第四話:八重現る
改行とか会話とか口調とか、試行錯誤中ですので多少違和感を感じるかもしれませんが寛大な心持ちで見てあげて下さいm(._.)m
天原高校。神名荘から徒歩と電車合わせて一時間ぐらいかかる場所にそれはある。生徒数は全学年合わせて約二千人ととんでもないマンモス校であり、『多種多様の人間性』という校風のもと、かなりの生徒の自由が認められている高校として有名である。どのくらい自由かというと、服装は制服と指定されてるが制服とわかるなら自分なりにアレンジしてもよかったり、髪は染めてもよいし、ピアスだってあけても大丈夫だ。まぁ俺はめんどくさいからそんなことはしないが。そして、最大の特徴としては生徒が学校内の自治をしていることである。『生徒会自治本部』、『風紀治安部隊』と呼ばれる二つの自治団体が組織され、『生徒会自治本部』は学校運営や各行事の運営などをし、『風紀治安部隊』は主に学校内での喧嘩の仲裁、遅刻者にペナルティーを与えたりと学校内での秩序を保たしたりしている。
「にしても校長の話というのはなんでこんなにもながったらしくてつまらないのかね………。」
今は入学式の真っ最中でこの学校の校長の有り難いお言葉を聞いている。あくびを噛み殺しながらも黙って聞いているとやっと終わった。次は生徒会自治本部代表の本部長の挨拶らしい。堅物みたいな奴が出て来て長ったらしい話をされたら嫌だな〜と思いつつ、その人を見た。
「私が本部長だ。名前は山城八重。よろしく頼む。」
身長は170センチにいくかいかないかで女子の中では多分大きいほうだ。大和撫子といったらこのような人のことをいうのだろう、黒く艶のある腰まで伸ばされた髪に日本人形みたいに色白で綺麗な顔立ちで目つきがやや恐い感じなのが特徴的だ。もちろん美人と呼ぶに相応しい人である。
……………………ですがね?耳がはえているんですよ?その、なんていうかふさふさとした、思わず触りたくなるような黒い耳がですね、クンッ!クンッ!って動いてるんですよ。
そういえば鈴さんが『他にも犬の神の八重ちゃんとかが同じ神名荘に住んでますよ〜♪』とか言ってたような気がするが多分この人が『あの』八重さんなんだろう。
とても簡単で印象強い挨拶をした後、八重さんは舞台から退場するかに見えたが、不意に目があった。その途端に八重さんは顔を一気に真っ赤にさせたかと思うと舞台をすぐ降り早足で俺の座っているところに来た。そして、おもむろに俺の腕を掴みながら駆け足でここを出て行った。…………………………………って
「えぇ〜〜〜!?なんで〜〜!?」
いきなり拉致される俺だった。
まずは状況を整理してみよう。
俺は今、高そうなイスや机やソファーなどが置いてある部屋にいる。なかなかにセンスの良い部屋だ。あの後、八重さんは俺をこの部屋まで連れていった。それも無理矢理に。さすが神様だけあって力がとても強く、掴まれている腕を少しも振り払うことはできなかった。そして、俺をこの部屋まで連れて来た張本人はというと、
いまだに顔を赤くしながら俺の腕を掴んでた。
「そろそろ離してほしいんですが……。」
と俺が言うと
「ッ!!す、すまない今離す!」
「………それで全然離してくれないんですよねー。」
かれこれ数回はこのような同じ事をしている。俺が離してもらうのを諦めかけた時だ。ふと、八重さんの獣耳、何の動物の耳なのかわからないのでこう呼ぶことにした、に興味がわいた。この人も触ったら鈴さんみたいな反応をするのだろうかと。好奇心に勝てなかった俺はいきなり八重さんの獣耳を触った。すると
「きゃんッ!?」
と、犬みたいな鳴き声をあげて、後ろに跳んだ。幸運なことに掴んでた腕をその時離してくれた。八重さんは顔をいまだに真っ赤にしたまま獣耳に手をおき、驚いた表情で俺を見ながら恐る恐る尋ねてきた。
「こ、これが見えるのか?」
「全然見えますよ。そりゃもうばっちりと。」
「そ、そうか。ではお前が私の………。」
と言いつつ、八重さんはやっと冷静になったのか神妙な面持ちで何かを考え始めた。やがて意を決したのか真剣な表情でこう言ってきた。
「今から話すことを冗談だと思わないでくれ。全部真実だ。」
「もしかして『統べる者』についてですか?それなら鈴さんから聞いたので説明されなくても大丈夫なんだが。」
「ッ?!『統べる者』を何故知っている!?それに鈴を知ってるのか!?」
おぉ〜!すっごいびっくりしてる。獣耳なんかグンッ!!って感じに伸びている。
「じゃあ順序よくその疑問を解決していきますな。」
数分かけて、これまでのいきさつを話した。神無荘に引っ越してきたこと、そこで鈴さんに会って猫耳を触ってしまったこと、そして鈴さんの『統べる者』になってしまったことなどをだ。説明し終わると
「そんなことがあったのか………。しかし、それでもお前が私、犬を統べる神の『統べる者』だという事実は変わらない。」
と、肩をすくめながら言ってきた。………………………あの獣耳は犬耳だったのか。どうりで垂れたりピンとしたりするわけだ。
「おい、聞いてるのか?」
「ん?ちゃんと聞いているが?」
「それならいいがなんか口調が始めと変わってないか?」
「気にするな。臨機応変に口調を変えてるだけだ。」
俺がにべもなく言うと八重さんは盛大なため息をついたかと思うと苦笑しながら
「まあいい。舞台の上で挨拶をしたがもう一回しよう。なんたってお前は私の『統べる者』だからな。私の名前は山城八重、お前が果てるそのときまでお前の剣となり盾となろう。」
握手を求めてきたので、その差し出された手を握りながら俺は言った。
「俺の名前は楠木十挙。ふつつか者だがよろしく頼む。」
すると、八重さんは
「まるで嫁入りの娘みたいだな。」
と極上の笑顔で笑った。
しょーとすとーりー
「これの直後」
「ところで八重さん、お尋ねしたいことが。」
「また口調が変わったな……。なんだ?」
「入学式の途中で連れ出しましたけど、あれって大丈夫なんですか?」
「ももももちろん大丈夫だ!あ、安心しろ?」
「なにおもいっきり動揺してんですか…。嘘つくの下手ですね。」
「こうなったら生徒会自治本部長の権限で揉み消さねば!」
「あそこに全学年の生徒と先生がいたから揉み消すのは不可能でしょ。」
「……………………あっ。」