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ある日、近所の少年と異世界に飛ばされて保護者になりました。  作者: トロ猫


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珍獣姫 

 持ち込まれたあの黒紫の怪しい棒を鑑定する。


誘導の棒――魔物を引き付け、興奮状態を促す薬品の染み込んだ棒。


 やっぱり怪しさ満点の棒なだけある。魔物たちは、この棒の影響で中毒症状のような顔をしていたのだろう。伝令が誘導の棒を置いて天幕から退室する。この棒に関しては目撃したことをさっさと共有するために手を上げる。


「あの、私、この棒を燃やしていた人物を目撃しています」

「何? いつだ? どこで見た?」


 ロワーズが驚きながら尋ねたので目撃したことをすべて正直に答える。


「魔物の襲撃時に救護班の天幕と反対側の真逆の端で黒っぽい紫の煙を出していた男がその棒を持っていました」

「男の容姿は覚えているかい?」


 レズリーにそう尋ねられたが……どんな男かと聞かれても特徴のないモブでしたとは言えない。こういう時こそあの魔法だ。


「妄想魔法で出します」


 怪しい棒を持っていた男の顔を妄想する。現れたのは、すり鉢に黒紫の棒で胡麻すりをしている目撃した棒の男だった。ダイカンサマーダイカンサマーと繰り返し胡麻をする妄想魔法で現れた男を見ながらロワーズもレズリーも停止した。少ししてレズリーが思い出したかのよう指を鳴らす。


「この男はペチャムの下男だ」

「結界を解除して魔物を誘導して引き入れたのか。しかし、なんのためにだ? レズリー、イアンを捕獲しに行くぞ」


 私とシオンはここで待機と言われたので、大人しく待つ事にする。妄想魔法の棒の男は、未だにダイカンサマーと胡麻すりをしている。早く消えてくれないかな。


 ◇


 天幕に待機中、シオンにクッキーとジュースを渡す。


「チョコレートを食べれなかったでしょ? これを食べてロワーズたちが戻って来るのを一緒に待っていようか」


 クッキーを食べ終え、やることもなかったので退屈凌ぎに魔法で紙芝居をする事にした。画用紙サイズに水魔法で海を作り、土魔法で岩と船、光魔法で太陽を作る。仕上げに妄想魔法で背景をだしたのだけど、何故か一緒に勝手に現れたミニチュアの猫がいた。人魚姫を出したかったのだけど……何故出てきたのだろう、この猫。もう一度、妄想魔法に集中をする。


「いでよ、人魚姫!」


 妄想魔法で現れたのは顔が猫で身体が魚の気持ち悪い生物だった。どうして! シオンがその生物をながめながら首を傾げる。


「ねこさん? おサカナさん?」

「……それは猫魚だよ。海にいる幻の妖――珍獣ね。シオン、海は好き?」

「ぼく、いったことはないけどテレビでみたよ。おおきいよね」

「そうだね。広くて蒼くてしょっぱいよ。お魚もたくさんいるよ。いつか、海に行く機会があったら行こうね」

「うん!」


 海の珍獣姫と船に乗る猫騎士の恋物語の紙芝居は意外と順調に進んで行ったが、最終的には猫の頭に魚の身体から足の生えた珍獣姫が猫騎士と幸せに宇宙に飛んでいく所で紙芝居は終了した。


「わぁ、おもしろかった」


 シオンが嬉しそうに手を叩く。本当に喜んでもらえたのだろうか……楽しんでくれたのならいいけど。日本でもしこれが公開されていたら、教育上の問題で炎上しそうな物語だと思うのだけれど、もう妄想が止まらなかったのだ。

 ガタガタと表から大きな音が鳴り、急にハインツが天幕の中へと入ってきたのでエフェクトだけは誰にも負けない自信のある超大作の紙芝居を急いで消す。

 ハインツが辺りを見回しながら笑顔になる。


「表でペチャム隊長の配下があなたを出せともめております。急いで私について来てください。裏から逃げましょう」


 ハインツに《《あなた》》なんて一度も呼ばれた事はない。それに……体つきは似てるが、ハインツより背丈が明らかに低い。怪しいので急いで鑑定をする。


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