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護衛依頼一日目

 更新が遅くなってすみません。

 テストなどで忙しくなってかなり放置していました。

 6月20日の朝

 

 ユウキは、彼女が起こしに来る前に起きていた。

 最近、ユウキにとっては嬉しくないことだが、朝早く起きるが慣れてしまったため、悪魔(アリシア)が起こしに来る前に起きてしまうことが増えてきてしまった。

 二度寝したところで、強制的に起こされることが分かっているため、朝から余計に力を浪費してしまう。

 なので、一度覚めてしまえば起きてしまった方がいいのである。

 

 ユウキが伸びしながらベットから起きあがって、窓のカーテンを開くと後ろからドアをノックする音と「失礼します」と声がした。


「おはようございます」

「おはよ」


 ユウキの前には、洗面器とタオルを持ったアリシアがいる。ここ何日かでもうお決まりとなっている形である。しかし、奉仕されることになれていないユウキには、まだ違和感が拭えない。

 

 アリシアの用意した洋服を着た後は、いつものように用意された朝食を食べ、出発する準備に取り掛かった。


「出発する準備どうなっている」


 半ば返ってくる言葉はわかっていたが、ユウキは剣を二つ腰に差しながらアリシアに尋ねた。


「すでに準備の方は整っています」


 玄関の方を見ると、トランクが二つと大きめのリュックが置いてあった。

 正直、ユウキが所有している魔法の袋をつかえばこの程度の荷物なら持ち歩く必要はないが、荷物が少ないと、いらない邪推を受ける可能性もあるとアリシアに指摘されたため、食料やかさばる物以外は持ち歩くことにした。


「ユウキ様少しお願いがあるのですが、よろしいでしょうか?」

「断る」


 ユウキは彼女の願いを有無を言わさず切り捨てた。

 ユウキの経験則からこういうことを言い出すキャラは、大抵面倒なお願いをするのだ。


「最近、家事などが忙しいせいで、体がなまってしまいました。今回は護衛の依頼ですし、気を引き締めるために一手お相手して欲しいのです」

「断る」


 まだ、出発時間でもないのに武器を用意したのは、このためだったのだと気付いたユウキは今更ながら気づいた。


「ルールは先日、マックイーン家の騎士と立ち合った時と同じでいいでしょう」

「断るって言ってるの聞こえてるよね」


 ユウキが、必死に断ろうとするが、完全無視ままアリシアがユウキを庭に追いやった。


「それでは、お願いします」

「おいおい、人の話を聞けって。聞いてください!」


 終いには、敬語が出てしまったがアリシアはユウキの言葉に耳を傾けるどころか、メイドの格好には似合わない凶悪なダガーを両手に構えた。


「行きます」

「ちょっと待っ」


 アリシアは、ユウキが剣を構えるより先に猛スピードでユウキに接近した。


「チッ」


 小さく舌打ちしたユウキは並外れた胴体視力で、ユウキに向かってくるダガーを素手でいなし、お返しとばかりに掌底をアリシアの顎めがけて放つ。

 アリシアは、攻撃を予想していたかのように後ろに一回転しながらかわした。


「やる気になってもらったようで、ありがとうございます」

「おいおい、これで鈍ってるなんて冗談もいいとこだ」


 姿勢を正して向かいあっているアリシアに、ユウキは呆れ顔で愚痴を言った。

 先の一撃はアリシアを完全に気絶させるつもりで放った一撃だった。


「お褒め頂きありがとうございます」

「この際だからここでしっかり、相手してやる」


 今考えれば、ユウキにとっては日ごろの鬱憤を晴らすチャンスだ。

 ユウキは剣を一本抜いて構えた。


「今度はこちらから行くぞ」


 身体強化を使ったせいか、ユウキが踏み込んだ瞬間地面がえぐれる音がした。

 文字通り、一瞬でアリシアの目の前に姿を現したユウキは剣を下段から振り上げようと瞬間、


「参りました」

 

 ユウキの剣はアリシアの体に当たる寸前で止められていた。


「これなら大丈夫ですね」


 ポカンとしているユウキを余所にアリシアはニコッと笑って「ありございました」と言い残し屋敷の戸締りのために屋敷に戻っていった。

 なんだか無性に恥ずかしくなったユウキは、アリシアを残して先に集合場所のガルスの北門に向かうのだった。


 ガルス北門前には四頭引きの大きめの馬車が一台、二頭引きの馬車一台が停められいた。

 アリシアと一緒に今回同行する六名の護衛騎士とあいさつを交わし、どのような形で護衛するのか聞こうとすると、馬車の扉が開き美少女と帽子を被った老人が降りてきた。


「こんにちわ。ユウキさん、アリシアさん」

「やあ、ユウキ君、アリシアさん」


 スカートの裾をもちながら綺麗に挨拶をする美少女はシャルロッテ=マクイーン、もう片方の老人はハロルド=マックイーン。

 二人とも待ていたという表情をユウキ達に向けていた。


「こんにちわ。待たせてしまいましたか?」

「いや、大丈夫。ただ……」


 と少し疲れた表情で言いよどむと、視線をシャルロッテに動かした。

 するとシャルロッテは視線の意味に気づいたのか、少し怒ったかのように頬を少し膨らませるとハロルドから視線を逸らした。


「どうしましたか?」

「いやいや、こちらの話だよ」

「はぁ」


 シャルロッ嬢の機嫌があまりよろしくないようなのでユウキはこれ以上追及はしなかった。


「ユウキ君達は私達と同じ馬車に乗ってもらうことになっているから荷物の方はもう片方の馬車の方に入れてくれていいよ」

「いいんですか、冒険者の俺たちを同じ馬車に入れて?」

「身元については、ギルド長のお墨付きをあるし、私は心配していないよ。何より孫が今日の事を楽しみにしていてね」


 どうやら当初は自分たちに馬を貸し出すつもりだったが、シャルロッテが馬車に乗って欲しいとハロルドと騎士達にお願いしたらしい。

 最初、護衛の騎士は、反対したらしいがシャルロッテが必死にお願いした結果、騎士たちも今日だけということで渋々折れてくれたらしい。


「だからユウキ殿とアリシア殿、今日はお嬢様の相手をしてあげてください」

「わかりました」


 荷物をもう片方の馬車に入れ、ハロルド達が待っている馬車に乗り込む。

 乗り込んだ馬車は六人乗りと四人で使うには広く、ユウキとアリシアは、ハロルド達と向かい合う形で、空いている前部座席に腰を下ろして出発を待った。

 

「そろそろ、出発します」


 エリックから出発の報告がされると、先に従者や荷物を乗せた馬車が先に走りだした。

 その後方にユウキ達が乗せた馬車で御者を務めるのは護衛に選ばれた騎士の内の二人だ。他の騎士は馬車を挟むような布陣で進んでいる。


「シャルロッテよ、機嫌を直しておくれ」

「嫌です。お爺さまだってユウキさん達には、馬車に乗ってもらいたいって言っていたのに、結果私だけが我儘言ったみたいになったでは、ありませんか!」

「騎士たちの意見も正しかったのでな。私が命令して従わせると角がたってしまうので、シャルロッテの我儘という形が欲しかったんだよ」


 やはり孫には弱いにのか、必死に説明するハロルドと違って、ふくれっ面でハロルドと話すシャルロッテに年相応の幼さを感じたユウキは、頬を緩ませていた。

 そのユウキを見てシャルロッテは勘違いしたのか、


「ほら、お爺さまのせいで! ユウキさんに笑われました!」

「痛い、私が悪かったから許しておくれ」


 先ほどより一層顔を赤くしたシャルロッテがハロルドをポカポカと叩いている。

 困り顔のハロルドから救済の眼差しを向けられると、一つ貸ですよと視線を返し、小さなため息をつくと話題を変えるためにシャルロッテに話しかけた。


「ところでシャルロッテ嬢、今回王都ラハノキアには、どんな用件で?」


 シャルロットはハロルドを恨めしそうに睨んだ後、ユウキの質問に答えた。


「今回は私の来年入学する、王立魔法学園の見学が主な目的になります」

「ハロさんから王都の学校に入学が決まったと聞いていたけど、魔法学園の方に入学するんですか」

「はい。なんでも、来年から学園の方針が変わって、今まで貴族の関係者やお金がある商人しか、入学が許されていなかったのですが、来年から一般市民も入学できるようになったようです」

「へぇ~王都の頭の古いお偉方にしては、思いっきりのいい変革ですね」


 王立魔法学園は、貴族や豪商の子弟にのために建てられた由緒正しい魔法学園で、併設されている魔法院の教授を授業に招き授業をしている。この国の魔法の最高峰と呼ばれる教育機関である。


「私も聞いた時は驚きました。お爺さまから聞いた話では、今年から新しく理事に参加した人物からの提案だとか」

「詳しいことは聞いていなくてね。孫の入学の件で王都にいった折に小耳にはさんだ程度なんだよ」


 あの貴族思想に毒された理事共をも黙られる、その新しく理事になった人物は何者とか思いつつ、シャルロッテの話を聞いていた。


「私はこの変革には、賛成だよ」

「なぜですか? お爺さま」

「魔族との戦いでこの国は、あまりに多くの優秀な魔導師を失った。今や、魔導師育成はこの国の最重要課題と言っていい」

「確かに、優秀な魔導師はそれだけで国の力、財産になっていますからね」


 この意見にはユウキも賛成であるが、少し急すぎるきがする。この変革には弊害が多いことはユウキにも予想できる。


「私も一般市民から生徒を募集するのは、賛成です。生徒が増えればそれだけ友達が作る機会が多いですから」


 シャルロッテらしい意見に一同が和んだところで、アリシアが用意してあった焼き菓子を出した。


 ガルスから王都まで、馬車を使っても三日はかかる道のりだ。そして今日は、夕方までに宿場町であるアルンを目指している。

 ちょうど太陽が真上にきたありで馬車を開けたところに停め、原っぱでハロルド達はお昼休憩をしていた。

 そんな中、人気のない木の陰に苦しそうに屈んでいる男とその男の背中を擦っているメイドの姿があった。


「大丈夫ですか? ユウキ様」

「うぇっ……そんなに優しく擦るな……もっと気持ち悪くなる」

「この際全部吐いてしまった方が楽かと」


 騎士たちもあきれた顔でユウキ達の方を見ていたが、ユウキにはそんなことは関係なかった。


「うぇ……勇者になった時に乗り物酔いは治ったと思っていたのに……」

「もうユウキ様は元勇者ではないですか」

「くそ! うぇ……俺は神を恨む」

「はぁ~もうそれだけ喋れれば大丈夫ですね。水を飲んでください」


 吐き気が多少収まった所でユウキ達は心配そうに待つシャルロッテの方に戻った。


「ユウキさん、大丈夫ですか」

「ご心配かけました。もう大丈夫です」


 落ち込んでいるシャルロッテに心配をかけまいと胸を張って答えたが、周りのメイドからはあきれた視線、騎士からは冷たい視線を浴びせられた。


「ユウキ君が、乗物が苦って知っていれば無理やり馬車に乗せることは、しなかったのだがね」

「気にしないでください。俺もとっくに克服したと思い込んでいたので」

「本当に申し訳ありません!」


 勢いよく頭を下げるシャルロッテ。


「頭を上げてください。もう大丈夫ですから」

「でも――」


 優しい笑顔が特徴の彼女が落ち込んでいる表情をみせるとユウキの立場がどんどん悪く見えてしまう。


「では、王都でなにか何かお詫びの品を送らせてください!」


 シャルロッテもこれ以上謝るのは、空気が悪くなる一方だと気づき、ユウキも意を組んで了承した。


 お昼休憩を終えて、出発した一行は日が暮れかけた時には、一つ目の宿場街イオガについていた。

 イオガは、王都からガルスに来る商人の間で多く利用される街で、ガルスの大市には及ばないが、ここにも大市がある事で領内では有名だ。


「ここが今日私たちが泊まる『大鳥の枝』宿です。ユウキさん達も別館になりますが、ここに泊まってもらう予定です」


 『大鳥の枝』は貴族などが多く利用する貴族館と庶民が利用できる別館がある。庶民が利用できるといってもそこそこいい値段の宿になる。

 本館の方の警備は、そこそこ安全なので宿にいる間は護衛する必要はない。


「わかりました。わざわざありがとうございます」

「いえ、ではまた明日もお願いしますね」

「ユウキ君も今日は大変だった思うからゆっくり体を休めた方がいいよ」

「はい」


 ハロルドはユウキに声をかけた後は、侍女と一緒に本館の方に歩いていった。


「俺たちも自分たちの部屋に行くか」

「はい、ここまで待遇がいい護衛依頼は無いですね」

「そうだな。普通なら護衛の宿をとったりしないしな」


 アリシアと今回の護衛依頼の待遇について話していると部屋の前についた。


「夕食はどうしますか」

「確か、こっちには食堂があったから適当な時間に食べに行くから気にしなくていい」

「わかりました。私は隣の部屋におりますので何か用がありましたら声をかけてください」


 失礼しますと言い終えると静かに隣の部屋に入っていく。ユウキも自分の部屋に入ると手荷物を下ろしてベットに体を倒した。

 乗物酔いのせいで思いの他疲れたので、このまま少し眠ろうと目を閉じようとしているとドアをノックする音が聞こえた。


「ユウキ殿、居ますか」


 自分の名前を呼ぶのは女性の声だったが、聞き覚えがなかった。


「どちらさまですか」

「私は、護衛騎士の一人のローザ=レヴァです」


 ベットから起き上がって気怠けにドアを開くと背の高い女性騎士が佇んでいた。

 一七〇cmぐらいのあるのかユウキと目線はあまり変わらない。

 年齢は一七、八ぐらいできりっとしている顔立ちが印象深い女性騎士である。


「何かようですか?」

「突然で申し訳ないのです」  

「護衛任務中で迷惑とは思いますが、お願いがあります」


 ユウキはこの時点で何かデジャブな予感をしていた。


「私と模擬戦をしてもらいたいのです」

「断ります」


 ドアを閉めよとするとドアの隙間に足を入れてそれを拒んできた。


「ちょ――」

「エリックに勝ったと聞きました。是非私にも一手お相手お願いします」

「今日は、疲れて、いるので、お断り、します」

「なら、明日空いた時間にどうですか?」

「だから、断るって」


 それから拒むユウキに一歩も引かないローザのやりとりが二十分近く続いたが、ついに折れたのは、やはりユウキの方だった。


「護衛任務中にユウキ殿の都合がいい時に一回必ず受けてもらうということで」

「それで、いいです」

「では、失礼します」


 納得した顔でユウキの部屋の前からいなくなったローザに比べてユウキの顔はここの部屋に入る前より疲れた顔になっていた。


「今回の仕事はこんな疲れることがない楽な仕事のはずだったのに、今日一日でこの疲れようは本当になんなんだ」


 独り言を呟きながらユウキはベットに入り仮眠をとった。

 ユウキは、上手く誤魔化せば手合せをしなくてすむと楽観視しているが、後々ここで断っておかなかったことに激しく後悔することになるのだった。



 次回は書く内容は決めているので、更新は早いと思います。


 王立魔法学園

 王立魔法学園は、貴族や豪商の子弟にのために建てられた由緒正しい魔法学園で、併設されている魔法院の教授を授業に招き授業をしている。この国の魔法の最高峰と呼ばれる教育機関である。

 学園の経営方針は複数人の理事によって決まられている


 

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