前の記憶・不運の始まり
実の弟から異性として愛されたのはなんでだろう?
分からないと言えば嘘になる。
私はよくヴィラスという化け物に愛される。
それだ。
ヴィラスの血が混ざってる弟ならきっと惹かれてしまうのだろう。
暗い闇の中、一歩一歩何故か震える足で歩んでいると
前からトラックが光を放って、私に向かってくる。
ああ死ぬんだ、本当は私が死ぬべきだった筈なのに
ドンッと誰かが私を押した。
キキィー
ぐしゃ
足下まで流れてくる赤い血に私は泣き崩れた。
「なんで?また死んでるの?ねえなんで庇うの?私なんて・・・・」
「・・・・ヴィラス関係無く姉さんが好き、可笑しいって事は分かってる」
涙を拭ってくれた手は、彼の手では無く化け物の手
振り向けば、笑ってる半化け物の弟。
「姉さん、はやく俺を見つけにきてよ」
ドロドロと溶けていく
「までないよ、ねえさん」
私が今知る彼に変身した所で
目が覚める。
「あ・・・れ?ゆ・・め?なんだか嫌な夢を見たな」
誰もいない教室にはまるで血の様な赤い光が差し込んでいる。
「ああ誰もいない、帰んないと」
荷物をまとめて、教室から出ると
チカチカと電気が点滅し、歩みを止める。
「・・・・誰かいるのか?」
振り向いて、今出てきた教室を見るも、姿は見えない。気配だけが存在を証明しているのにな。
「・・・・・・」
不思議に思いながら、前を向くと、ドンッと誰かにぶつかる。
「すみません、ちょっと考え事してて」
「大丈夫大丈夫私もちょっとよそ見してた。あっ君が噂のリリ・ハルスさん?」
「そうですけど・・・」
「私はピリア・リリス!四天王の一人でこの学園の生徒会長をしているの。
包帯している理由は彼に聞いちゃったごめんね。いやいやそれより、君私と遊ばない?君の事はもう新入りとは思ってないから全力!ふふっねぇ君が勝てば、望みを一ついや、ずっと叶えてあげる。金も権力も全て捧げる。
その代わり君が負けたら、私の傘下になって、死ぬまで尽くしてヨ。勿論勝敗はこの学園のルールでもある・・・・」
夕日は沈むのがはやいな、もう影を教室に生み出している。
ああ、私はなんて不運なんだ、
ぐっと拳を握りしめる。
(この女、普通じゃあない!!!なんだこの魔力の量!さっきから何かを徘徊させてるのは・・・
やっぱりヴィラスか!?じゃあお前は契約しているという事になるって普通なら思うだろ。ピリア・リリス!!)
言葉にせず静かに睨み付ける事さえ、相手にとっては、強者の笑みを深めるだけだった。