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憲法発布勅語

朕国家ノ隆昌ト臣民ノ慶福トヲ以テ中心ノ欣栄トシ朕カ祖宗ニ承クルノ大権ニ依リ現在及将来ノ臣民ニ対シ此ノ不磨ノ大典ヲ宣布ス

惟フニ我カ祖我カ宗ハ我カ臣民祖先ノ協力輔翼ニ倚リ我カ帝国ヲ肇造シ以テ無窮ニ垂レタリ此レ我カ神聖ナル祖宗ノ威徳ト並ニ臣民ノ忠実勇武ニシテ国ヲ愛シ公ニ殉ヒ以テ此ノ光輝アル国史ノ成跡ヲ貽シタルナリ朕我カ臣民ハ即チ祖宗ノ忠良ナル臣民ノ子孫ナルヲ回想シ其ノ朕カ意ヲ奉体シ朕カ事ヲ奨順シ相与ニ和衷協同シ益々我カ帝国ノ光栄ヲ中外ニ宣揚シ祖宗ノ遺業ヲ永久ニ鞏固ナラシムルノ希望ヲ同クシ此ノ負担ヲ分ツニ堪フルコトヲ疑ハサルナリ


「憲法発布勅語?」

桃子が伊野上に聞く。

「勅語というのは、天皇陛下が口頭にて発せられる公務上の"お言葉"のことだよ。その直後を書面に書き起こしたもののことを、勅語書というんだ」

「へー」

桃子は、ずっと目を通していたが、再び伊野上に向かって言った。

「でも、やっぱり、何書いているのかわからないや」

「とりあえず、読みを教えておくよ。それから中身のほうが、理解もしやすいだろうからね」


ちん国家ノ隆昌りゅうしょう臣民しんみん慶福けいふくトヲ以テ中心ノ欣栄きんえいトシ朕カ祖宗そそうクルノ大権ニリ現在及将来ノ臣民ニ対シ此ノ不磨ふま大典たいてんヲ宣布ス

 おもフニ我カ我カそうハ我カ臣民祖先ノ協力輔翼ほよくリリ我カ帝国ヲ肇造ちょうぞうシ以テ無窮むきゅうレタリ此レ我カ神聖ナル祖宗ノ威徳いとくト並ニ臣民ノ忠実勇武ニシテ国ヲ愛シ公ニしたがヒ以テ此ノ光輝こうきアル国史ノ成跡せいせきのこシタルナリ朕我カ臣民ハ即チ祖宗ノ忠良ナル臣民ノ子孫ナルヲ回想シ其ノ朕カ意ヲ奉体ほうたいシ朕カ事ヲ奨順しょうじゅん相与あいとも和衷わちゅう協同シ益々ますます我カ帝国ノ光栄ヲ中外ニ宣揚せんようシ祖宗ノ遺業いぎょうヲ永久ニ鞏固きょうこナラシムルノ希望ヲ同クシ此ノ負担ヲわかツニ堪フルコトヲ疑ハサルナリ


「意味としては、こんな感じのものになるかな。

私は、国家のさらなる発展と日本臣民の幸せをもって喜ばしき栄光の中心を占めるものとし、これまでの歴代天皇の方々から私に授けられた大権によって今生きており、将来生まれているすべての日本臣民に対して、この不磨の大典を広くすべての者たちへ発表する。

考えてみれば、私の先祖の方々は今いる臣民の祖先の協力や助けを信頼しこの大日本帝国を創造し永久の模範としてくだされた。このことは、私の神聖である祖先の威厳と人徳が高かったのと同時に、臣民の忠実で勇武で国を愛し、国のためならば命を捨てることもいとわないという行いによって、この光り輝かしい栄光に満ちた日本国史を作り上げた。私は、臣民が祖宗の良き臣民の子孫であるということを思い開始、その私がその意味を理解し実行し、私が種々雑多なことを導き、互いに心より打ちとけ合い、互いに同行し、さらなるこの帝国の光栄を国の内外に対して示していき、祖宗がいまだに未完成ながらも残してくださったものを永久に強くしていくことを希望し、これらの負担を互いに分かち合っても耐えられるということは、疑いの余地がない」

「不磨の大典?」

「不磨というのは、不朽とか不滅とかっていう意味で、大典というのは重要な法律っていうこと。この場合は、永遠に変わることがない法律っていう意味合いだね」

「だから、変えられることがなかったのかー」

桃子は、何となく納得したような表情で伊野上の説明を聞いていた。

「さてと、ところでなんだかのどが渇いたんだけど…」

「あ、お茶持ってくるね」

桃子が立ち上がり、伊野上と自分用にコップを2つ出して濃いめの麦茶を注ぎ入れ、その中に2個だけ氷を浮かせた。

「ありがとう」

伊野上は受け取りながら次のものを見ていた。

「次は?」

「上諭だね。日本国憲法にもあったけど、こっちは全然違う感じがするよ」

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