第一話
説明会みたいのです。
蹴り上げて、アッパーを打ち、最後に落ちた所に踵を落としとどめを放つ。
攻撃が終わり俺は、たった今俺が殺した、巨大鼠を拾い町はずれに移動する。
町はずれに着くと直ぐに火を熾し、鼠を焼き始める。
焼ける間に、麻痺の実、毒の実を食べ、暫くの間休む。
肉が焼けると、今度は冷めるまで筋トレをする。
肉を食べ、眠りの実を食べる寸前に声が聞こえた。
「よお、お馬鹿さん。まだ成り上がって無いのかい?」
馬鹿の声に振り向き、すかさず反論する。
「見て分からないのか、ついに目が悪くなったか。」
反論すると、そいつは顔を赤くして唾を吐き散らしながら答える。
「黙れ、馬鹿に意見なんざ聞いてねーんだよ!」
「じゃあ、何で聞いてきたの?頭大丈夫?」
すかさず言い返すと、
「死ねやああァ屑が俺に逆らうんじゃねぇぞ!」
いきなり叫びながら攻撃してきた。
その攻撃を避けると、そのまま逃げ、狭い路地を走り抜け下水の中に隠れる。
幾ら俺が強いとはいえそれは、人間の中の話。
人間から成り上がった者にまず勝てない。何故ならそもそも体の作りが違うからだ。
しかもあいつの種族は、複数在る内の獣人種に分類される猪男。
彼らの特徴は頭が悪いが突撃系のスキルは強い超突猛進。
直線の動きだけなので避けるのは簡単と思うが、それは人を超えた、成り上がりし者達達の話であり、
ただの人である俺には難しい話だ。
「オラァァ、出てこいや、どこに隠れてるんだ、卑怯者め!!」
馬鹿なやつ、おかげで何処にいるかが、丸分かりだ。
眠りの実食べてとっと寝よう。
座ったまま寝たから、体が痛い、体を少しずつほぐしながら体調をととのえる。
腹が減っているが、いつものことなので我慢する。
「今日は何しようか?」
声に出して言う、
「まあ、わざわざ考えなくとも決まっているんだけどね。昼まで、町の中を散歩しよう。」
宣言通りに町に出て、人の話を聞く。
人に聞くのではなく、気付かれないように、盗み聞きするのだ。
何故なら、俺の格好は孤児の様な格好で、更に俺が人間なので見つかると、面倒なのだ。
「そこの君、少し聞きたいことがあるのだが。」
ふむふむ二丁目でラットが出たか、今日は肉が沢山食えるかな?
「お~い、聞こえてるかい?」
誰か呼ばれてるぞ?この声は聞いたことがないな、別の町から来た冒険者かな?
「さっきから呼んでるだろが!!!人の話を聞け!」
「うわぁ!!」
ああ吃驚した。呼んでるのは俺か、舌打ちしながら振り向く、
「はいはい、何のご用でしょう。」
振り返るとそこには、全身金属鎧の女性が居た。
「君、この町の宿まで案内してくれないか?もちろん金は払う。」
はい?何で俺に聞くの?
「何で俺に聞くんですか?」
しまったそのまま口に出してしまった。
「君が一番暇そうだからだよ。」
あー、なるほどね
「でも、俺以外にも居ると思いますが?客引きの子とか。」
宿に歩き出しながら言う。
着いてきながら、さらっと女は言う。
「君が気配を消してたからだよ。気になるじゃないか、何の種族なのか。」
さっらと言った!結構自信あったのに!
「俺の種族は人間ですよ。」
「嘘だろう!!その年で未だ人間なのか?体が違うじゃないか!」
まあ皆気になるよね
「俺は先祖返りの雑種ですから、体が少し小さいし、髪と目はゴミ色だし。」
俺の返答に女は暫く考えて口を開く。
「その......君の両親の種族は何だい?」
あ、教えるの忘れてた。うーんでもなー、めんどくさいしな
あっ丁度いいや
「ほら宿に着きましたよ。これで良いですね。」
話をそらして、走り出そうとしたが、
「待て待て、話を聞かせてもらおう。」
敢えなく捕まり、宿の隣にある酒場に詰め込まれる。
酒場で酒を頼んで言う、
「さあ、話を聞かせてもらおう。えー、なんて名前だい?」
結構暗い話なんだけどなー、まあいいか、この町の人はみんな知っているし。
「名前はダスト。俺は両親を知らない、生まれて直ぐ山に捨てられてたから。」
女は驚き謝ろうとする。先手を取り先に言う。
「謝らなくても良いぜ、居なくて困った事ねえし。」
女は顔を上げ言う、
「そんなことはどうでも良い。それより何故故児院に居ない?」
どうでも良いの!珍しいな
「俺が発見されたのは、九歳の時で既に一人で生きていたから。」
「じゃあ何故言葉が話せる?どうやって生きていた?!」
「言葉は何となく覚えられた。生きていたのは、《生命の木》が、大きくなるまでそだててくれた。」
「待て《生命の木》だと本当にあるのか、他の生物を育てる木が?」
「あったよもう無いけど、話戻すけど大きくなってからは山の獣を狩って生きた。」
女は顔を近づけて聞いてきた。
「もう無いとはどういう事だ?」
「あの木は死にかけた生き物がいると偶に生える。そして、その生き物が大きくなり一人で生きていけるようになると、生きていける知識を授け別の生物を助けるために消えるんだよ。」
話し終えると女は言う。
「ありがとう、興味深い話が聞けたよ。ここには暫く居るつもりだから、何か有ったときは尋ねてきたまえ。そうそう私の名前はベラ種族は猫人だ、覚えておきたまえ。」
それだけ言うと、代金を払い直ぐに出ようとする。
その後ろ姿に声をかける。
「それより金をよこせ。」
ベラは舌打ちしながら振り向くと
「君は賢いな。」
と言い、五百円硬貨を三枚投げ出て行く
それを取りながら呟く
「やっぱり確信犯か。」
酒場を出るともう昼を過ぎていたので、二丁目で鼠を狩り、三種類の木の実を持って下水に戻る。
昨日の夜と同じ事をして(追いかけられたのは除く)そのまま眠る。
予定より長くなりすぎた。