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どこから奇譚 離労デット  作者: 西高 英哉
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閉塞的な状況を打開できるかもしれない生活

陸奥六郎と後藤三世が、日が沈むような惑星アステロイドの状況を語っています。

「もう、後藤三世プレゼンスのユニセカンド社はつぶれってしまったんでしょうか? ユニセカンド社のメールアドレスは使用できないんですね。使えるメアドあるんですか?」

「ユニセカンド社って何ですか。イマイチなネーミングですね。ユニファウスト社の『ファウスト』というのは、多分、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの代表作『ファウスト』から命名していると思います。どちらにしても惑星アステロイドの片隅で微弱ながら栄華を誇った私の弱小企業は、もう、この世に存在しません。惑星台湾の予言者が飯島愛の将来を見たときに、テレビで発言した言葉と同じです。『もういないのよ。存在しないのよ――(涙)』です。それより、蟹熊社と北岳きただけエレが統合だそうです。まあ、驚きもないネタですが」

「半導体、電子部品はもうだめですね。大手ほど固定費高いので、合併やむ無しですね。ユニファウスト社も、もう一社の子会社と、くっつくの時間の問題ですよ」

「今日は、我が師匠、経営者兼ソフトウェア開発エンジニアの竹本ヨーダと飲んでました。彼はブローカーから脱却、焼け野原の惑星アステロイドで、ジョブズスタイルに宗旨変えしてました。一方、私は更にダースなブローカーに寄っていますので、師を越えましたね。竹本ヨーダは、『そんな山師みたいなことうまくいかない!』と私に言ってました。山師みたいじゃなくて山師なんだけど。今週は日曜日にりょうまどん君とも会う予定です。九月に惑星ラオスに行くそうなんで。りょうまどんホテルヒルトシェラトグランドオークラ・ラオスリージョナルエンタープライズ社設立に向けての布石です。先週は、品川のインターナショナル・ビジネス・マンパワー社出身の社長の会社を支援しました。体調不良ですが、趣味のブローカー活動が狙い通り動き出して、一千億ボッタクリ円のホテル物件の売れ行き次第では、りょうまどんホテルヒルトジェラートも夢じゃなくなります」

 陸奥六郎は、この後藤三世の壮大な計画に全く動じずに。

「よく分からないけど、楽しそうで何よりです。山師ということは、詐欺の片棒担がされて、訳もなく冷暖房もない交流所に何ヶ月も拘束されるとか牢屋行きとかいうロードマップの事ですか? ただの平社員では、刺激が足りないようですね!」

「ただの平社員ではなく、匿名係長、ここから先は有料です、の後藤三世です。しかし、遠いですね。やっと惑星横浜まで着きました。久しぶりの酒が良くまわります。詐欺の片棒は担いでないですよ。こちらは、投資活動の一環ですから。投資という名目なら何億稼ごうが副業ではないそうので。ホント不思議な惑星ですね。あとは、友人から『印紙も貼っていない借用書』があれば、お金は借りたカネなんですね。以前の都知事公務員がテレビでやってましたね。まったく逮捕もされないし、追徴課税も受けないんですね。本当に不思議な惑星です。まあ、そうでもしないと個人が儲からない三等以下の惑星ですよ。惑星として、都市国家としても終わってますからね。近い将来、やらずぼったくりの五輪までに全てが明らかになることです」

「あ」陸奥六郎が何か思い出したようだ。

「何? どうしました?」

「メールの方にいれておきます」と陸奥六郎。

「了解です。また辞めたくなったんですか? しかし、こちらは、厄2ヶ月経過しました。脱皿と比較しますと、はっきり言って楽ですね。破産手続きが完了していないのと、ブラブラ病みたいのが発病してる点がきついところです。早く帰れて土日休みなんで、何とかやれている感じ。この病気、つらくて! 薬が切れると頭痛と頭に霧がかかったようになって、体がだるくて、借金があるかのように。あるんですが、首が回らなくなります。というか勿論、首が回わらないのですが。かつ酒を飲むと頭痛がひどくなり、具合が悪くなって立ち上がれなくなります。まるで、カネを失った人間みたいな症状です。あ、失っている手続きの最中でした」

 これを聞いて、陸奥六郎が永久社長の言葉を引用した。

「『今も私はルールブレイカー』だそうです」

「ルール無礼講の間違いでは」

「学生の時に、『オーナー社長に会っておく』が成功の秘訣ですね」と陸奥六郎がエールを送った。

「成る程。陸奥六郎さんは、オーナー社長の親子経営の所ばかり転職されますから、その理論で行くと成功に近そうですね。今更、永久社長のお言葉、出涸らしのイメージですね。惑星間ネッツ販売社の社長のほうが役立つ発言しそうですが」

「私は、学生のときに要人に出会ってないので、全く違う路線ですね。ほんと永久社長さんは最後まで出でて銭をむさぼる気ですね。今の恩多無社の社長知ってますか? あの若者を大いに利用ですね。惑星間ネッツ販売社、元気そうじゃないですか、居酒屋副業も始めてるじゃないですか。住戸と店舗の両輪戦略ですね。後藤三世さんの元請負会社、ダークブローカー社でしたっけ、そこから移った人も、好調であれば、サポート案件が回ってくる按配でしょうか」

「そうですね。惑星間ネッツ販売社のミスターK社長は元気そうなイメージ。恩多無社からはカネ出て来ないイメージしかないですね」

「私が惑星間ネッツ販売社の存在を後藤三世さんに教えた五年位前に、不動産業界に移っていたら、今頃本当に後藤三世社長兼ブローカーの胴元になって、別の意味で不動産管理をしていたことでしょう!」

「流石、陸奥六郎さんは、先見の明がありますね。あの当時、不動産には全く興味なかったですからね。不動産を見直したのは、自分の会社が傾いて、ダークブローカー不動産の義務委託を受けてからですから。私は最後までエレキにこだわっていました。今じゃ、エレキ業界に入ったこと自体を後悔、製造業全体を否定の立場ですからね。わからないものです。時代はプロパティマネージメントの時代。新たに何か作っても真似されて終わり。独自のモノを企画して売っても大手資本に価格で負けて終わり。元手のない個人はプロパティマネージメント実行あるのみデス」

 後藤三世が続けて諦観的な予測をして、ここはまとめた。

「人が作ったモノを管理メンテするのみ。大きなモノに寄生するのみ。ものづくりもしないし、輸出入もしない完全に内向きの仕事です。これじゃ、日夜、優秀な人材が溢れている海外の国に負けますね。完全無欠の内向きの仕事をしながら惑星アステロイドが沈んで行くのを待ちます。これが正しいですね」



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