敗北の先に待つのは
「人は必ず正しき力を取得する程、余裕は無い。出来たとしても私にはそれが出来る程大人じゃない」
「へぇ分かった、じゃあ大人にしてあげる」
相手は魔力で双剣を生成。逃げるなんて選択肢は最初から無かった。
人生はたまに意地悪だ、こんな格上と相手させられるなんてただのいじめだろうが。
ああ昔の傷が痛み出す。
「傘下にいれたきゃ、覚悟を決めろよ!!必ずハルスを取り戻してこんな狂った檻を破壊してやるからよ!!!!!!」
こっちも魔力を解放。
「いくぞ!!」
刀を生成して、お互い本気でぶつかった。
・・・・・・・・・・。
シュッと消える双剣、カラカラと落ちる朽ちた刀。
やっぱり勝てなかった。強かった、私の魔力がBだとしたら相手はSだ。
これでも8分は持った事を褒めてやりたい。
くっそ、お前の笑顔が怖い、間違った笑みから伝わる、目はもはや人を見ていない。
「手に入れた、今日から私の物ね♪」
倒れた私の胸ぐら掴んで、また狂気に笑った。
昔つけられた傷が骨まで届くほど痛い。
やりきって疲れて・・・・
目が徐々に閉じていく。
目を開けば保健室に私はいた。
ズキズキと痛む体に、首に付けられた所有者の証。
外そうと思ってもとれない、これが屈辱か?
あー今の私に送り言葉は、死ねだな。
収まることの無い殺意、でも格差を理解している体。
どうしようもない。
起き上がり、保健室を出た。
早速現われた生徒会長、るんるんと上機嫌で。いつかその面引き裂いてやる。
「初めての命令♪この森で敗者同士仲良く、奥にある神社にお参りしてきてね♪。
あとこれから学校終わりに301教室に集合だから。これは絶対だから」
「・・・・・・」
手渡される肝試しのパンフレット。
場所も時間も指定されている。
彼女は言いたい事を言って背を向けたと思ったら・・・・
「てことでー・・・バイバーイ!リリ・ハルス♪」
・・・・うざい別れを告げて去っていった。
ぐしゃっとパンフレットを握りしめ、遠ざかる背中を睨み付けた。
(確かめさせて貰うわリリ・ハルス)
(・・・・死ねばいいのに)
肝試し当日
沢山の生徒が集まっている、口々に生きて帰れる訳がないと嘆いている。
「この場所はヴィラスが出て来て、皆死ぬ、死にたくない!!」
「落ち着けヴィラスなんて噂だよ」
「でも誰も最後まで辿り着けてないんだろ?無理だよこんなの」
男子生徒達との会話を盗み聞きし、闇の森と向き合う。
「ヴィラスの気配が10いや50はある。噂では済まされない。もはや事実だろ」
生きて帰れるのか?こんな沢山の化け物が住まう森・・・・・。
包帯だらけの彼女を映し出すモニターを見て
「この学園の肝試しは処刑と同じ、誰も生きては帰れないし、神社すらも辿り着けない」
生徒会室でその様子を鑑賞する、四天王達。
皆リリ・ハルスに興味を抱いている。
彼女の履歴書に書かれている"リリ・カウス"という本名は
ある有名なヴィラス契約者の家系を連想させる、
事を生徒会長は見逃さない。
「見せてよ貴方の実力、ああ愛しい私の期待の玩具」
絶対的勝者の椅子は、崩れない。
もっと言えば崩れないとこのルールは変わらない。