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究極ミーチャ  作者: イナナキゴロー
3/30

拳姫ミーチャ vs 護衛者スタンリー

挿絵(By みてみん)


【使用素材】

・Model リサ(R-18) Ver3 データ製作者:クラ_Td731

・BackGround 水槽の部屋 製作:怪獣対若大将P

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四方を水槽で囲まれた練武場にて

対峙する二つの人影があった。


一方はミーチャ。

左手を腰元に置き、右腕を顔横まで上げた

アップライトの構え。


一方が魔導士会の護衛部門に所属するスタンリーという巨躯の男。

両手を顔の横に上げ、やや前傾のボクシングスタイル。


二人がここで試合をするよう命令を下されたのが

つい一時間前。


準備期間も報酬もない、ミーチャの腕前を

確認するためだけの試合。


遠巻きに二人を見つめる影たちの中央にはこの命令を下した

ライドー=ソーンという男がいた。

パレナの政を司る魔道士会のメンバーであり、

軍部に強力なコネを持つ男。


ライドーの周りの将校たちから手で合図があり

試合はひっそりと始まる。


と、同時に急激に間合いを詰めたスタンリー。

左腿を振り上げ、横蹴りを放つ。


2mを超える巨躯から放たれた大砲級の一撃。

当たれば即、決着となっていただろう。


その蹴りを寸での所で回避するミーチャ。

しかしスタンリーの動きは止まらない。


それはボクシングスタイルからは想定できない動き。

拳法の動きであった。


構えでのブラフからの急襲。

達人レベルの者でも冷や汗をかかされたに違いない。

スタンリーは本気でミーチャを倒しにきていた。


そして怒髪天を突く勢いで(たけ)ってもいる。


自身も相当に腕に憶えのある拳法家である。

それがこんな小娘の腕前を見るためだけの

木偶に仕立てられたのだ。


あまつさえ手加減無用とのお達し。

馬鹿にするなという思いがあった。


1分後、そんな考えも、猛った心も

周りの水槽の中のように冷え冷えとした

気配で満たされていった。


当たらないのだ。

ただの一発も。


スタンリーはその恵まれた体躯と軽量級を思わせる俊敏な動きで

武道大会を幾度も制した経験のある猛者である。


その男の本気の拳足が、ただの一発も当たらないのだ。

尋常ではないミーチャの見切りの技の妙。


スタンリーは気圧されながらも、その回転速度を

増していった。


それはさながら暴風。

すべてのものを巻き込み、蹴散らし、砕き折る必殺の重連撃。


だが、どんな技も当たらなければ意味がない。


スタンリーの動きが最高潮に達した時

ミーチャがぬるりと動いた。


淡く、薄い乳白色のラインが

スタンリーの顎下へと伸び、また戻る。


それは、とてもやさしい打拳。

顎下を少し"こする"程度の。


だがそんな当たりの打拳でもスタンリーの脳は(したた)かに揺れ

彼を夢の世界へと連れ去る。


糸のキレた人形のように倒れるスタンリー。

この一撃ですべては決着したのだ。


ドヨめく将校たち。

噂どおりのミーチャの技術に素直に感嘆の思いがあった。


ライドーも拍手をもって彼女を称える。


ふと目が合うミーチャとライドー。


ミーチャは、彼に裸だと見苦しいからと

着るよう渡された水着の(はし)をちょいと引っ張り

苦々しい笑みをこぼした。

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