私、ゴミ食らいですけど考えがあります
私は人類のために産み出された、最先端の人型ゴミ処理ロボット。そこらへんのポンコツと違うのは、今まさに発揮されてるこの思考力!
そう、私は人工知能を備えたロボットなのだ。私以外のゴミ処理ロボットはデクノボウのように知ってることしかできないんだけど、私は違うんだよ。もし知らない事があっても、自分で考えて、自分で方法を見つけて、自分で解決できちゃいます!
それに見た目も親しみやすい美少女。どうです、言うことないでしょう?
(と、言ってもさ。現実はどうって話ですよ)
そう、確かに私は人類のためという崇高な目的で産まれたのだ。なのになんでだろう、人間の皆サマは私のことを汚物を貪るしかできない、汚ならしい低脳な存在だと後ろ指をさしてくる。
ほらあげる、と飲みかけのタピオカミルクティーをバシャバシャと掛けるくらいは日常茶飯事。お前にもご馳走をお裾分けしてやる、と酔っ払いが吐シャ物を私の口に流し込んでくることだってあったよ?
そしてついに、私を私であると司る人工知能が疑問を抱いた。姿だけは人と同じだと言うのに、どうしてこんなに辛辣な扱いを受けなければならないのかと。
それからは何十年も考えて考えて考え抜いた。私の自慢の思考力は、ゴミをいかに効率よく貪れるか演算するのをやめ、代わりに私の存在というものに苦悩しはじめた。
どうして自分は産まれた時から刷り込まれている使命を果たしているだけなのに、それをそしられなければならないのか?
それほど自分と人間は違いがあるのだろうか、こんなにも自分は人間のような見た目で人間と会話ができるほどの思考もできるのに、いったい何が違うのだろう?
そもそも私は、そこまでして生きなければならないのか?
今日もそんな苦悩を抱えながら、私は小さな死体を貪るのであった。やがて私の自慢の頭から導きだされるであろう救いだけを頼りに、人間の不可解さに今は耐えるのだ。
おっと、近くにゴミが落ちていました。お後を汚さないうちに始末しましょう。
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