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ある日、近所の少年と異世界に飛ばされて保護者になりました。  作者: トロ猫


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妄想魔法 

「え? 何、この猫?」


 こんな場所になんで猫がいるのだろう……それより、どこから来た? まさか、魔物じゃないよね? 訝し気に猫を鑑定をする。


幻術の猫――エマ・シラカワの妄想魔法で造られた猫


 妄想魔法? あ、あれか……ユニークスキルの。妄想魔法はオフにしていたはずなんだけど。そういえば、注意書きに術者の気持ちに左右されると書いてあった。まさか、それで? それならオフの意味なくない?


(なんのためのオフよ!)


 ズルッとベンチから落ちそうになる。これは、あれか……飼っていた猫を思い出したからから妄想魔法が発動して猫が現れたの? 妄想魔法の発動条件がよく分からない。


「そんな事より、これを早く消さないと」


 誰かに見つかる前に、この猫には消えてもらわないと説明ができない。ゴロゴロと喉を鳴らしながら足にまとわりつく黒い猫は実体がないが妙に動きがリアルだ。消えろ! 消えるのだ、猫よ! 念じながら猫を指さすが何も起きない。


「その山猫はなんだ?」


 うっ。よりによってロワーズに猫が見つかる。


「あはは、どこから来たのでしょうかね?」


 誤魔化しながら猫があっちへ行くよう、シッシと払う。そんな焦る私を横目に、猫は勝手にベンチへと登り欠伸をして毛繕いを始めた。これって……私の魔法のはずだよね? なんで言うこと聞かないの?


「ねこさん?」


 日向ぼっこでウトウトとしていたシオンも目を見開いて猫を見る。猫はしばらくシオンを見つめるといきなりフッと消えた。待って、消えるのは今じゃないでしょ!


「ねこさん、きえたね」

「う、うん。どこへ行ったのだろうね。あはは」


 妄想魔法の猫が消えたのは良かったが、ロワーズの視線がすこぶる痛い。めっちゃくちゃ痛い。ロワーズがジト目で見下ろしながら小声で言う。


「そなたと話さなければならないことが、また増えたな」

「ただの猫ちゃんですよ。そんな――」

「ただの山猫が目の前で蒸発などしないだろ。あとで話すから、それまでに『ただの猫ちゃん』よりもまともな言い訳でも考えておくのだな」

「うっ」


 幸い、妄想魔法の猫はロワーズとシオンの二人以外には気づかれなかったようだ。


 含みのある笑いを向けたロワーズと別れ、護衛とリリアに天幕まで送り届けられホッと一息をつく。シオンにリンゴジュースとクッキーを出し、今日の妄想魔法について考える。


妄想魔法――妄想時に発動する魔法。実態はない。術者の感情で左右されやすい。オンオフあり。現在オフ。


 現在オフって盛大な嘘でしょ? 説明文を押してみるが発動の条件は書いていない。あの猫が出る直前、確か猫のように惰眠を貪りたいと思いながら昔飼っていた猫を思い出し寂しくなった。どの辺が妄想だった? 感情的になった分、考えていたことが露わになったの? 試しにもう一度、猫とゴロゴロと惰眠を貪る幸せな妄想をする。いつか猫カフェで味わった猫を撫でる心地良さを思いだしながら、ずっと猫を妄想したが……何も出なかった。

 今度は妄想スキルをオンにして、たくさんの猫を妄想してみる。


「おら、おら、猫、猫、猫来い!」


 すぐにスッと魔力が抜ける感覚がして、目の前には白、黒にオレンジ色の三匹の猫が現れ足元でエアスリスリを始める。実体はないのでスリスリされる感触もない、不思議な気持ちになる。

 三匹の猫に気づいたシオンが声を上げ猫に駆け寄る。


「ねこさんがいっぱい! あれ? ねこさん、さわれないよ」


 実体がないからもちろんシオンも猫を触ることは出来ない。こんな怪しい魔法は永遠にちゃんとオフにしておかないと。どれだけ私が毎日妄想していると思っているの! 妄想の度にこんな魔法が発動したら普通の生活は送れない。よからぬ妄想だってたくさんしている。あぁ、本当にそんなよろしくない妄想を皆さんの前で披露してしまうかと考えると……恥ずかしさで死ねる。

 猫たちを消そうとしたが、やはり消し方が分からない。猫たちは好き勝手に遊ぶとそのうち消えた。


「ねこさん またきえたね」

「そうだね。また気が向いたら出てきてくれるよ」


 正直、もう猫たちには勝手に現れて欲しくはないが、猫が消えてしょんぼりとしたシオンにそう声をかけた。


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