表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/13

キス

 帰ってきた士郎を優希が玄関で迎えてくれた。

「お兄ちゃん、わたしはまだ諦めてないからね」

 と言い出した。

「まだそんな事言ってるのかお前は」

 士郎が呆れる。

「だってお兄ちゃん彼女いないでしょ。ポジション空いてるじゃない」

「空いてるけどお前は選ばないぞ」

「えー、なんで」

「なんでってお前は所詮妹なんだから」

「妹、妹、妹って女として見てよお願いだから」

「無理だよ。ずっと兄妹として育ってきたんだから。家族だろうが」

「むぅ」  

「あんまりしつこいと嫌いになるからな」

「えーひどいよお兄ちゃん」

 拓也の言う通りだ。主導権はこちらにある。

 さあご飯にしよう。


 その日の夕食が終わって食堂に優希と士郎の二人きりになった。

 顔がかわいいと拓也は優希を褒めていたから、何気なく優希の顔をまじまじと見つめてしまった。かわいいのか? やはり判断がつかない。

「どうしたのお兄ちゃん。わたしの顔をそんなに見て」

「お前俺の事好きって言ったよな」

「うん。そうだよ。もしかしてその気になってくれたの?」

「違うけど。俺の事好きって『男』として好きって事だよな」

「うん。大好き」

「じゃあ俺に何をしてほしいんだよ」

 男として好きなのは伝わった。しかし何を求められているかがわからない。

「キスかな。わたしお兄ちゃんとキスしたい」

 優希の返事に士郎は身震いした。

「兄妹でキスってありえないだろ」

「兄妹だけど兄妹じゃないでしょ。なんでわかんないかなあ」

 わかりたくなかった。ずっと普通の兄妹でいたかったからだ。

「俺はキスなんかしたくないからな」

 そう告げると、優希は悲しそうな顔をした。

 まだ士郎は気付いてなかった。優希が思い詰めている事が。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ