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飯マズな超未来で俺はルネサンスに励む  作者: バトウスキー
誕生から3歳まで(仮)
3/19

第2話

それから、何種類かの検査を経て俺は次の日を迎えた。

検査器は見た事無いものばかりで全て一瞬で終わった。

何か注射的なものも打たれたけど全く痛くなく、なんか当たってる程度だ。

検査の度に拙い言葉で何なのか聞いてみたんだが正直常識が違いすぎて何言っているのかは分からなかった。


あと驚いたのは飯だ。

赤ちゃんとはいえ、既に歯の生えている俺には入道食ではなく、固形のご飯が出てきた。

唯し、ブロック状の固形物が1個だけだが。


「こりぇだけ?」


思わず声を上げてしまったのも仕方ないだろう。  

そんな声に医者は律儀に答えてくれた。


「そうだよ。これ1つで1日分の栄養を全てとることが出来るんだ。しかも、ナノマシン配合だからお腹が減ることもないんだよ。まあ、もう少し大人になれば分かるようになるよ」


そう言って医者は俺の頭を撫でた。


しかし、1日1粒って凄いな。

大きさ的には日本でよく市販されてた丸い箱に入った6等分のチーズ1ピース分位の大きさだ。

人類は遂に食さえも超越してしまったというのか。


さて、お味は?

…………ん?あれ?味しない?……ってか不味い?

なんか見かけとは違って思ったより柔らかく、少しすると口の中で解けるものの、味がしないし、唯口の中にの固形物のカスが残る感じで………端的にいうと不味いぞこれ。

何と言うか、味がある飲み物が欲しくなる食べ物?栄養補給物質?

うーん、何と言うか風情がないな。

まあ、多分これは所謂病院食ってやつだろう。

家に行けばきっとまともな物を食べさせてくれる筈。


この時俺は楽観視していた。この世界を。

これから数え切れない程この食事と言うのも烏滸がましい栄養補給に絶望することになるとは、この時の俺は予想だにしなかったのだった。




午後になると両親が迎えに来た。


「迎えに来たわよ、アルバート」


「パパとママだよーさぁお家に行こうねー」


どうやら俺の名前はアルバートと言うらしい。これから世話になるのだから挨拶くらいして置くべきか。


「よりょしくゅおにぇぎゃいしましゅ」


そんな俺の言葉が余りに可愛かったのだろうか。

両親は俺を抱きしめて「なんて可愛らしいんでしょう」とか「アルバートは天才だ」とか好き勝手なこと言っていた。終いには「これはしっかりとした教育が必要だ」とまで言っていたので若干失敗したかもしれない。

この未来世界でまでしっかり勉強なんてしたくないぞ。


そんな風に両親に可愛がられていると、昨日から度々俺を検査している医者が部屋にやって来た。

どうやら、昨日の検査結果やら何やらを両親に伝えているようだった。

そして、伝え終わると俺の頭を一撫でして部屋を出て行った。

どうやら、これでもう退院okらしい。

俺は両親にそのまま抱っこされながら部屋を出て退院の手続きに入った。


病院で10分程手続きをして、外に出るとそこは正に未来に相応しい景色だった。

周囲には摩天楼が立ち並び、その合間を飛行している車らしき物体が縦横無尽に走りまわっている。

ビルの側面にはホログラムらしき広告が立ち並び賑やかなことこの上ない。

そんな映画でしか見たことがない景色を呆けっと口を開けて見ていると


「さぁ、行くわよ。ここからはトランスポーターに乗るのよ」


と母が俺を抱っこしながら連れて行く。

そして連れてこられたのは、まるでヘリポートのような場所に着陸している車だった。


そして、後部座席のチャイルドシートに俺を固定するとその両脇に両親が座った。


あれ?運転は?と前世基準で考えてしまったが当然のごとく自動運転だった。


そして父が腕についた何かのデバイス的なものを操作すると登場車は自動的に浮き目的地まで走り出した。

それは最初動いた事にも気づかない程に滑らかで振動なんてものは何も無かった。

そして、空中のレーンのような場所に入ると、車はよりスピードを上げて走り出した。

メーターの様なものがないから正確なところは分からないが、体感的には時速100㎞位は出ているように感じる。

周りの車も自動運転だからか速度が落ちることは一度もなく滑らかに一定の速度で街中を駆け抜けてゆく。

そして、20分程走ると病院があった繁華街の様な場所は抜け、大人し目のビルが立ち並ぶ住宅街のようなエリアに入った。

そして更に5分程走り、飛行車両トランスポーターはとあるビル、いやマンションに着陸した。


「さあ着いたわよ」


その言葉とともに俺はチャイルドシートから降ろされ今度は父に抱っこされ車を降りた。

そして、エレベーターに乗るとそのビルの最上階まで昇り、ドアが開かれた。


「「ようこそ、クーパー家へ」」


そうして、俺の第2の人生が始まった。




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