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ある日、近所の少年と異世界に飛ばされて保護者になりました。  作者: トロ猫


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危険なスキル

「すみません! 勝手に出てきたみたいです。私の修行不足です」


 鼻が伸びているクロを仰ぎながら消えるように急かすと、不機嫌な顔をしながらクロが消えていく。

 やっと消えてくれたと一安心していたら、ロワーズが真顔で尋ねる。


「それで、エマの鑑定で産地までみえるのか?」

「それは――」 

「答える前に良く思い出せ。エマの今の雇い主は私だ。契約書には書いてあっただろう? 雇い主の不利になることはするなと」

「うっ」


 確かに書いてあった。署名した時は、そんなこと全然深く考えてなかった……従業員だから、そうだよねって気持ちだった。

 くっ。ロワーズのニヤニヤ顔が腹立つけど、もうここまで来たら誤魔化せないよね。


「か、鑑定だけではないです。他のスキルで商品の産地や価格も見えます」

「エマ、他にユニークスキルは無いと申告していたのは嘘だったのか?」

「ユニークスキル《《は》》他には無かったので」

「……固有スキルか? 失念していたな。どんなスキルだ?」

「商人交渉というスキルです。それの一つに情報収集というスキルを使いました」


 なるほど、とロワーズが頷く。


「念のために聞くが、他に隠している固有スキルはあるのか?」

「商人交渉にはもう一つ信頼関係というよく分からないスキルがあります。使ってみたのですけど……みんながちょっと優しくなる感じでした」

「……それは私にも使ったのか?」

「はい。一度だけ使用してみたのですが、いきなり優しくなったのできも――びっくりしました」

「よく把握していないスキルを簡単に使うでない!」


 ロワーズから呆れたようなお叱りを受ける。ごもっともだ。


「申し訳ありません」

「固有スキルはそれだけか?」

「あ……いやぁ、もう一つあるのですけど言いたくないです」

「何を言っている。私が知らず対処出来ずエマや子供らに何かあってからでは遅い」


 くっ。これもごもっともなんだけど。ロワーズとはもうズブズブな関係だし言うか。


「……確かにそうですね。ただこのスキルは制約も多いです。出来るだけ自分のためだけにこれからもコッソリと使いたいのです。多分このスキルが一番危ないと思うのです」

「……そこまで危険とは、ますます知らないままでいるわけにはいけない」


 ロワーズの眼光が鋭くなる。


「説明するより見たほうが早いと思います」

「防御はいるのか?」

「え? いえ、攻撃魔法でないので安心してください」

「分かった。では、固有スキルを使って見せてくれ」


 そうは言ったもののロワーズから少し距離を取られる……少しは部下を信用してほしい。


「じゃあ、ロワーズさんの後ろにあるカップを借りてもいいですか? それの素材は陶器ですよね? 結構なお値段しますね」

「ああ、使ってもいいぞ。確かにこれは陶器で、とある子爵が他国から持ち帰った貴重品だ」

「この辺では唯一無二ということですね。ちょうどいいですね。お借りします。壊さないので安心してください」


 それでは、とコピーを発動した。コピーは成功、カップは二つになった。今日はまだコピーを使用していなかったので無事に使えてよかった。

 カップをテーブルに置き、ロワーズを見上げると完全に固まっていた。少し待ったけど、無言のロワーズに声を掛ける。


「あの……ロワーズさん?」

「……制約が多いと言ったな。詳しく」


 制約や上限数、そしてスキルコピーの話をしたところで、ロワーズがまた黙り込んで唸る。


「あの……」

「金はどうだ?」

「え? お金ですか?」


 そういえば、普段はシオンたちのお菓子とか日常品ばっかりコピーしていた。お金のコピーはモラル的に考えてもいなかったけど……可能なのだろうか?

 ロワーズが金貨をテーブルに置いたのでコピーを発動してみる。


「あ、どうやらダメのようですね」

「そうか」


 ロワーズを見れば安堵したような顔になった。出来たとしても、多分やらない。トラブルを呼びそうで怖い。お金なら自分で稼げる。


「エマ、これは絶対に露見するな。見つかりそうになっても隠し通せ。エマが言ったように自分のためにだけに小さく使え。スキルの取得のほうはさほど問題ではない。レベル1など努力すれば、後天的にも生えてくるスキルであると共にスキルを奪っているわけでもない。無害なスキルだ。だが……この物を増やすスキルは使いようによっては国が荒れる」

「はい。ですので、言いたくなかったのです。分かっていただけて良かったです。あのこの陶器どうしますか?」


 二つになったカップを両手に持ちながら尋ねる。


「ひとまず私が保管しておく。鑑定と情報収集については二人に話をすることになる。この砦、いや、全ての砦は国王の直轄地なのだ。そしてヨハンは北の砦の代官代理であり、小麦粉の件はヨハンが裁くこととなる」

「そう言ことなら分かりましたけど……ヨハンさんとの協力はあくまでも今回だけです。毎回毎回いいように使われたくありません」

「ああ、今回は早く証拠を固めないとまた逃げられるからな――これはヨハンか? エマのヨハンの印象は悪いようだな」


 急に声を出して笑うロワーズの横にはヨハンの顔をしたガマガエルが『ダイカンサマーダイカンサマー』と手を揉んでいた。いやヨハンが代官なんだけど、どうなってんの私の妄想。

 急いで妄想魔法を消しながら謝る。


「すみません!」

「妄想魔法の制御を急がなければな。これも害は無いが、なんというか……エマの気持ちがダダ漏れである。変なのが出てきて恥ずかしい思いをするのはエマだからな」

「重々承知しております……」


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