表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある日、近所の少年と異世界に飛ばされて保護者になりました。  作者: トロ猫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/104

アイリスとガス 2

 アイリスは慣れた手付きでどんどん芋を剥いていく。私はシオンに皮むき魔法を教えながら一緒にゆっくり剥いていく。

 蒸した芋を熱いうちに潰し、ベースを作り三つに分ける。マッシュポテトにはバターと牛乳を入れ混ぜて塩と胡椒で味を調えれば完成。


「この調理法はグリッツに似ていますね」


 ガスがマッシュポテトの味見をしながら言う。


「簡単にできるし、お肉ともよく合うと思いますよ」


 次にニョッキに取り掛かる。強力粉は見掛けていない。購入していた小麦粉と卵に塩少々を入れ混ぜ始めると、アイリスとシオンは自分たちが混ぜると仲良く手を上げる。


「じゃあ、任せるね」

「おうよ」

「まかせて!」


 楽しそうに二人でニョッキの生地を混ぜ始めた隣で潰して滑らかになった芋の中に卵、小麦粉、それからチーズを落としポテトパンケーキの生地を作る。


「これは私が混ぜましょう」

「じゃあ、ガスさんにお願いしますね」


 私だけやることがなくなったので使い終わった皿を洗浄クリーンして元の位置に並べた。


「混ぜるの疲れたぜ」

「ぼくはもっとまぜられるよ!」

「二人ともありがとう。次はね、ニョッキに形を整えましょう」


 ポテトパンケーキの生地を混ぜ終えたガスがニョッキ生地のボールを覗く。


「これは、前回のポテトダンプリンに似ていますな」

「そうですね。似ているかもしれないですね。あとはポテトパンケーキを焼き、形を整えてニョッキを煮るだけです」

「焼くのなら私がやろう。丸形でいいですか?」

「はい。お願いします」


 ガスがパンケーキを焼く間、ニョッキの生地を細長い棒状になるまで転がし適当な大きさにカットする。仕上げはシオンとアイリスに任せる。


「仕上げはフォークでこうやって押して形をつけてね」

「なんでこの形なんだ?」

「この方が、ソースが絡みやすいからからかな」

「ふーん。そっか」

「エマ、これでいいの?」


 シオンのニョッキは少し不格好だったけど、初めてにしては上出来だ。


「いい出来だよ。押しすぎて潰すのだけは気をつけてね」


 そんな話をしているとガスが次々とポテトパンケーキを重ねていくのが見えた。まとめて焼ける鉄板のおかげであっという間に焼けたね。


「こっちは終わりました。味見しましたが、ポテトパンケーキは腹持ちが良さそうですね。そちらも終わりそうですか?」

「これをお湯で煮て、ニョッキが浮かんできたら出来上がりです」


 お湯にニョッキを投入、四人で見守る。


「エマー、ニョッキさんういてきたよー」


 シオンが目を輝かせながら鍋を指差す。


「うんうん。できたね」


 ベースができたので、ガスにはアレンジを教える。マッシュポテトにはディルやタイムを加え、ニョッキはガーリック、ケシの油、ベーコンに芽キャベツを加え贅沢に胡椒を振り、クリームソースの作り方も教えた。


「ニョッキさんおいしいね」

「うん。美味いな」


 二人ともニョッキを気に入ってくれたようでうれしい。


「ガスさん、ポテトパンケーキにも生地に野菜を入れることができますし、いろいろと試してください……」


 あれ? ニョッキを口に入れたまま、ガスが黙り込んでしまった。


「あの――」

「エマ様! 私を弟子にして下さい! 三十年料理をやって来て、揚げ物もですが、こんなに新しい調理法とレシピに巡り会うなんてそうそうないです」


 ガスが涙目でそう訴えかけてくる。


「爺さん泣いてんのかよ。エマのも美味いが爺さんの料理も美味しいぞ」

「爺さんではない料理長だ」

「みんなおいしいよ。ぼくぜんぶすきだよ」


 いいい子たちだ。でも、ガスはこれ……本気泣きだな。


「えーと。私のレシピも人から聞いたりしたものなので、誰かの師匠になるのは無理だと思います」

「それでも素晴らしいのです。ぜひ弟子に!」

「ガスさんはここの料理長ですから……」

「駄目ですか?」


 ガスが上目使いで見てくるけど、私の料理はあくまでも家庭料理止まりだ。


「あー、それなら次回、また会った時にレシピを教えるというのはどうですか? それまでに、今回教えた料理からアレンジしたものや別の新しいレシピを発見して私に教えてください。お互い教え合いましょう。それでいいですか?」

「かしこまりました師匠! しかしアレンジと新しいレシピですか。それはなかなかの難題」

「いろいろ悩んで頑張って下さい」


 それからアイリスとガスが二人きりでしばらく話してお別れの挨拶をしたところで四の鐘が鳴った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ