2/13
他人同士
士郎は台所にいる母の真砂子の元へ行った。もちろん優希の発言の真偽を確かめるためだ。
「母さん、ちょっと聞きたい事があるんだけど」
「何よ士郎、お母さん今忙しいのよ」
まな板の上には鶏肉が置いてあった。これから調理するのだろう。
「俺と優希の血が繋がってないって本当?」
「! 優希に聞いたのね」
真砂子は士郎に向き直った。
「そうあの子の本当の両親はもうこの世にはいないの。お父さんが若い頃お世話になった上司さんの娘なのよ」
「本当に他人なんだ」
士郎はどうしようもない虚無感を感じた。今まで実の妹と思っていたのに裏切られた気分だった。
「他人のほうが優希は嬉しいかもしれないわよ」
母の言葉を士郎は心ここにあらずで聞いていた。