第15話
昨日、大幅な編集を実行しました。
具体的には教授のTSとプロローグへの追加です。
口調と性格が結構変わっているので、是非ご確認ください。
最後に
昨日初めて、総合日刊ランキングに載りました。まだまだ下の方でしたが、とても嬉しかったです。
まさかこんなに早く目標の一つを達成出来るとは思いませんでした。
皆様の日頃からの応援のお陰です。
次は総合ランキングの上位に食い込むことを目標に頑張りたいと思います。
評価とブクマはいつでもお待ちしています。
これからも応援よろしくお願いします。
惑星アンティアは緑が豊かな惑星である。
名前の由来はギリシャ・ローマ神話の女神アンテアーであり、この女神は植物の成長を司る女神でもある。
故に、地球からも農作物が持ち込まれたのではないかと考え、今回の旅先に選んだ。
このように、移民初期の惑星には惑星の名前が地球の文化由来であることが多く惑星選別の目印になった。
惑星アンティアに上陸すると何処か懐かしい臭いが俺の鼻をついた。
その臭いとは海の臭いである。
惑星アンティアは初期移民惑星に相応しく、赤道上に軌道エレベーターが設置されていた。
故に軌道エレベーターのステーションは海上にあるという、現代では珍しい惑星の一つであった。
そして当然の如く海上と言うことは当然のごとく潮の匂いがする。
それはどこか生臭いような独特の潮の臭いであり、生命がたくさん存在することの証でもある。
そして前世の頃は夏の海水浴や釣り等で何度も嗅いでいた匂いでもあった。
そんな自然型惑星特有の匂いが俺たちを出迎えた。
「あぁーこの匂い。自然型惑星に来たって感じがするなぁ」
「他の惑星じゃこの海の潮の匂いって無いんですか?」
「ああ、テラフォーミングされた惑星では海にそもそも生き物が居なかったりするし、いても中々ここまで豊かな生態系はしていないんだ。だからこの匂いは自然型惑星の特権だな。……そういえば、アル君はこの匂いが気にならないのかい?初めてだと顔を顰める人も珍しくないんだが」
そう言われても、所詮海の匂いだしなぁ……
「まあ前世で何度も海に行っていますし。この匂いは慣れていますよ」
「そうか、かつては地球の海もこのような匂いだった時期があったのだな……」
教授はどこか悲しそうな顔をした。
そう、現在の地球の海は再生された物で、かつてに比べると生き物の数は大幅に減ってしまっていた。
故に、今の地球ではこのような匂いは全くしないらしい。
「そうですね。釣りとかで海に行ったりすると服に匂いが染みついちゃって大変だったりするんですよね~。その服を玄関先に放置したらとんでもない匂いが玄関でしていたなんて良い思い出ですよ」
「ん?釣りってなんだい?まさか今にはないロストカルチャーかい!?」
しまった。釣りも失われた文化だったか。
萎らしい様子は何処へやら、教授は完全に復活し自分の興味のままに俺を質問攻めにしてきた。
まぁしおらしい教授よりこっちの教授の方が、らしいっちゃらしいけど……でも、ウザイ!!
そして、質問がひと段落したのか、教授は落ち着きを取り戻した。
「さて、釣りという文化の話はこれ位にしてまずは今日から滞在予定のホテルにチェックインしに行くぞ」
そんな教授の言葉を合図に俺たちは移動を開始した。
このアンティアには幾つかのの都市があり、それぞれがその土地の環境を最大限に活かした都市造りをしている。
例えば、この軌道ステーションの近くにある都市は海底に存在し、都市の何処からでも上を見上げれば海が存在し、魚が泳ぐのを見ることができる天然の水族館のような作りをしていたりする。
そんな、様々な都市がある中、俺たちが選んだのは平原にある都市だった。
その平原都市は数ある都市の中では最も基本に近い都市の外観をしており、面白味が少ないとも言えるが、今回植物が目的の俺たちにはピッタリの都市であった。
そしてホテルに到着した。
「さあ、ここが今回私達が泊まる予定のホテルだよ。」
早速チェックインをして部屋の前まで移動した。
今回は隣あって二つの部屋を借りており、一つに俺、一つに教授が泊まる事になっていた。
「一応、部屋は別けているが、アル君、一人で大丈夫か?さみしくないか?もし淋しかったらお姉さんが一緒に寝てあげるからな?」
と部屋に入る間際、顔をにやけさせながら教授が言ってきた。
「この年でそんな子供みたいに淋しがるわけないでしょうが!!」
俺は反射的に反論する。
「いや~君はまだ3歳だろう?3歳の『お子様』には『大人』の付き添いが必要かなと思ってね」
「グっ!、兎に角必要ないですから!!」
俺は形成不利と判断して自分の部屋に逃走した。
そして現在、俺は自分の部屋でさっきの会話について若干悶々としながら考えていた。
ああ言って教授の添寝の提案を即断ったが、よく考えたらあんな美人が添寝してくれるって言ってたんだから断るべきじゃ無かったんじゃないのか?
俺の前世の感覚で教授は相当の美人だ、そんな教授が隣で添寝してくれる……そんなの3歳という幼児の今だけの特権なのではないだろうか。
そんな思いが俺の中を支配する。
今から教授の部屋を訪ねてお願いしますとでも言ってみるか?
そう考え、危うく行動に移そうとし、その瞬間俺は大事な事を思い出した。
今容姿の事しか考えてなかったが、よく考えたらあの人、あの性格なんだよなぁ~
もし、添寝をお願いでもしようものなら多分喜んでしてくれると思うが、
『しょうがないでちゅね~アル君は~さみしかったんでちゅか~お姉さんが添寝してあげまちゅからね~』
とさっきの100倍は堅いにやけ顔で煽ってくるのだろう。
そんな様子が容易に想像できた。
ダメだダメだ。そんな事になったら俺の自尊心が崩壊する!
そして、俺の中で添寝案件は不可という事で決着した。
そんな不毛な事を考えながら荷解きをしていると、部屋のドアがノックされた。
扉を開けるとそこには予想通り教授が立っていた。
「アル君、そろそろ準備出来たかい?出来たならまずは遊びに行こうか」
と教授はそんな事を言っていたが、俺の頭の中ではついさっき否決された筈の添寝案件が再燃していた。
やっぱり超美人だよなこの人、俺のどうでもいいプライドなんて捨ててしまってお願いしてみるか?
そんな事を考えていると、
「どうした?そんなボウっとして……まさか、添寝して欲しいのかい!?」
と冗談めかして言ってきた。
俺は心の内を読まれたのかと思いドキっとしたが、そんな動揺を悟られないように否定した。
「いつまで言ってんですか、はい、僕も準備出来ました。では行きましょう」
「なんだい、詰まらないなアル君は。その気があるならいつでも言ってきていいからな。その時は全力で添寝してあげよう」
にやけながら教授は言った。
……今夜どうするか俺には今決心をつけることが出来なかった。
そんなやり取りをしている間にホテルを出た。
そして、教授に連れられるがままトランスポーターに乗り込んだ。
その車中、俺はそういえば何処に行くか聞いてないと思い教授に尋ねた。
「ところで教授、さっき何処へ行くって言いました?」
「ん?勿論まずは遊びに行くんだぞ?」
俺は目が点になった。
「いや、いやいやいや遊びに行くって、今回はフィールドワークしに来たんですよね」
そんな俺の様子に教授は
「勿論そうだよ。だけど、いきなり今日からなんて行くわけないだろう。まだ情報収集もしていないし」
「なら、情報収集しに行くってことですか?」
「いや、遊びがメイン。情報収集はそのついで」
おいー!!やっぱバカンスしに来てんじゃねえかこのアマ!!
「まあ、そう怒るな。もっと柔軟に行こう。例えば、今向かってるのはこの惑星の動物園だが、その途中でも観察とかは出来るさ。そして、本番でその観察した様子を元に考察するのさ」
「成程、先ずは先入観のない視点で観察し、そこで気づいた事柄を考察し研究に役立てるということですか」
俺はようやく納得できた。
やはり、教授はふざけている様に見えてちゃんと考えているのだと俺は安堵した。
「ウン。ソウイウコト、ソウイウコト」
しかし、そんな俺の安堵は教授の様子で一瞬にして吹き飛んだ。
本当に考えてるのか?このBBA
正直これが、本気なのか冗談なのかはまだ俺には見分けられなかった。
俺は若干の不安を抱きながらも、教授について行くしかないと考え、一旦その思いを横に置いた。
そして、教授が目指していたアンティア自然動物園に到着した。
まさかこの時、この動物園にて食材第一号に出会えるとは俺は夢にも思わなかった。