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ある日、近所の少年と異世界に飛ばされて保護者になりました。  作者: トロ猫


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決勝戦 後編 

「始め!」


 開始の合図と共にエリーが魔法で土埃を立たせ左側からマルクス目掛け剣を振るうが、あっさりと振り落とした剣を腕で受けとめられカウンターのパンチが飛んでくる。エリーは咄嗟に避けようと身体を捻るもパンチが当たってしまい、地面へ飛ばされ転がった。


(うー、あれはかなり痛そうだ)


 苦痛に表情を歪めながら起き上がったエリーにマルクスが追撃をする。エリーは急いでその場を離れ、詰め寄るマルクスの足場に土ボコが展開したが、マルクスは何ごともないかのように速度を落とさずに前進する。エリーが何か詠唱を唱えるとマルクスの姿が急に見えなくなる。あれ? どこだ? 


(あ、落とし穴か)


 マルクスはどうやらエリーの落とし穴に落ちたようだ。落とし穴から這い出そうとするマルクスに土の球をバンバン当てるエリー、なかなか容赦ない攻撃だ。


「マルクス、いつまで穴の中で寝てやがる! お前は冬眠中の熊かよ!」


 騎士たちからヤジが飛ぶとマルクスが落とし穴からワンジャンプで飛び出す。エリーは再び土埃を展開、見えない隙を使い後ろからマルクスを狙うが逆に回し蹴りをくらい場外へと飛ばされた。

 思いっきり蹴られたエリーが心配になり、思わず立ち上がるとロワーズに止められる。


「心配するでない。あれくらいでは死なない。今、治療班が向かっている」


 黒いローブを着た者たちがエリーを囲み魔法で治療をすれば、すぐにエリーは悔しそうに立ち上がった。良かった、無事そうだ。勝負はマルクスの勝ちだが、応援してたエリーにも拍手を送る。二人とも凄かった。

 第二試合場ではノアと呼ばれる騎士が勝ち進んで、決勝まで再び休憩が挟まれた。


「新人騎士の方もとても強いのですね」


 距離の関係でトーナメントに出場している騎士たちの鑑定はまだできていないけど、新人だという割には全員の動きが鋭かった。何も武道の経験がない私の主観だけど。


「新人もさまざまだ。エリーは平民だが他の準決勝出場者は貴族の子弟で騎士学校出身だ。エリーも十二歳の時から騎士見習いをしているので、実力は新人ではそこそこだ」


 ロワーズは言葉とは裏腹に誇らしげに言う。この国には騎士の学校が存在するのか。十二歳から見習いって……私の感覚では早過ぎるような気がするが、この国の成人の年齢も日本と比べて若いのかもしれない。


「決勝戦マルクス対ノア。はじめ!」


 ついに決勝戦。開幕直後、ノアが水の球をマルクスの顔を目掛けて飛ばす。マルクスはそれを剣で切り一瞬でノアの前まで移動、振りかざした剣をノアに受け止められる。その後何度も剣の打つかる音が会場に響く。

 マルクスもノアもお互い引かず、五分ほど撃ち合いが続き二人とも肩を揺らし、互いを睨む。会場が息を呑む中、次に動いたのはマルクスだ。回転しながら剣に勢いを付け攻撃する。正面からマルクスの攻撃を受け止めたノアは、その衝撃で後ろに下がるも剣を巻きつけるかのように押しのけ即座にマルクスの首元に剣を向けた。勝負がついたようだ。

 マルクスが手を上げ降参する。トーナメントの優勝者はノアに決まった。


「きしさん、すごいね」


 楽しそうにそう言うシオンはいつの間にかレズリーの膝の上にいた。

 試合が終了後、少し疲れたシオンをレズリーから受け取る。


「シオン、楽しかった?」

「うん。ぼくもいつか、きしさんみたいになりたい!」

「騎士シオンかぁ。カッコイイだろうね」


 シオンとそんな話をしている間にロワーズとレズリーはまた込み入った話を始めた。聞こえてきたのは試合の結果から隊を編成してまた明日からギランの森で訓練が行われるという内容だった。優勝者のノアには黒い狼のバッチと剣が手渡され、トーナメントは終了した。


 試合の緊迫した緊張がほどけ、ベンチに座ったまま軽く背伸びをする。今日は天気が良い。空気は冷えているが、雪は太陽に照らされキラキラと光っている。鑑定するとタープは耐寒付与が施されているようで、真下にあるベンチは結構温かい。

 こういう日には、家の中でゴロゴロと猫みたいに丸まり惰眠を貪りたい。子供の頃に飼っていた猫を思い出し懐かしくなると同時に少し寂しくなった。フッと魔力が抜けたと思ったら、いきなり足元に猫が現れた。


「はい?」

 

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