プロローグ
プロローグ
--アルストラ郊外--
鬱蒼と茂る木々の葉を勢いよく雨の滴が打ち付けている。この地方では異常な大雨は、既に一昼夜もの間続いていた。
大雨の影響による増水で数か所で川の氾濫が見られ、道には河川の水が流れ込み雨に強い幌付きの馬車でも容易には通れそうに無い状況にまでなっている。
その場所で唯一川の氾濫から無事な場所があった、それは道から少し離れた場所にある丘だ。
小高い丘には大きな一本の樹木が存在し、他に木々は見当たらない。その代わりに一目で人工物だと解る石材が見受けられた。
それは墓石だった。
数ある墓石の多くは度重なる風雨に晒され、刻まれていた名前や年号等は既に失われてしまっている。
しかしその中の一つ。
比較的新しい墓石には未だ風雨による浸食は見られず、本来の形として在り続けていた。
墓石というのは、そこに眠っている者によって形が違う。聖職者であれば信仰していた神々の似姿であったり、学者であれば書物の形だったりと様々だ。
多種多様な墓石が存在する中、そこに在った墓石はある種異様であった。墓石の形事態は一般的な騎士の墓石に似て盾の形をしてはいるが、表面に描かれている模様が他の物とは明らかに違っていた。
騎士の墓石に描かれる模様は自分が仕えていた主人の紋章であったり、
自分の家の紋章であったりする。
しかしその墓石にはそういった名誉ある紋章は描かれてはおらず、描かれていたのはたった一つ。
しかもそれは誰が見ても明らかなほど、正規の方法で記されたものではなかった。
専用の道具では刻まれず、ただ硬い物で打ち付けられて出来たそれは誰にでも解る模様。
そう、それは大きな1つの瞳であった。
初投稿。
趣味で書いていた小説が、PCのデータ破損により消失した為、
ネット上に保存する意味も込めて投稿。
異世界転生なのか異世界転移なのか?
誤字脱字に気を付けていきたい。
しないとは言えない。