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第18話

1週間期間が開いてしまってすいません。

少しこれからの展開等を考えていたのと、少しリアルが忙しかったので更新が遅れてしまいました。

今日は新たな登場人物が出てきます。

では、本日もお楽しみください。


トウモロコシそれは世界3大穀物の一つにして、現人類が栽培する植物の中でも最も重要な植物の一つである。

その歴史は紀元前5000年前に遡り、古代南北アメリカ大陸においては唯一の主要穀物であり続けた。

そして、ヨーロッパ人によって新大陸が発見されると、トウモロコシはヨーロッパへ伝わり、そこからアフリカ、東アジアへと急速に広まった。

日本でも1591年にポルトガル人により伝来しており、火山地帯等稲作に向かない地域での栽培が行われている。

そして、トウモロコシの利点はその栽培のし易さであるが、それ以上に利用方法が多い事でも知られており、2017年において利用のしやすい穀物として世界中で10億トンものトウモロコシが生産されている。

その半分以上が飼料用として栽培され、次いでバイオエタノール等のバイオ燃料、コーンスターチ等のトウモロコシ加工品、そして、穀物用のトウモロコシとその利用方法は正に全ての産業に渡っており、トウモロコシは正に人類にとって、要の穀物と言っても過言ではない植物であった。


そして現在、動物園の草原エリアでトウモロコシに似た植物を見つけた俺は正に興奮の真っ只中にあった。


「あれ絶対にトウモロコシだ!!そうだ、現在進行系であいつ等に食べられてるんだった!!教授!あいつ等蹴散らしましょう!!!!」


「おいおい、何言ってるんだ。少し落ち着きたまえ。この保護区の中は生き物だろうが植物だろうが採取禁止だ。」


な、何だと目の前にトウモロコシがあると言うのに採れないと言うのか!?

漸く見つけた地球産の植物だと言うのに……手が出ないなんて……そんな、そんなのって無いよ。

そう、保護区とはその名の通り、人間の活動から保護する目的で設置されるものであり、当然の如く区域内の物を採取する事は勿論の事、傷つけるなんて絶対に許されない行為だ。

しかし、現在の興奮状態の俺にはそんな基本的なルールが唯の忌々しい邪魔者にしか見えなかった。


「そのトウモロコシと言うのか何かは分からんが少なくともここに生えているんだ、惑星レベルで言ったらもっと生えていても可笑しくないんじゃないか?」


確かに、別に此処だけに生えている希少な植物なわけでは無いと思う。

ならば今すべきなのはこの植物を後で探すための情報収集だ。


「教授、確かこのトランスポーターって見つけた動植物をリサーチする機能ついていましたよね?」


この動物園専用トランスポーターには出会った動物植物をスキャンしてその対象の詳細情報を知ることが出来る機能が搭載されたいた。

この機能は何時何処でどんな生き物に会えるか分からないサファリ形式で運営されるこの動物園において、必須の機能であり、そのデータベースに登録された生き物は正にこの惑星に生息する生き物の約70%にも及ぶ。

正に、植物の情報を知るにはぴったりの機能と言えた。

そんな機能の事を若干興奮が収まった俺は思い出した。


「うむ、確かにある。そうだな先ずはあの植物がこの惑星で何と呼ばれているかを調べるべきだな」


そして、俺達は食事中のロックパイソンを刺激しないように近づき、その植物をリサーチに掛けた。

トランスポーターからサーチ用のレーザーが植物に照射される。


「見れば見る程トウモロコシにしか見えない。実のこの色、特徴的な実の配列。間違いなくこれはトウモロコシだ。」


そうして観察している事2分、リサーチ結果が出た。


「お、結果が出た様だぞ。何々……まずこの植物の名前は「コーン」一年生植物で雌雄同株の植物である。現在このアンティアではこのコーンの派生種と思われる植物が確認されている……か。どうやら、この端末で分かる情報はこの位だな。」


俺は今の情報を聞いて、この植物がトウモロコシである事を確信した。


「どうだ?この情報だけでこの植物が、そのトウモロコシ?と言ったか、その植物であるか判断出来るか?」


「むしろ、その情報でこれがトウモロコシであることに確信が持てました。この植物『コーン』と呼ばれているんですよね。トウモロコシは俺が住んでいた国の言葉であって、海外では『コーン』と呼ばれていたんですよ。」


「そうか、そこ迄決定的な情報があるなら確実だな。その『コーン』とやらを食べる文化は無くなっても、名前だけは残ったのだろう。」


「そうと分かれば早く戻りましょう!!早くトウモロコシの実物を手に入れなければ!」


そこからの行動は迅速だった。

近くにいたロックパイソンの群れ等には目もくれず、全速力で専用トランスポーターを最初の地点まで走らせる。

そして、俺達は動物園の入口まで帰るとトランスポーターに乗り込み、先ずはホテルに帰る事になった。


「さて、まだまだバカンスをする積りだったが、こうなってしまってはもうバカンスの気分には成れんか?」


そう車内で教授が俺に聞いてくる。


「はい。見つかるか分からない状態で遊ぶならともかく、こう実物が見つかってしまっては、それどころじゃありません。」


教授は溜息をついて


「はぁ~。だろうな。もう少し私もバカンスしたかったんだが……ここまで確定的な物が見つかってしまったらそんな気分にはならんか。……なら、先ずはあの『コーン』の情報を調べてみよう。」


「はい。でも調べると言ってもどうやって調べるんですか?」


そう俺が質問すると、待ってましたとばかりに教授がほくそ笑んだ。


「ふふふ、アル君。最近君は私の扱いが雑だね。確かに普段私は適当だし威厳がないかもしれない」


自覚あったのか。

というか自覚あるなら直せよ。

それさえなければ美人だし頭いいし凄い魅力的なのに……


「しかぁーし!!どんなに人間的にダメだったとしても私はアルビオン王立大学の教授なのだ!!その威光を見せてやろう!!」


そう宣言すると教授は何処かに連絡を取り始める。

どうやら、若干揉めているようだが、教授が持ち前の勢いで相手を圧倒していた。

そして何とか合意を得たのか、連絡を終えホテルに向かっていたトランスポーターの行き先を変更した。

俺は何処に行くのか気になったので教授に訪ねた。

しかし、


「行先は秘密だ」


と言って教えてくれなかった。

そのままトランスポーターを走らせること30分。

トランスポーターはホテルやショッピング街等がある繁華街から外れた郊外にまで来ていた。

そして、トランスポーターは一つの建物の前に止まった。

その建物は大きくはあるが5階ほどの高さしかなく、高層ビルが基本のこの時代では珍しい建築だった。更に周囲には建造物は無く、この施設が広大な敷地を所有している事が伺える。

外見的には、俺が生きていた時代の大学の様な印象の建物だった。


「ここは何ですか?」


「ふふん、此処はだな。惑星アンティア植物研究所だ。この中にはこの惑星一植物に詳しいヤツがいる。彼女は私の後輩でね、今回無理言って会ってもらえる事になった。」


「本当ですか!?そんなコネがあるなんて伊達に教授やってないですね!!いや、本当に普段からは想像つかないくらい教授してますよ!!」


「そうだろうそうだろう!!……ん?普段はどう思ってるんだ?」


教授が余計な事に気づきそうになったので俺は話を無理に前に進める。


「なら、早速入りましょう!!その方の部屋は何処ですか?」


「おい、待つのだ。どういう事かちゃんと説明したまえ!!」


教授が後ろで何か言っているが無視して前に進む。

建物の中に入るとそこはエントランスとなっており、カウンターが一つ設置されていた。

カウンターには応接用ロボットが設置されていて、来客に対して応対が出来るようになっていた。


「クリシュティナ・ボロゾフでアポイントメントを取っているんだけど」


俺はロボットにそう尋ねる。


「ケイト・フォルトナー博士のお客様ですね。博士は2階205号室におります。」


「分かったありがとう。だそうですよ教授。さあ、行きましょう」


「むぅ、後でしっかり聞かせて貰うからな」


俺は聞かなかった事にして2階に上り、205号室を目指す。


「今から会うケイトフォルトナー博士ってどう言う方なんですか?」


「ん?ケイトは植物学の博士だ。彼女は大学時代の私の後輩でな、学部こそ違ったが常に私の後を付いてきた可愛い奴だよ」


教授の後を好き好んで追いかける人がいるなんて、これから会うケイト・フォルトナ―教授とはどんな人なんだろう。

俺は今更ながら、今からの面会に若干の不安を覚え始めていた。


そして、指定された205号室に到着した。

俺は教授の話を思い出して、若干尻込みしていたが、それではいけないと大きく深呼吸する。

心を落ち着け、これからどんな話をしなければいけないのかを頭の中で整理する。

そして遂に心の準備が出来そうという時、教授が俺のじれったい様子に痺れを切らしたのか、先にノックしてしまった。


「ケイト、私だ」


「はーい、今出ます」


教授のぶっきら棒な声に、落ち着いた女性の声で中から返事がある。

そして、直ぐに中から扉が開けられ、中から一人の女性が出てきた。


「久しぶりだなケイト。」


「はい、お久しぶりです先輩」


どうやらこの女性がケイト・フォルトナ―博士である様だった。

フォルトナ―博士は150cm位の小柄な女性であり、顔は小動物系でとても整っていた。

髪は栗毛色のショートヘアをしており、その小動物系の顔にとてもマッチしていた。


「とりあえず、中へどうぞ」


とフォルトナ―博士は俺たちを中へ招き入れ、研究室の中にあるソファへ俺たちを案内する。

そして俺たちは案内されたソファに腰を落ち着け話が出来る体制になる。


「それにしても先輩、いつも言ってるじゃないですか。来る時は前もって連絡下さいっていつも言ってるじゃないですか」


そして、そこから今日の本題が始まるのかと思いきや、フォルトナ―博士の口から出てきたのは教授への小言だった。


「だから、連絡したじゃないか。来る30分前に」


「ですから数日前に連絡下さいって言ってるんです。そこまでではなくとも、せめて数時間前とか、もう少し余裕を持った訪問を心掛けて下さい。」


「まあ善処しよう」


教授はケイト博士の小言は何処吹く風で生返事だ。


「はぁ~、まあ先輩にいくら言っても無駄っていうのは分かり切ってるんですけどね」


ケイト博士はそんな教授の様子は慣れているのか諦めているのか、ため息を一つ吐いた。

その様子を見た俺は先程教授から聞いたケイト博士の様子と今目の前にいるケイト博士の様子とがイマイチ一致していない事が気になっていた。


「ところで、そちらのお子様がどういう関係……」


そんな事を考えていると

俺の存在に気付いたフォルトナ―博士が教授に俺のことを訪ねようとして、言葉を切った。


「ま、まさか先輩のお子さんですか!?いつ!?いつ結婚したんですか!?私なんてまだ彼氏さえ出来ていないのに!?」


そして明後日の方向に勘違いしていた。

どうやらフォルトナ―教授とは一見普通に見えるが、やはり教授の後輩ということで、どこか一般とズレた人のようだ。

それが俺のフォルトナ―教授との初対面の印象だった。


「この子は私の長男だ!!」


そして、教授はなんとそんなフォルトナ―博士の勘違いに便乗しようとした。


「や、やっぱり……先輩には結婚する順番だけは絶対に負けないと思ってたのに!」


フォルトナー博士は予想外の事態に完全にショックを受けた様子だった。

俺は流石に不味いと思い即訂正する。


「違います。僕はアルバート・クーパーと申します。教授とは協力関係で、血縁はありません。今回はお願いがあって参りました。」


そんな俺の言葉を聞いてあからさまにフォルトナー博士はホッとした。


「そうですよね。先輩がそう簡単に結婚出来るはずないですもんね。あぁ~驚いた。先輩そのジョークは質が悪すぎますよ〜」


「おい、私が黙って聞いてれば好き勝手言い過ぎだろう。アル君もケイトも普段から私の事をどう思ってるのか聞かせて貰おうか!!」


そんなケイト博士のアンドの仕方に今度は教授の方が切れていた。

どう思ってるも何も普段の行動を考えればね。

俺はそんな事を考えていると、目の前のフォルトナー博士と目が合う。

どうやら、向こうも考えていることは同じらしく、目と目で通じ会えた。


『普段の行動を考えてください!!』


俺達は一斉に同じ事を叫んだ。

完全に一致した反応に教授が怯む。


「……そんなに普段の行動は酷いか?正直、皆が酷い酷い言うのは半ばジョークだと思っていたんだが」


そんな教授の言葉に俺は愕然とする。

マジで気づいてなかったんかこの女。

向かいを見ると、フォルトナー博士も唖然としている。

彼女も、教授は自分の酷さを理解しながらも、それでも治そうとしていないと思っていたようだった。


「いやいや、ホントに言ってます?普段から快楽主義一直線で自分の興味がある事しか行わず、周りを振り回してばかり。近くにいると絶対に面倒に巻き込まれる、トラブルメーカー。そんな印象ですよ、先輩」


フォルトナー博士は教授が余りにも自覚していないと感じたのか、普段から感じていたことをオブラートに等包まず、ストレートに伝える。

俺もそれを聞いて全力で頷いた。

そう言えばこの間、絶対に結婚出来ると断言していたが、あれはジョークでは無かったのか……

まさか本当に自覚が無いとは思わなかった。

フォルトナ―博士が放った真実を聞いた教授は、完全に真っ白になり放心していた。

そして、そんな力尽きた教授は放っておくのか、フォルトナー博士は今度は此方に話しかけてきた。


「まぁ、先輩の驚愕の真実はどうでもいいとして。今日は何かお願いがあっていらしたんですよね?」


おっと、完全に本題を忘れていた。

こんな事で時間を浪費している場合では無かった。

今日は最も大事な用事があるのだから。


「はい。僕は現在ポロゾフ教授の協力の元、ある事業を興そうとしています。そして、その為にある植物を探していたのですが、その植物の一つをこの惑星アンティアで発見したのです。本日はその植物について専門家の方にお話を伺いに参りました。」


俺の説明にフォルトナー博士は納得して様子で


「成程、分かりました。しかし、そのお年で事業の立ち上げですか。失礼ですが今お幾つですか?」


と尋ねてきた。


「この間3歳になったばかりです」


そんな俺の返答にフォルトナー博士は驚愕したようだった。


「3歳で起業ですか!?ええと、年齢偽ったりしてないですよね。全身クローン体で若返ってるとか」


「してないですね。完全に自然の身体ですよ?」


「はぁー信じられませんが、先輩と一緒にいる事を考えると強ち嘘ではないのでしょう。それで、その見つけた植物と言うのは一体何でしょう」


「先程、この惑星の動物園に行っておりまして、その際『コーン』と言う植物を見つけたのです。フォルトナー博士にはその植物の生態を教えて戴きたいのと、もしその実をお持ちでしたらそれを少し分けて頂きたいのです」


そんな俺のお願いを聞いて、フォルトナー博士は少しの間、目を閉じて考えていた。

そして、考えが纏まったのか口を開いた。


「コーンですか。何故そんな特徴もない植物に注目するのかは敢えて聞きません。ではまずは、生態ですね」


フォルトナー博士は俺達の目的にはさして興味がないようで、深くは聞かずにその生態系を説明してくれた。

その説明を聞けば聞くほどそ、あの植物はコーンに違いないようだった。

前世は別に植物学者でも何でもなかったが、トウモロコシの生態位少しは知っている。

やはり、その記憶とも博士が語ってくれたコーンの生態は合致していた。


「ありがとう御座います。やはりその植物は僕が捜している植物と同じ物の様です」


「そうですか。それは良かったですね。それで、コーンの実が欲しいのでしたね。」


「はい。それも完全に熟し切った状態の物ではなく、黄色い実の状態の物が欲しいのです。」


それを聞いて、フォルトナー博士は少し残念そうな顔をして答えた。


「熟し切った実ではなくまだ黄色い状態の実ですか……残念ながら、現在この研究所には発芽可能な状態の種子しか無いですね。」


その答えを聞いて俺は落胆してしまった。

やはり、そう簡単には手に入らないか。

また振り出しに戻ったと感じた俺だったが、次のフォルトナー博士の発言でその考えは一変した。


「なので、採りに行きますか?」


一瞬何を行っているのか分からなかった。


「……えっと採れるんですか?」


漸く博士の言葉を理解した俺の口からはそんな言葉が零れた。

そして博士俺の言葉に気負う事もなく気軽に


「はい。別に珍しい植物でもなく、惑星中に生息していますので直ぐに見つかりますよ。それに時期も良かったです。丁度北半球では実が黄色い時期ですよ」


と答えた。

俺はその言葉に対し反射的に返答した。


「お願いします!!先ず必要なのは少数ですので、採りに行かせてください」


漸く俺に運が回って来た瞬間だった。

思えば、今日は折角見つけたトウモロコシを目の前にしながらもお預けされたりと、いまいち運が良いとは言い難かったのだ。

しかし、漸く目的が叶おうとしている。

俺はそんな事を根拠もなく感じていた。


「分かりました。なら、トランスポーターを準備して来るので少しここで待っていてください」


そう言ってフォルトナー博士は部屋から出ていった。

俺はフォルトナ―博士が部屋を出ていくのを確認すると、依然として放心状態の教授に声をかけた。


「教授、教授。ほらいい加減正気に戻ってください」


「アル君。私はもう駄目だ。周りの人間にそんな風に思われていたなんて、もう生きていけない」


そんな事を言っている教授に俺は優しい言葉で答える。


「教授、今更ですよ。それにいくら教授がトラブルメーカーでも皆教授から離れていないじゃないですか。それは教授が皆から愛されている証拠ですよ」


正直、教授の交友関係なんて知らないが、フォルトナ―博士のような人が知り合いにいるのだから決して人脈等は少なくないだろう。

そう考えて、俺は口から出まかせを言う。

今はこの人の力が絶対に必要だ。

こんなくだらない事でパワーダウンしていて貰っては困るのだ。

まぁ、いつかあの適当さ加減だけは直してもらおうとは考えているが。

そんな俺の全く心の籠っていない励ましの言葉に教授は調子を取り戻した様子で


「うむ!そうだな!確かに私の周りにはまだまだ慕ってくれている人間が一杯いる。これからは少し優しく接してやろう」


と言っていた。

一応改善する意思はあるようだが、その意思がどこまで本気かは俺には図り切れなかった。

そんな事を言っているとフォルトナ―博士が準備を終えて部屋に戻って来た。


「準備が終わりました。では此方に着いて来てください」


そう促され、俺と教授はフォルトナー博士の後をついていく。

少し歩くと、トランスポーターの発着場に着いた。

そこには一般の物より大型なトランスポーターが一台止まっていた。

俺たちは中に乗り込みトランスポーターを発進させると、ここから20分ほどの場所にある草原地帯へとトランスポーターを走らせた。

走ること20分。俺たちは無事に目的の草原地帯に到着した。

そして、そこで俺が目にしたのは、一面のトウモロコシ畑であった。


「到着です。ここがこの辺りでは最も大きいコーンの群生地帯です。」


「……凄い、こんなに一杯のトウモロコシが自生しているなんて」


地面に降り立ちトウモロコシ畑を前にすると、その存在感に圧倒される。

動物園の時はトランスポーターからは降りずに観察していたため気にならなかったが、実際に自分の目で見てみるとその伸長の高さに驚かされた。

眼下には青々としたトウモロコシはそれぞれの伸長は2m近くにもなり、まだまだ1m位の伸長の俺には上を見上げなければ全体を見ることが出来ない。

なので、俺にはトウモロコシの壁が広がっている様に見えていた。

そんなトウモロコシの群生地に感動しているとフォルトナー教授が解説をしてくれる。


「こんな群生地帯がこの惑星には何か所か存在しているんですよね。自然ではあり得ないような群生地帯がある。これが唯一と言ってもいいコーンの特徴ですね」


成程、やはりこの惑星ではトウモロコシの大規模栽培がされていたらしい。

多分余りにも規模が大きかったため、人の手を離れてもこのようにずっと生き残れたのだろう。


「では早速、収穫しますか?」


「分かりました。」


俺はそう答えて、一本のトウモロコシに近づく。

そして、実の部分を捩じ切るように収穫しようとする。

……しかし、それは不発に終わった。

覚えているだろうか、俺の体は今3歳児である。そんな子供が2m近くにもなるトウモロコシを収穫できるだろうか。いやできない。

某となりのト〇ロではメ〇ちゃんも収穫に苦労していた。

そんな〇イちゃんよりも年下の俺にはそんな収穫不可能だった。

俺はそんな事態に絶望していた。

多分この世の終わりのような顔をしていたのだろう。

そんな俺を見かねて、教授が近づいてくると、俺が折ろうとしているトウモロコシに手置くと、一緒に折ってくれた。

俺は感謝を述べようと教授の方を見ると。

教授は今にも吹き出しそうな顔をして、笑いを堪えていた。

そんな教授をみて俺は感謝の気持ちが一瞬にして消え去ってしまった。

まあ、兎に角俺は漸くトウモロコシを手に入れることに成功した。


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