: 魅了1


 魅了……? 何、この固有スキル。


魅了

(魅了1: 異性魅了。異性から自分に対しての好意を持ってもらう。一定範囲にいる者に限る)


 魅了……私の商人交渉の信頼関係に似ているスキル? メリーが頬を赤くしているのもこのスキルのせい? こんなスキル使わなくても十分好青年なので、普通に好意を寄せてもらえると思うんだけどね。

 ジャイルズが私と目を合わせ言う。


「それでは、今日はディアナ君にお茶を入れてもらおうかな」


 ゾゾゾとまた悪寒が走る。ああ、もしかしてこれが魅了の力なの? 特にジャイルズに好意が生えた訳ではないけど……もしかして私との魔力の差で魅了が効いてないのかな? 

 隣にいたメリーにキッと睨まれるのを感じたので、メリーを鑑定する。すると、前には見えなかった表示が現れる。


メリー

状態:魅了


 これは結構危ないスキルかもしれない。この魅了のせいで癒し系のメリーに嫉妬を剥き出しにされ睨まれるとは……スキルの信頼関係で打ち勝てるかな? 信頼関係を波動してメリーに声をかける。


「メリーさん、紅茶の入れ方を教えて頂けますか?」

「勿論でございます。エマさ――」

「ごふぉんごふぉん」


 急いで咳で誤魔化す。

 信頼関係が効きすぎたのか、メリーはエマ「様」って口にしようとした。


「ジャイルズ様、申し訳ございません。咳き込んでしまいました。まだ慣れていないため、紅茶はメリーさんにお願いしても大丈夫でしょうか?」

「ああ。もちろんだとも。少し座ったらどうだい? 喉が痛いのかい? 今日はもう休んでここにいたらどうだい?」


 ジャイルズの態度が異様に優しくなった。なんで?

 ああああああ。信頼関係をこっちにも掛かった? ジャイルズが魅了を放って来ないって事は、私のスキルの方が勝ったってことだよね。


「ジャイルズ様、大丈夫です。皆さんの紅茶をお出しして、後から休憩させて頂きます」

「そうかい?」


 さっさと部屋にいる他の文官や従者の鑑定を済ませ、急いで部屋を出た。

 部屋を無事に出ると、小さくため息を吐く。変に疲れた……。

 追いかけて来たメリーが心配そうに私の顔を覗く。


「ディアナさん、大丈夫ですか?」

「……うん、大丈夫だ」

「ジャイルズ様も心配しておりました」


 部屋を出たのにまだ魅了にかかっているのだろうか? 魅了は術者から離れると消えるって書いてあったけど……。

メリーを鑑定すれば、すでに魅了は取れていた。


「メリーさんは、ジャイルズ様の事が好きなのですか?」

「そんな、身分が違う方ですので……」


 メリーの頬がまた頬が赤くなる。

 メリーは本心からジャイルズに好意があるのに……魅了を掛けてしまうなんて、残念な奴だなジャイルズは。


「メリーさん、次の部屋に行きましょう。次はどこですか?」

「中級文官それから下級文官ですが、お出しする紅茶が違いますので、一度厨房へ向かいましょう」


 中級、下級文官用の紅茶を準備すると、仕事部屋に向かう。鑑定すれば、上級文官よりもグレードの低い紅茶だった。


 中級文官の仕事部屋は、派手ではないが居心地よさそうな部屋だった。中級文官は、各部屋十人程いるという。紅茶はまとめて注いで配っていく。部屋にいる者を鑑定するが特に変わった者はいないのですぐに退室する。

中級文官の数は意外に多く、同じような部屋がいくつか続いた。

 ようやく中級文官の部屋に紅茶を配り終わると、メリーが大型のポットを取り出しながら言う。


「次は下級文官の仕事部屋です。一部屋の人数が多いですので足元にご注意ください」


 下級文官の部屋の扉を開くと、ムワッとこもった中学生の男子がいる部室を思い出すような臭いがした。部屋の中には、二十人ほどの文官が窮屈そうに仕事をしていた。メリーが、入り口の前でポットに準備していた紅茶を注ぎ始める。


「ここの中には入らないのですか?」

「カートが中に入りませんので……」

「確かにカートのまま入ると身動き取れなくなりそうですね」

「はい。なので、いつもここで紅茶を注いで真ん中の小さなテーブルの上に置きます。一人で十分なので、ディアナはここで待っていてください」


 中に入れないと鑑定がしにくい。

 メリーに提案する。


「紅茶は、私が中に持っていってもいいですか?」

「え? は、はい。では、足元にお気をつけてください」


 紅茶を持って部屋に入ると、足元に大量の紙や物が落ちている。

 紙を踏みそうになれば、文官に叱られる。


「おい君! ここは踏まないでくれよ」

「申し訳ございません」


 叱った文官を鑑定する。


ジョン

年齢:22

種族:人族

職業:黒騎士団文官 文官

状態:疲労、寝不足

魔力2

体力4

スキル: 言語、殺気、算術

魔法属性:水

魔法:生活魔法、水魔法


 疲労と寝不足、ジョンは相当イライラしているようだ。

 そんなジョンを困った顔で別の文官の女性が注意する。


「ジョン、女性にはもう少し優しくしないとモテないわよ。それに彼女は何も踏んではいないわよ」

「君には関係ないだろ」


 そんなジョンにため息を吐きながら女性が私に尋ねる。


「この人、誰にでもこんな感じだから気にしなくて大丈夫よ」

「お気遣いありがとうございます」


 女性を鑑定する。


ライラ(イライザ)

年齢:25

種族:人族

職業:セーラム聖国密偵

魔力2(4)

体力4

スキル:言語、快速、防御、長剣、算術(戦闘)(殺気)(毒耐性)(上級房中術) (暗殺)

魔法属性:風

魔法:生活魔法、風魔法(詠唱省略)


 こちらは完全アウトだ。見た目は優しそうなお姉さんなんだけどね。人は見た目じゃ分からないね。しかし、上級房中術が気になる……


「でも、あなたも踏んでいないのなら、ちゃんと正直にそう言ったほうがよいわよ」

「そうですよね。ありがとうございます」


 あなたに正直が何か諭されたくはないけど、と思いながら笑顔で礼を言う。

 部屋にいる他の者も鑑定するが、そちらは問題なさそうだ。この部屋の密偵は一人っと。

 その後、下級文官からは、ライラを含む合計三人の密偵を発見した。


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