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黒の悪魔が死ぬまで。  作者: 曖 みいあ
第一章:あの日、再び
18/72

狂え


「!?な、なんで…!?」


信じられない、信じたくない人物が。


木の陰から…ゆっくりと、その姿を現した。




「…ヨウ君まで、来てしまいましたか。

…これ以上、誰かを傷付けるのは、本意では…ないのですが。」


困ったような声色で話す人物。

その人物が、上品な仕草で指をパチンとならす。


それが合図だったのか、

彼の周りの地面に突き刺さっていた、”水色の”氷柱が、溶けて消えていった。



その人は…


…たった今溶けた氷と同じ、

”水色”の腕章が、真っ白な隊服に、よく似合っていて。

俺は…何度も、何度も、その姿に憧れた。


見間違える、はずもない…



「ブレイズ…隊長?」


アオ兄の背中越しに見える、信じたくない光景。


信じたくない…信じたくないのに。

少し距離はあっても、その姿は、やっぱり…。


何度も憧れて目に焼き付けた、

真っ白な軍服に、左腕に垂れる真っ白の布。


今まさに、目の前で布ペリースをはためかせて、

俺たちの前に立つのは…ホワイトノーブル隊長、”ヒュー・ブレイズ”、その人だった。




「な…んで…。」


段々と状況を理解し始めた頭で、

それでも認めたくないと、目の前の光景から視線を外し、足元を見つめる。


(何で?何で??どうして、ブレイズ隊長がここに?

誰かを…傷付ける?誰が…?誰を…?なんで…???)


…そんな、彷徨える俺の視線が、視界の端に、”ある色”をとらえた。


ブレイズ隊長の足元…あの輝く”金色の髪”は…


「ヒマリッ!!」


ごちゃごちゃと考えていたことが、全て吹き飛び。

気付けば俺は、一心不乱に、ブレイズ隊長とヒマリの方へ駆け出していた。




「ヨウっ!やめろっ!」


突然飛び出した俺に驚くアオ兄と、


「本当に…本意では、ないのですよ。」


落ち着いた声色でつぶやくブレイズ隊長。


そして、ブレイズ隊長は…いつもと、同じように。

優雅な所作で、左腕を前に突き出し、よく通る声で、こう告げた。




勅令ちょくれいするーーノエル、舞い”狂え”。」


俺の知っている勅令とは、少し…違う。


そう思った矢先。


「なっ!?」


見たことのない…ヒト型の、まるで童話の人魚姫のような。

イルカの尻尾を残しつつ、きれいな水色の長い髪を漂わせた、

そんな可愛らしい水色の少女が、俺とヒマリの直線上にフワフワと漂い。


「ノエル…なのか?そこを…どいてくれ!」


俺が叫ぶのとほぼ同時に、ノエルのまとう”水色のモヤ”から、

…いくつもの氷柱が、形成され。そのずべてが、俺めがけて…容赦なく、一直線に飛んできた。




「うわぁっ!!!」


反射的に目をそらし、その場に頭を抱えてうずくまる。


(…当たるっ!)


そう思った時、後方から



「くそッ!勅令するーーリュウマ、分け与えよッ!」


叫ぶような、祈るような…そんな、アオ兄の勅令が、聞こえた。





ーーー【黒の再来】まで、あと19分ーーー


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