伍──誓い
一週間とか言って.....また少し遅れました。
申しわけございません。
むむむ、キャラに入るって難しいですね。
助言などあったら、ぜひ感想をください。
天を衝く摩天楼の最上階、煌びやかなお嬢様は今日も笑う。
「今日も素敵ですわね。」
彼女はグラスを手に取った。
柔和に光を反射する金色の長髪は腰まで靡き、純白のドレスはどこか儚い。
「貴方はどう思いますの?」
振り向く彼女はやがてその素顔を顕にする。
人形のような整った五官には、平凡とは違うものが一つ。
その耳は、少しばかり鋭い。
異形なはずのそれは、逆に彼女の品性引き上げた。
眩しいほどの笑顔は、まるで光が刺すかのようにも思えた。
「ねえ、聞いていますのよ?」
ああ、どうやら見蕩れてしまったようだ。
我ながら大変よろしくないと思う。
召使いである身としては、主人の要望を迅速に対応しなければならない。
数年前亡くなった爺がそんなことをよく言っていたのを思い出す。
「はい.....この街が、ですか」
何を言っているのだろう。
俺がみるこの街は、薄汚い。
自分の欲望に充実で、それを悪だと認める奴が多く存在する。
人間らしいといえばそうかもしれない、偽善者より百倍マシだと胸も張れる。
だが、それは決して素敵なものではない。
「僭越ながら申し上げますと、私はそうと思えません。」
「そう......残念ですわね、貴方には分からないのかしら。花は葉っぱの緑でさらに鮮やかに、ヒロインは配役の引き立てで美しく見えるのよ。」
お嬢様をさらに引き立てるもの、なのか。
だが、そんなものがなくとも、貴女は十分すぎるほど鮮やかだ。
「あら、そういう意味ではなくってよ。」
思わず口に出してしまったようだ、これでは執事の風上にも置けん。
「こんな場所だからこそ、宝石が目立って見えると思いますの。」
「宝石.....ですか。」
「ええ、誰もが夢見るような、素敵な殿方が、ですわよ。」
.......なるほど、彼女にも歳相応の願いがあるのだな。
どたんに湧いた心中のモヤモヤが、子供が成長した時の寂しさと、少しばかりの嫉妬だと気づくのに少し間が必要だった。
思えばあの時以来俺達はずっと一緒だ。
救ってくれた貴女は俺の光であり、俺は貴女の剣になると決めた。
「くれぐれも身の安全には気をつけてください。どうか、ご身分に合った行動を。」
本当はこんな危険場所に居てはならないのだが。
それでも、運命というものが貴女をここに繋ぎとどまるのなら。
「忘れないでください、貴女はブラッドリー家の長女である事を。」
「ええ、しかし、このタイミングで釘を刺すのは些か風情の欠けますわね。」
でも、そういう生真面目なところ、嫌いじゃないわ。
いつもそうやって微笑む貴女を。
例えどんな危険に晒されようと。
必ず守ってみせよう、この命にかえても。