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母もか
その日の夜の献立はチキンカレーだった。
母の真砂子と妹の優希と士郎三人での夕食だ。
父の直人は仕事がまだ終わっていないからだ。
士郎は無表情でカレーをスプーンですくっていた。
次に優希が何を言い出すかとても怖かった。
日常が崩れ去る気がしていたからだ。
「ところで優希、士郎に告白したのね」
思い出したように真砂子が確認した。
「うん、告白したけどダメみたい」
優希は落ち込んでいるようには見えなかったので士郎は安堵した。このまま諦めてくれればちょうどいい。
「士郎は優希の事嫌いなの?」
唐突に真砂子に聞かれ士郎は答えに窮した。
「……だって妹だよ、母さん。妹を女の子として見れないだろ」
「でも優希は他人でもあるでしょ? 彼女として考えてもいいんじゃないの?」
まさか母まで妹の味方をするのは予想外だった。
しかしここは否定しなければいけない。
「母さんがなんと言おうと優希は俺の『妹』だからな」
「そう。じゃあお母さんはもう何も言わないわ」
その後しばらく空気を沈黙が支配した。