表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
究極ミーチャ  作者: イナナキゴロー
2/30

拳姫ミーチャ vs サボター

挿絵(By みてみん)


【使用素材】

・Model リサ(R-18) Ver3 データ製作者:クラ_Td731

・BackGround Cargo Port Ver1.0 製作:JMatt379

--------------------------------------------------


数千人の怒号飛びかうロリュー領ササの港。

ストとは名ばかりの暴動、妨害行為を扇動するのは

この街の職人組合の者たちである。


パレナ、ロリューの政財界に深いコネのある彼らは

自治政府を(ないがし)ろに、この街を牛耳っていた。

これはその示威行為であり彼らのルーチンワーク。


そこに現れたのは美しき女豹ミーチャ。


タクシーを降りたその美姫は、すぐにガウンを脱ぎ

戦闘態勢に入る。


艶かしい裸体が露出し、周囲に妖艶な色香を放散する。

しかし、男たちはその色香に惑うことなく臨戦体勢へと移った。


その可憐な少女から同時に発せられた

強い殺意に当てられたのだ。


ミーチャにとってこれは雪辱戦でもある。

同時に対多戦闘の練習も兼ねていた。


本気になってもらわなければ困る。

それゆえわかりやすいほどの殺気を周囲に振りまいたのだ。


数瞬で2、3人の男たちを打ち倒すミーチャ。


ここまでは並の拳法家でもできる行為。

問題はここから。


周囲を取り囲まれ4方から同時に襲われる状況。

これが対多戦闘での最大のネックとなる。


3人までなら、スペースを取りながら立ち回ることができるだろう。

しかし、4人に取り囲まれた場合

そのスペースを作る場所がないのだ。


言わずもがな多勢相手に

動きを封じられることは即、敗北に繋がる。


では、どうするか?

彼女の場合はこうした。


短く鋭い跳躍の後、右腿を前に振り抜き、2名の顎を打ち。

その勢いで左腿を振り下ろし、2名の頭部を叩いたのだ。


『翼竜』といわれる中国拳法に伝わる蹴り技。

旋風脚の亜種である。


対多戦闘のために編み出された技ではあるが

その高すぎる運用難度から

実戦で用いられたケースはほとんどない幻の奥義。


それを使ってミーチャは四方の男たちを

ほぼ同時に昏倒させたのだ。


その技の精度、威力ともに尋常ではない。


彼女は自らが放った技のキレに満足そうな笑みを浮かべた後、

次々と男たちをなぎ倒していく。


女とはいえ"虎娘"のあだ名がつくほどの野性じみたパワーと

超一流といっても過言ではないテクニックをもった化け物である。


もはや、数の優位は無いも同然であった。


しばらくミーチャの蹂躙劇が続いた後

周囲をつんざく警告音が響いた。


車のクラクションである。


それも、全長23mの超大型トラック。


男たちの不甲斐なさにキレた組合員の一人が

トラックで乱入してきたのだ。


逃げ惑う男たち。

しかし、ミーチャは微笑を称え、それを迎え撃つ。


鋭く高い跳躍の後、右の腿を思い切り振り抜く。

ミーチャが渾身の跳び蹴りを放ったのだ。


その蹴り姿は横たわる龍を想起させることから

臥龍(がりゅう)

といわれた奥義。


足先ではなく踵を突き出すように打つ特殊な跳び蹴り。

別名"頭蓋(ずがい)砕き"とも称されるこの技は

踵に全体重が乗るため衝撃が内部まで浸透し骨への損傷に繋がりやすいのだ。


今回で言えば、トラックの頑強なフロントガラスを

破るのにもっとも適した技である。


砕け散るガラスとともに運転手を蹴り倒したミーチャ。

彼女はすぐさま運転席に座り、この無作法な狼藉者の

沈静化を計った。


ハンドルを急激にきられ横になるトラック、

伸びるブレーキ痕。


10輪の巨大なタイヤが男たちの脇をすり抜けていき、

しばらくして完全にその動きを停止させた。


数多の男たちがひしめく湾内。

なんと彼女は男たち一人一人の動きを予測し

彼らに接触しないようトラックを操作したのである。


運転技術もさることながら

その空間把握能力はもはや神域の極み。


崩然と地面にヘタリ込む男たち。


ミーチャは彼らに向かってトラックの窓越しに

パチリとウインクした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ