僕、誕生
むかーし、神様は言いました。ふとんは吹っ飛ぶべきだと…
全知全能な神様は笑顔こそ世界を救うみたいなことを聖書に記した。
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僕こと、ワタベマーは前世の記憶があります。あいむじゃぱにーず。
事なかれ主義の私でも、声を大にして言いたいこの言葉。
「この世界はおかしいです。」
転生トラックに引かれ、その後出会った神様が放った、1言目。
「君、ギャグセンス低いねえ」
二言目には、くっそつまらん人間やなと言われる始末。
死んで最初に言われたのが暴言ってないわなと思うわけですよ。
神様になんでそんなこと言うん?って聞いても答えは帰ってこない。
「この後君は転生するんだけどね、その世界笑いが全てなの」
「ギャグセンス高いなら、全てを守る勇者にでも、民から慕われる王にでもなれたのに」
「君は自分すら守れるか怪しいね」
「それでも君は笑って世界を救えるかい」
神様はひとしきり満足したかのように笑って見せた。
いや分からんと僕は言った。
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ふと意識が戻った時には、違う世界で生を受けていた。
自分の体が自分のものではないような、そんな不自由さを感じながら、自分の手を見た。
手がぷにぷにしてそうで、美味しそうな赤ん坊の手やなと他人事のように思った。
自分はいつ生まれたんだろうか、親はどこにいる?そんな疑問を浮かべながら辺りを見渡した。
シルクのようなサラリとした布、木製のベッド、机と…よく見えないが、あれはぬいぐるみだろうか。
部屋は子供部屋だぞと主張するような壁紙とフローリング。
だが、現代風ではなく、まるで中世のような雰囲気だ。
赤ちゃんボディで確認できるのはそれくらいだった。
特に感情も波立たず、強いて言うのであれば、ネットで、転生 やることなど、goo先生に対応を求めたいくらいだ。
情報が足りていない現状、何考えてもかわらない。
先程の神様(?)の言葉を反芻する。
ギャグセンス低い、この世界は笑いがすべて、自分を守れるか怪しい。
よくよく考えても、意味がわからない。おわった。
神様に笑いが全てとか断言されるとか不安要素が高まるだけだった。
謎が謎のまま、考えはまとまらないまま、時間だけが過ぎていく。
よくあるネット小説には魔法がーとか、ステータスがーとかテンプレートばりの対応が見受けられますが、この世界はどうなんでしょうか。
考えるよりやった方が早いよな理論で色々試してみる。
まだ、あかんぼでぃなので、心で唱えるだけですが。
(ファイヤ!)(アクア!)(あとなんだ…ライト!)
他の呪文何かあったかなと考えつつ、出来なそうな匂いがぷんぷんする。
いちおうこれも唱えておく、(ステータス!)
ブォンとライトセーバーばりの効果音で半透明な板がでてきた。
ワタベ・マー 0歳 男
ギャグ適正 G
とだけしか書かれていない。どういうことですか?
分かりません。分かったのは名前と性別だけ。
ワタべ・マーって現代日本でありそうな名前と疑問を覚えつつ、自分が男であることに安堵する。
性別が変わっていたら冗談では済まないので。
それはともかく、ギャグ適正とはなんだろうか。
かなり低そうな適正だけども。それともG以下はあるんだろうか。分からない。
何も分からないまま、赤ん坊には抗えない睡魔が襲ってくる。
起きたら、自分の両親とかと積極出来たらいいなと思った。