第二話
俺は暗い湿った地下で目を覚ます。
今日は昨日貰った一五〇〇円で服を買うつもりだ。
今着ている服は三年前に買った服で、だいぶと言うより、かなり擦り切れているし、汚い。
何度か洗ってはいるのだが、こんな世活をしていると、直ぐ元通りになってしまうのだ。
地下から出ると、太陽が目にしみた。太古のアニメみたいに、目を押さえ、のたうち回った。
服は古着屋で買ったのだが、その際に、何時の間にか、俺のポッケトの中に小物が幾つか入ってしまった。
勿論有難く頂戴した。これらは、後で纏めて売り払おう。
服を着るまえに、川で体を洗ったのだが、随分汚れていたらしく、川の水が一時黒く染まってしまった。
服を着て、今まで着ていた服をその場で燃やした。随分臭くなっていて、鼻のとおりが少し良くなった。
昨日までと比べると随分さっぱりしたので、気分良く散歩していたら、彼奴に見つかってしまった。
「見つけたぞォ、この糞餓鬼、随分綺麗になってるじゃないか。直ぐに汚くしてやるよぉ!」
声が聞こえた瞬間に、反転し離脱する。
「待てやゴラァァァー!!」
勿論相手も追いかけてくる。
路地を走り抜け、マンホールを開けたまま、下水道に飛び込みその場で待機。
直ぐに彼奴も追いかけてくる。
「馬鹿な餓鬼だぜェ開けっ放しじゃねえか。」
そう言って下りてくる。下りて来た瞬間、がら空きの背中に蹴りを叩き込み、下水の中に落とす。
「汚れるのは、お前だ!!」
彼奴はガボガボ言って沈んでいく。
地上に出ると蓋をしっかりと閉め、中から簡単に開けられぬように、上に石を置き素早くと逃げ出した。
その後寝る場所を探し、鼠を狩り、木の実を食べ、ゴミ溜めの中で眠った。