第17話
さあ、今回予告通り遂に食材が登場します。
お楽しみに!!
あと、評価ブクマはいつでもお待ちしています。
あれから数日、俺たちは兎に角この惑星で遊びまくった。
最初に行った動物園はほぼ全て回ったし、海中探索、各種スポーツ、ショッピング等々、この惑星で出来るバカンスを堪能した。
少しだけ説明すると、海中探索は要は動物園の海中版だ。
個人用の潜水艦に乗り、水中生物の観察をするというものだった。
因みに、この個人用潜水艦の最大潜水深度は20000mであり、この惑星の最大深度が15000mなので絶対安心というのがこのテーマパークの売りだった。
生き物としては蛸や烏賊に似たような多足の生き物が多いように感じた。
余りにも多足生物が多いので、もしこの惑星は人間が入植しなければイカ(に似たような生き物)が地上を支配したのではないだろうか。
そんな馬鹿な事を考えさせられた。
スポーツとしてはウィンタースポーツを楽しんだ。
惑星規模なので、地球と同じく北半球が夏なら南半球は冬だ。
故に惑星のどこかしらでそう言った季節に左右されるスポーツが出来る様になっていた。
そんな中俺たちが選んだのはウィンタースポーツだった。
理由としては教授が雪の中のスポーツをやった事が無いという理由だった。
内容としては地球にあったようなスキースノボは既に存在しないようだったが、やはりウィンタースポーツは雪の上を滑るという原則は変わらないらしく、スポーツ用の特別な靴を履き山の頂上から滑るものがメインだった。
しかし、ここからが『ああ地球のスポーツではないんだな』と感じた部分であるのだが、このスキー場リフトが無いのだ。
どういうことかと言うと、靴に動力が付いており頂上から下りてきたらそのまま坂を滑り上がるのだ。
これが中々楽しい、スノーモービルに乗っているような感覚といったら分かりやすいだろうか。
最初こそ緊張したがこのスポーツが一番楽しかった。
最後の方には簡単なトリックが出来るくらいには、雪の上を走り回っていたと言えばどれ位熱中していたかは理解して貰えるだろう。
ショッピングは惑星赤道の中央部分に一大歓楽街があり、その中の一つにショッピングエリアが存在した。
販売内容は日用品から高級ブランド品まで多岐にわたったが、バカンス惑星に相応しくお土産品の量が一番多かった。
惑星固有の美しい植物等も鑑賞用として販売しており、緑が好きな母にはこの植物をお土産で買った。
途中、教授が一人で買い物に行ってしまうというアクシデントはあったものの、このショッピングもとても楽しいものだった。
このように楽しんでいた訳だが、恐ろしいのがこれだけ遊んでもまだ惑星にあるアトラクションの半分も回っていない事だ。
流石にそれには惑星全体がバカンスのために特化されている惑星の凄味が感じられた。
そして、今日も俺のご褒美のバカンスに出かけようとしていた。
「さて、今日も元気に遊びに行くぞ、どこへ行きたい?」
「そうですね~今日は最初に行った動物園にもう一度行きたいです」
「ん?また行くのかい?まだ行ってないテーマパークもあるしそっちに行ってもいいんじゃないか?」
「それでも良いんですけど、最初の動物園って草原地帯とか回ってないところ後少しだけじゃないですか」
ここ数日回ってみてこの旅行中に全ての場所に行くのは絶対に無理だと感じた。
故に、1か所位全てを完璧に回りきってもいいかなと思ったのだ。
「まあ、アル君が良いなら別に私は構わないが」
そして、今日の行動予定が決定した。
もう3度目の動物園になり勝手知ったる我が家のように入場し、専用トランスポーターに乗り込む。
「では、まず一番遠くにある高山地帯に行きたいと思います。」
そして高山地帯に到着した。
「ふ~ん、この辺りで特徴的なのは6足歩行の哺乳類らしいな」
「6足!?そんなに脚があるんですか!?」
地球にはいなかった動物に俺は興味を持つ。
「何をそんなに驚いている?高山地帯という足場が不安定な場所なのだから脚が多いのは当然じゃないか」
そうなのか。
確かに、蟻、蜘蛛や百足等壁や天井など足場が悪い場所も移動する昆虫類は脚が多かった気がする。
でも、6足の哺乳類を俺は知らなかった。
「へぇ~地球には高山地帯でも足が5足以上の哺乳類は存在しないとまでは言い切れませんが、僕の知識には存在しませんでした。」
「そうなのか、足場が悪い地帯では生き物は脚が増える物だと論文で読んだんだがな。」
教授は古代学の学者ではあるが、別にそれだけに特化している訳ではない。
むしろ、興味のままに行動する人なので他の学問の論文も興味があるものはとことん読み漁っているらしい。
なので観察の途中途中に教授の知っている知識が解説として入ってくる、この時間はとても楽しいものだった。
そんな風に観察は続いていく。
高山地帯の次は密林地帯を観察し、その後は氷河地帯と様々な環境へと進んでいく。
そして、最後の保護区である草原地帯に突入した。
「いや~これが最後の保護区だな。流石に自然型の惑星だ。保護区の数が多いし、固有の生き物も興味深いものが多いな」
「そうですね。でも最後の草原地帯は余り見ごたえが無いんでしたっけ。」
俺は前に教授が言っていたことを思い出した。
「ああ、草原というのは割と多い環境だからな。どんな惑星も進化が似たような形になりがちなんだ。草食も肉食も皆4足と言ったような感じで、余り面白みがない」
「そうですか。ならパパっと流して、午後は映画でも見に行きますか?」
「うむ、それもいいな」
そんな事もあり俺たちは草原地帯を適当に流しながら走っていた。
「む、あれはロックパイソンの群れか。ああ、食事中のようだな」
適当に生き物を見つけながら、走っていると教授が生き物を見つける。
そこに居たのはウシのような体をもち頭にはシカのように左右に広がる角をもった生き物の群れだった。
視線の先ではその群れが草原にある植物を一心不乱に食べていた。
教授はそんなに興味を持っておらずそのまま過ぎ去ろうとしていた。
「別に見るべきところもないな次へ行っても良いか?……アル君?」
そんな教授の質問に俺は答える事が出来なかった。
何故ならば俺は驚愕していたからだ。
勿論ロックパイソンの群れにではない。
俺が驚愕していたのは、ロックパイソンの群れがいるその先、彼らが食べている植物にだった。
その植物は背が高く1m50cmはあり、その茎の部分には2、3個の実が出来ている。
その実は周りを葉で覆っており、実の頭からは白い毛のようなものが何本も出ている。
そして、パイソンたちが食べているため実を覆っていた葉は剥がれ中の黄色い実が見え隠れしていた。
そんな植物を俺は良く知っていた。
世界3大穀物と呼ばれ、地球では食料以外にも広く使用されている、そんな植物。
それは………
「あ、あれは……………トウモロコシだ!!!!」
そう、俺の視線の先にはトウモロコシが群生していた。
そうして、ひょんな事から食材第一号を俺は発見した。
さあ登場しましたトウモロコシ。
トウモロコシ料理と言えばアレですよね。
皆さんも考えてみて下さい。