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どこから奇譚 離労デット  作者: 西高 英哉
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大型地図のパーティションでない用途とは何

暗黒の木曜日の前触れを予言する後藤三世、預言者の面目躍如の回です。

 陸奥六郎が相変わらず煽って来た。

「ブラックブローカー不動産株式会社に鷲ライオン社ですか? ユニファウスト時代に、鷲ライオン社に行った事ありましたっけ? セラピストっなんですか?」

「セラピストと言うよりは、セレモニアンとか、ダメモリアルスタッフですかね。鷲ライオン社は、ユニファウストの前にいたゼーニスというカリメア最後のテレビメーカの分身みたいなソフトウェア会社で、私はまさに若き日のダークベイダーとして働いていたのですが、その時に知り合いになった会社です。でも今日行く鷲ライオン社は、衛星三枚町の鍵複製のスペシャリスト、鍵の鷲ライオンです。午前中の約束でしたが、まだ到着できていません」

「マンションメーカーの鷲ライオンですか。事務所の鍵を複製して、珍入ですか――」

「マンションの鷲ライオンじゃないです。セキュリティの鷲ライオンです。そんな、法に触れることやって、寒い交流所で臭いメシ食わなきゃじゃ、つらい人生がさらに辛くなるじゃないですか。そういえば、ヒフ民が言ってましたが、世界地図ロンダリングは、陸奥六郎さんに悪いので、そんな酷なことできないって」

「奴らと避難しておきながら、鷲にご縁があるのですね。世界地図ロンダリングのような、そんな酷な事を考えるのは、後藤三世さんの特権ですね。社築リーマンになった後藤三世さんを、早く見てみたいです。たぶん、別人に生まれ変わってるんでしょう(笑)」

 負けずに後藤三世。

「たとえばですよ! こういうロールプレイングでどうですか? 『惑星横浜の会社が預かっている世界地図サンプルがあるので、三万ボッタクリ円で如何ですか? と日本郵船に持ち掛ける。そして、仮にこちらは、バッタ屋から送料込みで四千ボッタクリ円の見積、そちらは五千ボッタクリ円の見積で、二万五千ボッタクリ円の儲け。しかも、エンドユーザーは日本郵船様』」

 後藤三世が続けて。

「今たまたま、飛び込みで入ったビルに郵船商事とプルデンシャルがありました。サンプル三万ボッタクリ円で買うか、飛び込みで聞いて見ますか?」

 陸奥六郎が簡単に返してきた。

「飛び込むのは自由ですけど、後藤三世さんは、何ていう組織を名乗って入るんですか? 十三代目五右衛門の友達の後藤三世組のモンですが――で切り込んでいくんですか? しかも、その行為って、後藤三世さんが以前から、最も効果がない無駄な行為と言って、はばからなかったと記憶してますけど」

 後藤三世が聞こえないふりで話題を変えて来た。

「ニ月七日から引き出しを停止していた東京のビットコイン取引所、マウントGのWEBサイトがアクセスできなくなっている。そうです」

「あははっ、ですかね。暗黒の木曜日の前触れですか。」予言者、後藤三世にお伺いを立てる陸奥六郎。


「前触れですね」


「S坊やは、資産売却が本業か? ってかなり叩かれてますね。確かに、バカな経営者を飼い過ぎていたということですね。自分が経営できる立場になれば、ある意味良い教科書ですね」

「S坊やは酷いですね。役員を全員解雇すれば回復するかもしれませんね。私は今日は車を手放しました。十年以上乗りましたので。車検も三月に迫っていましたから、総額五万ボッタクリ円でした」

「5万クレジットですか、ちょっと安過ぎですね。維持費考えたら、仕方ない選択でしょうか。S坊やに対して、非過払い金の振込請求したいですね」

「こちらは、干からびそうですが―― 四者見積で一番高い所に、決めました。さもないと裁判所から不正売買の罪に問われてしまいます。Gブリオートというところで、何故そんなに高く買い取れるかというと、マレーシアに持っていくからだそうです。バンドグラデシュに興味ないか聞いたら、ものすごく興味あるそうなんで。紹介の約束をしました。ビズ成立すればバックマージンくれるそうです。ですって。私の場合、車売っても、ただ売る訳じゃないのです」

 陸奥六郎が話に乗ってきた。

「その会社がマレーシアに本当に売ってるか疑問を感じますが。分解して部品市場でも十分回収できるはずです。ホームページ見ましたが、セレナの写真が3代前の型を、三百万ボッタクリ円と値段付けているので、怪しさ満載な感じですが!」

 めげずに後藤三世が続けた。

「まあ、コネクションが取れたのなら、プリンターを先に売りに行きますがね。日本には車を売る気ないのでしょうね。ちゃんと今日、Gブリオートの取締役から電話あって所有権解除できたって来ましたんで。買い取行為は問題無しでしたよ。バンドグラデシュのブッシュマンに話したら、他の探しモノを依頼されてしまいました。今日は債権者説明会に債権者として出席しましたが、十五分でしたね。分配残金はゼロ。惑星金沢のプリンタ優良業者が来ていたので、名刺交換アンドお茶してきました。iPAD から富山の置き薬用プリンタのソフトウェア開発者でした。会いたかった人でしたので、債権者説明会より、ある意味、意味ありましたね」と債権者説明会帰りの後藤三世。

「確かに、ユニファウスト時代か大手航空機メーカ系プリンター会社で勤務中に出会っていたら、もっと活用シーンがあったかもですね。後藤三世さんに言わせるとエレキや、モノ作りは、馬鹿らしく不動産や準公務員のほうが流行りなんでしょうから、その準備に専念されては如何ですか? もう、者地区としての生活はスタートしたのですか?」

「いえ、まだです。会社の代表であるかぎりは、報酬もらってなくても、二重就労になるそうなんで、雇ってもらえないのです。公務員は本業職務専念義務があるそうなんで。しかも公務員じゃないですからね」

 陸奥六郎が乗ってきた。

「結構、公務員が副業でぼろ儲けというニュースが多いですけどね。逆に大企業の者地区が、副業でぼろ儲けは、あまり聞きませんね。一般企業の者地区は上司へのごますりとおつきあい残業で副業の余力は残らない、というのは、良く聞きますね。しかも、残業代は付かないとか、パワハラ付きとか、仕入れ先に頭下げ通しとか、は良く聞きますね。やはり、自由の身の間に後藤三世節をしっかり出し切って、心の整理をつけといたほうがいいですね。でないと、元公務員のような旧態組織では、言論の自由がないかも知れませんね」

「そうですね。大企業の場合は、着服、横領、背任が王道ですよね。この前も王族系銀行の経理担当の独身お局様が四億ボッタクリ円を横領とかありましたね。こういうのが裏山じゃないですか? 私の場合は、赤紙が届くまでは服役、赤紙が来たら戦場で強制労働というのが、これからの未来ですね」

 陸奥六郎が話題を変えて来た。

「しもべ氏は、ユニファウストの取締役に返り咲いてますけど。凄くないですか? ほんで、地図見積り取れそうですか?」

「先方に連絡したいんですけど、あまりに直前過ぎて―― ダメ元系ですね」

「暇なら、大桟橋の飛鳥でも眺めといてください」と陸奥六郎、続けて。

「ほんで、後藤先生にバイト頼んだら動いてくれるんでしょうか? いつまで、フリーの身の上なんですか?」

 疲れ気味の後藤三世が返事を返した。

「地図は売れないまま、誰もいない暗い事務所に置きっぱです。ヨーダこと竹本尊師からロス茶の半導体の引き合いを頂きました。勿論、即座に断りましたが」

「今日は、後藤三世さんは、テラポリス都内放浪記ですか? 裏山です。こんな桜が咲く爽やかな季節は、都会も気持ちいいでしょうね。久しぶりに、都内の空気を味わいたいです」

「投与コインは、よく分かりませんが。老舗のレンズメーカの中国でのバッシングが、激しいですね。後藤三世さんの復讐心を満足させるのでは?」

「センサーを収めているのは丸秘社だし、担当は替わってなければ元担当のY氏だし。今夜のネットサーフィンのオカズにどうぞ!」

 後藤三世が空元気な声で。

「お疲れ様です。本日、陸奥六郎さんの分身は、リバースとかいうトラックの二台に乗って、遥か彼方へと旅立ちました。きっと地図も、やっとパーティションでない用途に使ってもらえると、喜んでいるでしょう!」


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