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飯マズな超未来で俺はルネサンスに励む  作者: バトウスキー
誕生から3歳まで(仮)
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第5話

明くる日俺たち家族は地方主都惑星へと旅だった。


自宅を出るとトランスポーターに乗り宇宙港へ向かった。

道すがら両親に聞いたのだがどうやら宇宙港はその名の通り宇宙に存在するらしい。

自宅であるマンション高層部からはチラリと薄く見えるのだが、地上から空に向かって一直線に伸びる塔。所謂軌道エレベーターを使って宇宙に飛び出すようだ。

軌道エレベーターとは21世紀ではもはや計画すら立てられていた思想的には大夫古い物であり、確認されているものでは1895年にはコンスタンチン・ツィオルコフスキーが既に自著の中で記述している。

しかし、その効率は他に回答が無いほど完成しており、5000年経った未来でも宇宙空間と地上の往復に軌道エレベーターを使うのが一般的になっているようだ。

そして軌道エレベータの先に所謂宇宙ステーションが存在しており、それが宇宙港としての役割を果たしているのだとか。


そして、トランスポーターに揺られること2時間、トランスポーターは遂に軌道エレベーターのターミナルまでやってきた。軌道エレベーターは天高くそびえ上は全く見えない。

そして、思ったより太くスカイツリーの土台程の太さはあるだろうか。


「高いなあ~」


俺がしみじみと上を見上げていると


「そうね、ここから静止衛星の高さまで凡そ36000キロもあるのよ。しかもそこまで1時間で行っちゃうんだから」


と母が横から解説をしてくれる。

概念そのものは俺が生きていた時代は既に存在したし、様々な漫画アニメ等でも見たことは何度となくある。

しかし、この時代に生まれてきてから間違いなく最も大きな建造物であるであろう軌道エレベーターを実際に見るのではやはり全く違う。

これは、最早ちょっとした感動を覚えるな……


そんな事を考えながらターミナルの中に入ると中は空港のような場所となっていた。


ロビーがあり、手荷物検査場や税関等が見て取れ、身体チェックをして入場するための列ができていた。

どうやら、ここから先に入るためにはある程度のチェックが必要となるようだ。

そして、身体チェックが行われている列に俺たちも並ぶのか……と思いきや、父と母はその行列をスルーし別の扉に入っていった。

え?並ばないの?と疑問に思ったが大人しくついて行く。

扉の中は空港ロビーの機能的な作りと違い、デザイン性・居住性を重視したゴージャスな作りとなっており、中に入った途端自動ロボットが近づいてきて、俺たちの荷物を回収していった。


「ねえ、ここは何?」


「ここはねえ、お金持ちや偉い人用の出発ロビーだよ」


なんと!!これが噂に聞くvip専用ルートなのか!!

21世紀の空港にもあったファーストクラス利用者やプレミアム会員専用のラウンジ!!

そんなハイソな物を俺が利用出来る日が来るなんて!?


そんな事を考えながら歩を進めると先ほどの列ができていた入口よりも小さめのゲートが見えてきた。

そこには数人の人が居り、身体チェックを待っているようだ。

そして、俺たちも同じように待ち、俺たちの身体チェックの番が来た。


待っているときに観察していたが、どうやら21世紀の空港と同じくゲートを潜るだけのようだ。


「あれは何をしてるの?」


「あれは、持ち込み禁止の物を弾いているのよ。あそこを通る時に持ち込み禁止の物があると自動的に外にその物質だけが転送されるようになってるの。後は武器類の制限ね。」


はえ~今の時代では身体チェックと言って体を触られることもないのか。ん?武器類の制限?持ち込み不可じゃないのか?


「武器は持ち込み禁止じゃないの?」


「だって武器は持ってなきゃいざと言うとき危ないじゃない」


え?武器持ち込みのがあぶないと思うのだが……もしかして、貴族の特権とかそういうことか?

と現代的な発想で考えていたがそもそも前提が違っていたようだ。

後で調べたことによると、どうもこのゲートを潜ると武器は自動的にロックがかかり使えなくなるようだ。

銃――と言ってもエネルギーガンだが――のような遠距離武器は引き金がロックされ、そして刃物類は刃部分に自動的にシールドが付与されるらしい。

そして、ハイジャックや宇宙海賊の襲撃等緊急事態が発生すると自動的にロックが解除されるシステムになっているらしい。


はぁ~凄い時代になったもんだ。

そんなやり取りをしている間に身体チェックは無事終わり何事もなくターミナルに入場した。


そして、やはりvipルートだからだろうか、中に入るとそこからは直通でクライマー――軌道エレベーターを昇るエレベーター的な乗り物の事――に通された。

クライマーは縦に長い電車のような作りになっており、それぞれ上に行くほどグレードが高い客室になっているようだった。


俺たちは当然のごとく最先頭の客車に乗り込み、個室に入った。


そこで、俺は気になったことを聞いてみる。


「ねえ、下の階層の客室はどうなってるの?」


「一番高いSランクとAランクは個室、BとCは普通の客席になっているそうよ」


どこか又聞きのような感じなのは、どうもこの二人Sランクしか乗ったことがないらしい。

そりゃあそうか、男爵家の御曹司と伯爵家のお嬢様だもんな。

クソ、このブルジョアジーどもめ!

でも、実際問題ブルジョアって中産階級の事だから、完全なる上流階級の二人を指すには程度が完全に足りてないんだよねえ~


そんなエコノミーショックを受けていると、遂に出発する時間となったらしくクライマーが静かに発進した。

窓の外を見ていると最初はゆっくり動き出したかと思ったのに、どんどん速度を上げていく。あっという間に地上が豆粒になっていた。

しかも恐ろしいのがこんなにも速度を上げ続けているのに揺れが全くないことだ。


「凄い速さだね~でもなんで、こんなに揺れないの?」


「ん?それはだな~局所的に重力場を作りだして、掛かるGを完全に相殺しているんだ」


もっと機体のスペックとかそんな理由かと思ったらまさかそんなオーバーテクノロジーが使われているのとは思わなかった。


「じゃあ、宇宙船にも同じ技術が使われてるの?」


「ああ、だから宇宙船の中や宇宙ステーションでもしっかり歩けるぞ」


おお、やはりそうなのか。よく物語では無重力酔いとかがあったから、若干心配していたんだ。

やはり、未来技術はすごい。


そんなことを話していると窓が暗くなるのを感じた。

そちらを見ると、地上は既に平らではなく、惑星としての丸みを認識出来なる位離れており、海の青々しさと山や森の緑のコントラストが素晴らしい正に絶景が広がっていた。


「わぁすごい綺麗……」


両親たちには見慣れた光景なのだろう。

特に感慨もないようでボウっと外を見ている。

しかし、21世紀の人間であった俺には違う。

現代では限られた人間しか生で見ることが出来ず、人口衛星や国際宇宙ステーションからの画像や動画でしか見たことがなかった景色。

今日見たこの景色を二度と忘れることはないだろう、それ程までにこの景色は俺のこころに感動を生んだ。


そして、しばらくすると惑星も徐々に小さくなり終点である、宇宙ステーションが大きくなって来た。


宇宙ステーションは軌道エレベーターの塔を中心として、そこから円形状に建物が広がっていた。

遠くから見ていたためか大した大きさではないと認識していたが、終点間際になるとその認識は誤りであったと嫌でも認識させられることになった。

宇宙ステーションは余りにも大きく、視界に収まりきらないのは当たり前で、その外壁側からは宇宙船がひっきりなしに出入りしている。 

宇宙船そのものもかなりの大きさであったがそれを飲み込み続ける宇宙ステーションは正に規格外の大きさと言えた。


「はぁー大きいな」


今日は同じようなリアクションしか取れていないが、それ以外にとりようが無いのだから仕方がない。


そうして、遂に俺は宇宙空間に踏み出した。


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