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黒の悪魔が死ぬまで。  作者: 曖 みいあ
第一章:あの日、再び
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カラーズはどこに


…今日も、ダメだった。

  

いくら朝の光を浴びても、”腕に”反応は、一つもなかった。



「なんでだよ…。」


部屋の姿見に写る自分の姿を見て、嫌というほど確認した両方の腕を睨みつける。

悔しくなって叩いてもつねっても、痛いだけで…相変わらず、何の反応も返ってこなかった。


…「なんで、俺だけ…。」


父さんも母さんもアオ兄も、俺以外の家族はみんな、

今の自分と同じ歳にはもう”チカラが発現”していたのに。


毎朝の特訓が実を結ぶ事もなく、俺はチカラが発現しないまま”14歳”になってしまっていた。



もう一度”発現者たるシルシ”を探そうとして。

カーテンを開け、窓から差し込む”光”を、腕に当ててみる。


…やっぱり、”発現者のシルシ”=”COLORSカラーズの反応”は、確認…できない。


COLORSカラーズとは…生き物の体内に存在する、いわゆる”色素”のことで。

例えば光合成を行う植物は、”クロロフィル”とよばれる”緑色のカラーズ”をもっている。


植物は、この緑色のカラーズと、

”光のエネルギー”を利用して、植物にとってのご飯作り(光合成)を行っているのだ。


植物ですら、光で自給自足してるのに。


「…くそっ。」

情けない気持ちが腹立たしさに変わる。

”チカラ”があれば、光るはずの腕は…


…やはり、何の反応も、示していなかった。



すべての生き物に、存在する色素、カラーズ。

だが、それを植物のように”チカラ”として操ることができるヒトは、限られている。


「発現者は…選ばれし者…。」


そんなことは、分かってる。


ただ…。


自分以外の家族全員が、この”選ばれし者”である俺にとって。

14歳にもなって未だそのチカラが発現しないのは、…一大事、なのだ。



(まさか、自分だけ…。)


そう、何十回も繰り返した、”最低最悪”な思考は…




「美味しい美味しい、アオバ様特製の朝食ができたぞぉ〜。」


という、相変わらずのんきなアオ兄の声で中断された。



…まあ、今は考えても仕方ない。


「諦め…ないぞ!」


鏡の中の自分を真っ直ぐ見据えて、そう宣言する。

何だか不思議と、元気が湧いてきたような気がした。


「よっし!今日は大事な日だろ!

…ミッションは2つ、だ!!!」


そうだ!

俺は今日…。今日という日を、最高なものにするために。

人知れず、大事な大事なミッションを、抱えている。


この日のために、何度も何度も頭の中でシュミレーションしてきたんだ…。


「俺は、できるやつだ!」


ミッションに向け、決意を新たに…。


…アオ兄の朝食を食べるため、勢いよく部屋を飛び出した。



ーーー【黒の再来】まで、あと10時間と24分ーーー


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